表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

やけ酒

作者: 葵生天

 社会人1年目の12月下旬、年内の仕事も無事に終わり、家でのんびり過ごす日曜日。Twitterを開き、タイムラインをスクロールする。目に留まったニュースや友達の投稿を読む。いつもの日常だ。

進学や就職で散り散りになった友達は元気にしているか、そういえばあの子は今どこにいるんだろう、あの子は大学院に進んだって聞いたな。いろんな友達に思いを馳せ、フォローしている人たちを眺める。

 スクロールしていくとふと目に入ったのは、高校時代毎日昼食を一緒に食べ、名簿が前後で仲が良かった雪ちゃんだ。

 東京に進学した雪ちゃんは、バイトやサークルで楽しんでいると友達から聞いたり、Instagramの投稿から見て取れた。

 高校時代の懐かしい思い出がよみがえってくる。とここで気づいてしまう。フォローが外されていることに。


「え、なんでだ・・・。」


 思わずこぼれ出る。懐かしい気持ちから一転、崖から突き落とされたような気分だ。

何かの間違いかもしれない、誰かと間違えて外してしまっただけかもしれない。

念のためInstagramやLINEを確認してみると、フォロワーや友達から消えていた。

なぜだろう。そこまで仲が良かったとは思えない元クラスメイトのことはフォローしているのに。

黒い靄が心に広がっていく。思い当たる節はない。

 仲がいいと思っていたのは私だけだったのか、雪ちゃんはそこまでではなかったのか。たしかに雪ちゃんは交友範囲が広く、友達も多かった。

一方私は仲がいい友達は数人、狭く深くの交友範囲のため、仲がいいの認識に違いがあってもおかしくはない。

頭では結論が出ても、受け入れがたい。

 なんでだろう、何か気に障るようなことをしてしまったのか、どうして、悲しい。

普通に人ならこんなに悩むことではないのかもしれない。けれども些細なことでも深く悩みこんでしまう性質のため、頭から離れない。

なんで、なんで、なんで、なんで・・・・


 忘れてしまおう。お酒飲んで忘れよう。

そう思い立ち、財布片手にコンビニに走る。缶の酒を5個ほど買い、家に急ぐ。

軽くおつまみを作り、テーブルに缶とおつまみをセットする。


「本当なんでだろう・・。」


プシュッ。缶を開ける音と共に一人の部屋に消えていく。

もう今日はやけ酒だ。明日も年末年始の休暇だから、二日酔いになってもなんとかなる。

大丈夫とは言えないが。


缶を三本ほど開けたところで、ひまりから電話がかかってきた。


「もしもし?月華久しぶりだね。最近どうしてた?」


「ひま聞いてよ。雪ちゃんからTwitterとInstagramのフォロー外されたんだよ・・・・。

結構仲良かったはずなのに、なんでなんだろう・・。ほかの人からしたら小さいことかもしれないけど、悩みこんじゃってさ、やけ酒してたとこなんだよねー。」


「え、月華も?私もフォロー外されたんだよね。いや、めっちゃわかる。私も落ち込んでやけ酒したもん。」


「そうだったんだ。」


「外されたのか私も思い当たることがなくてさ。なんでこんなことするんだろうね。悩みこんじゃううちらがあほみたいじゃんね。」


「あっちからしたら些細なことかもしれないけど、こっちはこんなに辛いのにね・・。」


「もうわすれよ!お酒飲んで、おいしいもの食べてリフレッシュしよ!」


 同じ境遇にあった友達と電話越しに酒を飲みかわし、夜が更けていく。

4本飲んだあたりから記憶があやふやだが。性格が似ていることを再確認し、お互いの大切さを改めて感じた日曜日だった。

次の日はしっかり二日酔いで、大丈夫ではなかった。





今日から1か月、毎日1作品投稿します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ