第二十八話 長引いた作戦会議と悪夢
皆様、自粛時間いかがお過ごしでしょうか。
私は学校に行けないことで調子が狂い始め、ボツ作品を5つ作っておりました。
長い間更新が止まってしまい申し訳ありません。
これからまた更新が滞るときもあると思いますが、いつも作者は皆様とこの作品について考えております。
気長にお待ち頂けると幸いです。皆様に幸あれ!
今、私たちはシュゼット邸本館、第2会議室にいる。
思いのほか作戦会議なるものが長引いているのだ。
みんな楽しそうだからいいんだけど、私を守るための作戦会議……なのに私が入る隙は無く、長いテーブルの端に座ってみんなを眺めていることにした。
「ねぇーーー、まだ終わらないのー?」
「「「「うん、あともう少し」」」」
私が大きめの声を出してみんなに問いかけると、みんなは私の方を振り返って真剣な顔でもう少しとだけ言うのだ。
長すぎる、さっきからずっとこの調子。
いつまで続ける気なんだろう、私は帰りたいんだけどな……なんだか疲れたし、いてもずっと話についていけなくて置いてけぼりだし、全然面白くない。
眠たい、ふぁあ…………少し眠ろう……きっとこの作戦会議が終われば誰かが私を起こしてくれるはず。
_____私はテーブルに突っ伏して浅い眠りに入った。
♡◇♤♧
「どんな案を出しても結局振り出しに戻りますね……」
さっきから沢山案を出しているのだが、どれも最後には粗が見つかり振り出しに戻る。
「マリーが安全に過ごすために私たちができること……。本当に難しいですわ……」
目の前では、ずっとお嬢様が顎に手を当てて本日の議題について考えていた。
「そもそも何故あんなことになったんだ?」
エドワード王太子が不思議そうに俺に聞いてくる。そうか、彼はまだ何も聞いていないのか。
まて、マリーは前世の話を彼らにしたと言っていたっけ、いや、言ってないかも……今は隠しておいた方がいいかな。
「マリーは可愛いから変な虫がつくんです、その変な虫が今回たまたまああいうやつで……本当は俺が守るはずだったんですが、すみませんでした。」
俺はなんとか、ギリギリ合ってるような答えを導き出した。
「しょうがないですわよ、私たちのマリーはあれほどに可愛いのですもの、これからも必ず変な虫がつきますわ。みんなで手分けして守りましょう。」
お嬢様はゲームのことを全く知らないのに予想を的中させている。
マリーから聞いた説明では、"オトメゲーム"の主人公がマリーで、"コウリャクタイショウシャ"がアイザック達。3年に1度、3人ずつ……?増えるとか。
「うーーーん、じゃあいつもマリアの横に俺たち3人のうち誰かがいればいいということか?」
「エド、その意見は1番初めにレオが出して、私が簡単ではないからと却下いたしましたでしょう?」
「あぁ、そう言えばそうだったかな。」
そう、考えてみれば一人行動をしなければならない事は意外と多いのだ。マリーのそばに誰かいるというのはそれぞれ仕事や役割を持っている分難しい。
特に放課後などは役員会議や、7時間目など終了時間がバラバラだ。
護衛は、つけることは許されているが、身の安全に関わる時以外姿を見せることが禁止されているので変な虫だからという理由では登場できない。
「神様の視点からはどう思われますか?」
そうだ、神がせっかくいるんだから最初から頼ればよかったじゃないか。
「俺?いや、なかなか助言ってなるとなぁ、運命変えてまうからマリーにしか言う事許されてないねん。お前らが決めて、俺がちょっと手伝うくらいやったら大丈夫やと思うねんけど…………」
「そうですか……でも少しなら手伝って貰えるのですね。それだけで充分助かりますわ……。」
「ねぇマリー、マリーはどう思……寝てる?」
マリーに声をかけて振りむくとテーブルに突っ伏して眠ってしまっているマリーの姿が目にはいった。完全に不貞腐れているみたい、いつもはどれだけ眠くても突っ伏して寝たりしないのに。
一体いつから寝ていたんだろう、そういえばこの数時間俺たちはマリーについて話しておきながら、マリーの事を全く気にしていなかった。俺はまた間違えたようだ。
「どうする、今マリアを起こすか?話は終わっていないけれど……風邪をひいてしまう。」
エドワードが俺とお嬢様に問いかける。
「それしかないでしょう。マリーを守るための会議なのに、風邪をひかせてしまったりこれ以上つまらない思いをさせては本末転倒ですわ。」
お嬢様が結論を出し、俺もそれに頷く。むしろもっと早くに気づいてあげないといけなかったんだ。
「俺がテレポートで連れて帰るわ、任せとき。」
ウラノスが得意げな顔でそう言う。いつもはその顔にムカつくのだが今はとても助かる、安心できる顔のように思えた。
「ウラノス助かるよ。ありがとう、とりあえず今日のところはマリー第一ということでお開きにしよう。次はマリーに用事がある時に集まろうか。」
「そうしよう、数日前に日時を指定してくれたら開けておくよ。」
「ああ、ありがとう……ございます。」
エドワード王太子はとても接しやすくて、何となく弟のような雰囲気を醸し出しているので気を抜くと敬語が抜けそうになる。王太子なんだ、しっかりしろ、俺。
「レオナルド、君も僕の友人だ。気軽に接してもらって構わない。それに君からは教えてもらいたいこともたくさんあるんだ。」
俺が……友人……?俺がエドワード王太子に教えること……?そんなのあるのか?ないと思うんだけど……。どちらにせよ嬉しいことに変わりはないな。
やったあ、段々テンションが上がってゆくのを感じる。
「ありがとう。とっても嬉しいよ。俺に教えられることならなんでも聞いてくれ。」
「ありがとう。」
「打ち解けたようでよかったですわ。では起こしますわよ?マリー、おまたせ致しました、もう話は終わりましたわ。そんなところで寝ると風邪をひきます、起きてくださいませ?」
お嬢様が軽くマリーの肩をたたき、優しく語りかける。
「うーーん…………あともう少し…………」
マリーはだいぶと寝ぼけているらしい、愛らしく目を擦りながら、あともう少しとねだる。可愛い……
「うっ…………可愛いけれど……ダメだよ、マリー。風邪ひいちゃう、ウラノスがテレポートで運んでくれるから帰っておやすみ?今日はごめんね、つまんなかったね。」
俺はマリーの可愛さに一瞬怯んだが、それに負けると後で辛い思いをするのはマリーなので心を鬼にしてマリーを椅子から立たせる。
「うーん、嫌ぁ…………」
寝起きマリーの眉間にシワがよるが、俺は気にせずおやすみのキスをしてウラノスに託した。
「ウラノス、頼む。」
「ああ、じゃあまたな。」
「「「おやすみ」」」
別れの挨拶を終えると同時に大きな音がしてウラノスとマリーの姿が消える。
きっと今頃はクリスティ邸に着いているはずだ。
「俺たちはどうしようか?」
特にエドワードはここが家の俺たちと違い、王宮まで帰らなければいけない。片道1時間ほどかかる(大半が門の中を走る時間)早いところ切り上げて帰らないと…………
「僕はまだ迎えを呼んでいない。1時間ほど待たせてもらえると嬉しいのだが。」
そうか、まだ呼んでいなかったっけ、きっともう迎えが来ているとは思うが……あ、あと1時間だけ話す時間をとってくれているんだ……
「ふふっ……かしこまりましたわ。ではそれまで会議の続きをしていましょうか、早く終わらせてしまわないとマリーとの時間が減りますわ。」
_______ここから1時間、しっかり会議をしてある案で話はまとまった。
これで次の休日もマリーと出かけられる!!よかった、よかった!
♡◇♤♧
「嫌、嫌だ…………聞きたくない…………っ!!」
私は咄嗟に身を丸める。
勢い余って自分の膝に頭突きをしてしまったらしい、すごい衝撃で目を覚ました。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…………なにこれ……私……」
私、生きてる?
そう口に出そうとして辞めた。口に出すとそれを認めてしまいそうだったからだ。
ここは……イブの家じゃない……じゃあほんとに……いや、感触はやけにリアル……
あ、なんだ、ここはわたしの部屋……?あぁ、よかった、これまでの出来事は夢じゃなかったんだ、じゃあウラノスが連れて帰ってきてくれたのかな……
外は真っ暗、時計の針は2時過ぎを指している。
私はうたた寝のつもりがすっかり眠りこけていたらしい。
今すぐには眠れそうにない、私はベッドから抜け出してそっとベランダの扉を開いた。
「すぅーーーっ、はぁーー。うん、大丈夫、ちゃんと美味しい。星も綺麗……」
こうして空気を胸いっぱい吸える、美しく輝く満天の星を見られる、それがどれほど幸せなことか。私は身を持って知っているはずなのに、最近また当たり前だと思うようになってきていた。今日の夢は生きている幸せを思い出させるような夢だった。夢なんて最近全く見なかったのに、やけにリアルな夢だった。
そうね……タイトルを付けるとしたら……白い街。
うん、ピッタリだ。
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広い広い海の真ん中。
青空の広がるなか、何故か私の乗った船は進んでいた………
何故私が船に乗っているのかは分からない、でも考える必要のないことのように感じた。
ズズズズ……ザッパーン…………
引き潮で、波が引いて行くとともに、海底から何か出てきた。
目を凝らしてみてみると、丸い屋根の白い家が連なっていることがわかった。
「白い街だーっ!」
船長が叫んだ頃には船はもう屋根の上に乗り上げていた。船の破片が散らばり私は投げ出された。
白い街を流れていく透き通った波は夢かと思われるほど綺麗だった。
チュンチュン……チチチチ……
どうやらここは白い街の一角らしい。
船から落ちたところまでは覚えていたのだが、そこからの記憶がない、気を失っていたのだろうか。
辺りにはたくさん鳥が飛んでいる。
鳥まで白い。スズメを白くしたような、見たことがない鳥だ。
でもその鳥以外見当たらない。
人も、花も、虫でさえも。
船長や乗客は?本当にここは謎ばかりだ。
白い街ってなんだろ。
じっとしているのも飽きてきたので、人を探しながら鳥を追うことにした。
________ほんとに何もかもが白い。
しばらく鳥を追うと、人影を見つけた。
近付いてみると黒髪おかっぱの女の子、どこかで見たような懐かしい気持ちはするのだが、町全体が白く、日の光もあるせいか反射してしまい、町も女の子もぼやけて見えた。
女の子に連れられて町をまわる。
白い灯台のふもとにある家に入った、
家の中にはたくさんの鳥が迷い込んでいた。
それはもうたくさんの種類に見えたが、一種類らしい。
女の子の説明によると、生き生きとしている鳥が、ここ一週間のうちに入り込んだ鳥。
体調が悪そうで、羽が抜けていっている鳥がずっと前から出られていない鳥らしい。
羽がすべて抜けると死んで床に落ちてしまうそうだ。
ああ、船から落ちてからどれくらいたっただろう。
だいぶたったように思えるのだが、お腹もすかないし、夜も来ない。全く時間が分からなかった。
そろそろ帰りたくなったので、船があるかと聞いてみた。
________しかし1隻も無いらしい。
良い帰り方はないかと言うと、帰る方法はないと言う。来たときの船もその残骸もいつの間にか消えていた。私はこの女の子とこの広い街に二人きり……
帰りたいなあと思っていると、なぜ帰りたいのと聞かれた。
そう言われれば私はなぜ帰りたいのだろうか。
______私はどこに帰りたいのだろうか。
「あなたは胸を張って、"私は生きている"と言える?」
女の子が小さく口を開き私に問いかける。
顔はまだ見えない、でも吸い込まれそうだった。
「______?生きているはずよ、なぜ今私がここに居るのかは分からないけれど……愛すべき人と暖かい場所があるわ……」
私はなぜ急に女の子がそんなことを言い出したのか分からなかったけれどそう答えた。
「へぇ、貴方はそっちの方が大切になったのね……どこまで甘えるつもりなの?ワたシハモういラナい?」
「え……?」
全く意味がわからない、そっちってどっち……?私は甘えてなんかいない、甘えていないわ!
…………ワたシハモういラナい?妙に機械音と混ざったその声は何か聞き覚えがあるように感じる。
「私を捨てるの?私は抜け殻のまま天国へも行けない
私はずっと死んでいく鳥と一緒に居なければいけないの?」
彼女がそう言い放った瞬間、視界のモヤがとれる。
彼女の顔は……幼い頃の私だ、萌葉だ。黒髪のおかっぱ……なぜ気が付かなかったのだろう。
「貴方はワガママね、とっくの昔に死んでいるのに空想の世界にしがみついて。マリアちゃんが可哀想だわ…………」
それは私が一番聞きたくなかった言葉だった。
そんなこと言われなくたってわかってる、だから私はこの世界で精一杯生きようって!そう思って……
「あぁ、嫌……嫌だ…………聞きたくない…………あっち行ってよ!……消えた……?…………っ!!」
頭が割れるように痛い、萌葉は少しずつ私の元へ近づいてくる。私の、あっち行ってよ!という声で消えたと思ったのだが……瞬きをして目を開けると…………顔の前にミイラ化した私の顔があった。
驚いて声も出ない。
私は咄嗟に身を丸めて…………起きた。
.☆.。.:.+*:゜+。 .゜・*..☆.。.:*.☆.。.:.+*:゜+。 .゜・*..☆.。.:*
というのが一応、今日の夢……何か良くないことが私に起きているのは分かる。私の体はずっとあそこに?だから恨みを持っていたの?
とりあえず、明日になったらみんなとウラノス、アイテールに知らせよう。
私はそれを決意して部屋の中に入る。まだ寝られるかは分からないが思い返したことによって頭の中で整理が着いた。
ベッドにもぐってレオの事を考え……すぐに再び深い眠りへ。
________うん、私はそういう子だ。
生きていること、幸せですね。
食べれること、眠れること、今だからこそ当たり前のことに目を向けて小さな幸せを集めていきたいなと思います。




