会話
狭い道を車で走っていると、先程の少女が1人歩いていた。
「あれ、あいつ母親と帰ったんじゃねぇの?」
私は身を乗り出す。
「ああ、なにか事情が変わったみたいだな」
「声かけてよ、伯父さん」
「怪しく思われないか…」
「大丈夫でしょ」
「仕方ねぇな」
「よう、お嬢ちゃん。こんな山奥に一人で大丈夫か?」
少女はこちらを振り返ることなくそのまま歩き出す。
「やっぱり怪しまれてる」
私は思わず笑ってしまう。
「おいおい、町まではまだ距離あるぜ、よかったら乗ってけよ」
「大丈夫です」
少女はこちらを振り向かない。
仕方ない…
「お前の親父さんは刑事に殺されたってよ」
「えっ?」
少女は驚いた顔でこちらを振り返る。
「まぁ、乗ってけよ。俺が首を突っ込むのはこの町を出るまでだからな」
「あなた何者?」
少女は怪しみながら聞いてくる。
「あー、俺というか姪っ子が色々とな」
少女は警戒しながらも車に乗る。
「うちの姪っ子は成仏してない人間の声が聞こえるんだとよ」
「そんな力なんてあるの?」
「ああ、あくまでこの世に未練があるやつだけみたいだけど」
「じゃあ私のお兄ちゃんも見えるの?」
「どうだろうな」
俺は後ろに座る由梨を見る。
私は首を横に振る。
「どうやら、話せたのは親父さんだけみたいだぜ」
「じゃあ、お父さんはなんて」
「中肉中背の刑事と爺さんに殺されたってさ、娘…お前さんをあの家から逃がしてほしいって頼まれたらしいけど、今回の件は俺達には難しすぎるからよ」
「そんな…」
一瞬沈黙が走る。
「その姪っ子さんには会えないんですか?」
「ああ、残念ながらそうそう会えるもんじゃねぇんだ」
「どういうこと?」
少女はさらに不振な顔をする。
「まぁこっちにも色々事情があってね、ただ、この事件を解決できるのはお嬢ちゃんしかいないから、諦めないで欲しいって言ってたよ」
そうこうしているうちに町に着いた。
「さ、着いたぜ。後は自分で帰れよ」
「ありがとうございました、あのあなたは…」
「俺はしがない探偵だよ、じゃあな」
「おい、由梨。これでよかったのか?」
「いいよ、結局首を突っ込んでくれたね」
「うるせぇよ、じゃあ帰るぞ」
南川沙夜…あんたの力借りさせてもらうよ。
お読みいただいてありがとうございます。ブックマークや、評価いただけるとうれしいです。




