第二十話 遭遇
「アトラスを捕まえるといっても、彼は自分から姿を見せてくれるほどバカじゃなくてね。僕達も待つことしかできない。館長の話は本人から聞く方が早いと思うよ。資料には何の情報もなかった。」
館長に直接って……会えないから資料を集めに来たんでしょうが!
「どうやって直接聞くの?何百年も昔に亡くなっている人なのよ!どうやっても話すことなんてできないわ。」
「ほぉー、図書館館長は怨念として残ってるって覚えてないかー?自分でみてきたんちゃうん。またあそこいけば会えるわ。」
にやーっと笑うウラノス。
うう、そうでした。めちゃくちゃウラノスにバカにされた。くーやしいっ!
「どちらにせよ、万全の準備を整えて旧図書館に行く必要がある。取りつかれると引きずり込まれてしまうから……。来週の水曜日なんてどうだい?僕がある程度用意しておこう。」
ひ、引きずられる………取り付かれる………怨念怖いよぉ。
「僕はいつでも大丈夫だ。」
「私もですわ。」
「俺もだよ。」
皆は、いつでもいいと答える。
怖くないみたいだ。それよりも、目が輝いて見える。そうだよね、皆がいればきっと怖くない。
「じゃあ水曜日に決まりみたいだね!とりあえず、せっかくだし資料持って帰る?」
「マリー、そんな事していいのかな?国の保管庫だよ?」
「あー、借りていきますって言ったら大丈夫でしょ、国王も私たちが悪いやつじゃないのわかってるだろうし、神もいるの知ってるし。ねぇ、ウラノス、アイテール、悪い人に天罰とかできるの?」
「うーん、あとで怒られるけど、よっぽどだったらできるよ。」
「あーじゃあ、それでいいじゃん!盗みに来た人は神様からのお仕置きってことで」
「えええー、怒られんの俺らやで。」
あははっと笑って、私達はポンっと2人の肩に手を置く。ぱしぱしっと励ますように叩いて、ニコリと笑うと、「ね。」と言った。
ウラノスとアイテールは、過去最高に嫌そうな顔をしながら「ラジャー………」と呟く。
私達は知っている。神は意外と人間に優しい上、人間に逆らわない。まあ、私たちだからかもしれないけど。………威厳もない………っていうのは内緒ね!
「ほんじゃあ、資料も見つかったわけだし、あのはしごから帰りますか。」
「だねぇー、マリー、腕力大丈夫?」
「レオ、私そこまで貧弱じゃない!」
そんな私たちの会話に皆が笑う。ウラノスはヒーヒー言って、床に座り込んで床をバシバシ叩いている。そこまで笑わなくても!
もーう、レオのせいだからね……
コツンっとレオの腕をパンチするとレオがニヤリと笑って「すみません。僕の愛しいお姫様……」と私の頬にキスをした。うぅぅぅ。正直嬉しくて許しちゃいそうだったけど……
「なんでもそれで許してもらえると思わないでよねっ!」
皆の前で、愛しいとか、お姫様とか、キスとか、もう今更だけどやめてほしい。最近少し恥ずかしいんだから!!
そんな気持ちも相まって私はフンッとそっぽを向いて歩きだした。
「えぇー、ごめん!」
後ろから追いかけてくるレオの、焦った声が聞こえてくる。私はバレないようにクスリと笑った。ほんとはもう許しているけど、もう少しだけこんな風に私の愛しい王子様にかまってもらいたい。あともうちょっとだけ、ごめんね、レオ。
*
*
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保管庫からでると、そこは茶の間だった。
レオたちは私が始めにはしごを登ったのでまだきていない。
ふぅー、懐かしい、我が家にもあった風景。
ほぼ無意識に、そこにあったこたつに入り込む
熱魔法で暖められたこたつのなか。ほぇーー、本当にこたつって安心する。でも、さすがに今日は少し暖かい春。暑すぎる。でも、疲れたし眠すぎるぅ…………
私は、久しぶりにこたつに入ったことで安心したのか最高に幸せな気持ちで意識を手放した。
*
*
*
____………ガタゴトガタゴト。
「んー……」
「あ……マリー、起きたのかい?」
ん……レオ……?はっ!!私!寝ちゃったんだ!
ひゃーー、やってしまった!!って、ここどこ!
「レオ、私……」
「マリーったら、こたつってゆう布団のついた机のなかで寝ちゃってたよ?ここは帰りの馬車だよ。お嬢様も向かいで寝てる。向こうは壁にもたれ掛かってるけどね。もう少し寝る?」
「馬車……」
向かいをみるとイブも疲れて寝ているみたい。
あれ、イブってあんなに背が高かったかな?
え、私は……
「れ、れおっ!?私……むぐっ……」
「しーっ、お嬢様の目が覚めちゃうよ。」
そう、私はレオに膝枕されている状態でレオを見上げながら喋っていた。そしてビックリして声をあげたら、口を塞がれた。なんてこった。
とりあえずレオの手をどかしてふうーっと息をつく。
大丈夫、これくらいで動揺しないの……。
いきなりレオの顔が近かったり、膝枕されてたとしても平常心を保つのよ……
レオが私の髪を優しく撫でる。
あー、やっぱりだめ!萌えが過ぎる!
憧れてたレオ様が今は、私の彼氏なんだと実感するとなんだか私は顔が熱くなってきた。
きっと今、顔赤い。恥ずかしくなってレオのお腹のほうに顔を向けて、レオから私の顔が見えないようにしたのだが……それがいけなかったのだろうか。
「マリー、ごめんね。」
「え?」
「まだ怒ってるの?俺、謝りかた間違えてごめんね。でもマリーが大好きだから……」
何の事だー?って、あ……まだいいよって言ってない。変な意地はって、許す前に寝ちゃったから……
「もう怒ってないよ、というか、本当は初めから怒ってないの。皆の前でお姫様とか愛しいとか言われたり、キスされるのが恥ずかしくて意地張っちゃっただけなの。ごめんなさい。」
私の言葉にレオの顔がぱぁっと明るくなる。
「そうなの?じゃあ、嫌われてない?」
「うん、レオだーいすき。」
よかった、そう言ってレオは私の額にキスをする。
「__っ!!それが嫌なんだって!イブがいるでしょ「お嬢様は今寝てるから2人きりと同じだよ……?」
うーーーー。
丁度私がなにか言い返そうとしたとき、馬車が急に止まった。
「え……」
ここはまだ私の家がある場所じゃない。イブの家の前でもない。
「ん……前にもうひとつ馬車があるね。何かあったのかな……?俺が見てくるよ。」
夕方の馬車……この場所___まさか。
「待って!出ないで!このまま馬車を進めてもらいましょう。」
「え、なんで……」
「アイザックルートに入ったかもしれない!」
そう小声で叫ぶ私。レオが目を見開く。
レオにはあらかじめ攻略者の説明をしてあるのだ。
そのとき………コンコンコン。私たちの馬車の扉がノックされた。あぁ、間に合わなかった。
「すみません、馬車が窪みにはまってしまったようで…………
途中みたいな終わりかただけど、次回の始めにそこから始まるので、20話途中じゃないです!




