犯人
そして10分程して、救急隊が来た。
「大丈夫ですか、大丈夫ですか?」
何度も母親に呼び掛けるも意識が戻らない。
「とりあえず、病院に搬送しましょう、君、娘さんだよね?」
「は、はい」
「他に家族は?」
「私だけです」
「わかりました、とりあえず病院に連れていくので、一緒に来てください」
「わかりました」
「止血は君がやったのかい?」
「あ、はい。どうしたらいいのかわからなくて思い付くままに」
「よく、冷静にできたね、偉いよ」
救急車は病院を目指して進んでいく。
「どう思うよ?親父さん」
「…」
「黙ってても変わらないぜ」
「妻は多分パフォーマンスだ、妻は沙夜が帰ってくる前にニコニコしながら帰ってきた」
「へぇ」
「それで、沙夜を置いてきたけど自分で帰ってこれるかしらって…帰ってくる前に色々準備しなきゃって言っていたよ」
「その準備が自殺未遂か…」
「そのようだな」
「さて、どうしたもんかなぁ」
ガチャリ玄関の鍵が開く音がした。
「な、誰だ?帰ってくるにはまだ早い」
私は家に入ってくる2人を見てぎょっとする。
思わず後ろにいる父親を見る。
父親は黙って頷く。
なるほど…そう言うことか。
1人は快楽殺人者の相良真奈美。
もう1人は…
「どうする?沙夜ちゃんはまだ帰ってこないわよ」
「じゃあ、しばらくここで休もうか、帰ってきたら隠れればいい。おそらく沙夜は僕たちには気づかないからね」
「そうね、じゃあ私お茶入れるわね」
なんなんだこの2人は…
「で、いつやるの?」
「沙夜が帰って来る前に行かないとな」
「そう…いよいよ引き継ぎね」
「ああ、僕たちの勝ちだよ」
「とりあえず、行こうか」
2人は外に出ていく。
なんの話をしているんだ…
「おい、おっさん。あの2人何話してるんだよ?」
「わからない、2人とも異常者だ。もう私には何が何だか」
「ちっ、とりあえずここで沙夜が帰ってくるまで待つしかないか…」
しかし、この2人…私が直接手を下してもいいのかも知れない…
いや、だめだ。私は死人だ。
生きている者が解決しないと…
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