【南川 達郎(享年42歳)】
私は玄関に入る。
中には誰もいないようだ。
誰もいないのに無用心だな。
「おい、君!!」
突然の声に私は思わずビクッとする。
「な、誰だ」
私は声の方を向く。
「それはこっちのセリフだよ」
40代くらいの男性がそこには立っていた。
「えっと、私は小林由梨って言います。あなたと同じ死人です」
なんだこの自己紹介は…自分でもバカらしくなってきた。
「そうか、やっと話せる相手ができたよ。いやこんなことを言うのは失礼か」
ふぅとおじさんはイスに座る。
「別にいいよ。それであんた…あなたは殺されて1年間もここにいるの?」
「この事件についてそれなりに知ってそうだな?そうだ、この体ではどうにもできなくてね。犯人の犯行を止めることもできない」
おじさんは悔しそうに拳を握る。
「へぇ、この連続殺人の犯人が誰かわかってんの?」
「ああ、わかっている、私を殺した相手もな」
「そっか、それでおじさんはどうしたいのさ?」
これは簡単に解決できそうかな…
「犯人の暴走を止めたい。それだけだよ」
「で、犯人は誰なんだよ?」
「妻と義父と義母だ、それと…」
おじさんは言う。
最後の1人に関しては何かためらいがあったがなんだろうか。
「4人か…あんた1年間もそれを見続けて辛かっただろ?」
「ああ、辛いなんてもんじゃない」
「なぁ、私に出来ることは限られてるけど。そうだな、そのあんたの娘の力を借りてもいいか?」
「な、沙夜をか」
おじさんの表情が一気に険しくなる。
「沙夜って名前ね」
「あの子も真相に近づいている。しかしもう精神的に限界だ」
「そうは言っても、私たちはどうせ死人だよ。生きている人間に解決してもらわないと意味がない」
「…」
「それにあんたの話が本当ならその沙夜って子しか解決できないだろ」
「わかった、でもどうかあの子を壊さないでくれ」
「保証は出来ない…とりあえず、その子の特徴は?あと今どこに行ってるの?」
「私と息子の墓参りに母親と行ってるよ…」
「へぇ、たいしたもんだね、どこにあるのお墓は」
「ここから1時間程したところにあるよ」
伯父さんを呼び出せば間に合うかな
「了解、じゃあちょっと行ってきますわ」
私は早速外に出ようとする。
「君!!」
「何さ?」
「ありがとう」
私はふぅと一息つく。
「お礼はすべて終わってからだよ」
私は急いで外に出る。
そしてすぐに伯父に連絡をした。
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