閑話 貴方達さえいなければ。
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閑話ですが、ほとんど第十二話と言っても過言ではないと思います!
エドワード王太子に似合うのはマリア様だわ。
私がそう思ったのは入学式の日。
マリア様が宝石に触れた瞬間、宝石は七色に光輝き割れてしまった。それを見たときからそう思うようになったのだ。
「聖女様がいらっしゃった___」
学園長はそう叫んだ。
そうだ。
私もいつか、お父様に聞いたことがある。
「ちょうどお前の年くらいに、聖女と呼ばれる少女が現れるそうだ。強大な力と幸せを運ぶらしい。」
__彼女が。
可愛くて、公爵令嬢で、聖女の力まで持っている……恵まれた立場にいる……。
私は生まれて初めて、人とはなんて不公平なものなのだろうと思った。
私はこれまで、自分よりも優れた人をみたことがなかった。
それは私が侯爵の娘であり、1万人に1人の天才と呼ばれていたから。
それがずっと、学園に入ってもずっと続くと思い込んでいたのだ。
だが、上には上がいるらしい。
それなら……これからもずっと、私より上にいてくれなくちゃね……
私のプライドをこれ以上傷つけないためにも、あなたには他より、なん100倍も秀でていなくてはいけないのよ。
それに、あの能力があれば世界を変えられるとお父様が言っていた。あの強大な力をなんとしても国のものにしなくてはいけないとも。
私もそう思う。あの力はこの国の妃にふさわしい。王家に彼女さえいれば、この国の発展に繋がるだろう。
だから。エドワード王太子と仲良くしてね?
それに、ある程度の位がないと王太子とは結婚できないという古い決まりのせいで、ほとんどの女子が指をくわえてみているだけというのがこの国の現状。
だからせめて、あのぱっとしない、無愛想な女より貴女がお嫁さんになってよ。
チャンスも与えてもらえない、恋するたくさんの少女の代わりに、私達の納得のいく相手がなってよ。
王太子までの道……私が作ってあげるからね。
*
*
*
入学式の次の日。
マリア様は聖女じゃないという噂が流れた。
精霊が2人ついているから、その魔力も付与されて、宝石が耐えきれないほどになった……と。
そんなはずはない。皆はそれで騙されたようだけど、あの宝石は、予め精霊の力は除外されるようになっている。
だから、彼女は確実に聖女だ。
でも……この噂を流したのはエドワード王太子だというじゃないか。それなら話は別だ。全力でその噂に乗っかる。
すでにこのクラスの生徒は騙されて彼女を受け入れるムードだ。ここまで土台があるなら私がフォローするだけで済みそうだ。
「皆さん!マリア様は、昨日の事できっと落ち込んでらっしゃいます!私達は笑顔で迎え入れてあげましょう!」
「「「はい!そうですよね!」」」
ふふっ、思い通りだわ。
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「おはようございます。」
そう言って教室に入ってきたマリア様。
「「「おはようございます!!」」」
私達は彼女を笑顔で迎え入れた。
すると彼女は泣き出してしまった。
きっと不意討ちをくらって気が緩んだんだろう。
「なぜ泣きますの!昨日は災難でしたわね……クリスティ様。まさか精霊の加護と、他より少し強い魔力が合わさってあんな風に誤解されてしまうとは全く、たまったものじゃないですわ」
すかさず私は彼女に現状を伝える。
「そうなの……。学園長先生にあんな風に叫ばれて……」
彼女は涙目のままうつむいた。へぇ、そんな表情もできるのね……ますますエドワード王太子にふさわしい。
可愛らしくて、繊細……ふふっ。でも、隣のやつが邪魔。
「クリスティ様のお席はこちらですわ!」
イブリン・シュゼット。消えれば良いわ。ちょっとした意地悪でマリア様の席だけを案内する。
「マリアでいいですわ。もちろん皆様も……。あなたのお名前は?」
待ってました。私の名前を名乗るときは慌てぎみの方が、キャラ作りに最適だわ。
「あ、ごめんなさい!名乗るのを忘れていましたわ……私、メアリー・キャンベルと申しますわ。よろしくお願いいたします。」
「メアリー嬢ね。ふふ、ありがとう。助かったわ。」
私の名前を繰り返しふわりと微笑む彼女はやはり可愛く、美しい。
「おはよう、皆!」
爽やかに登場したのは、エドワード王太子。
シュゼットがわかりやすく笑顔になる。
忌々しい。引っ込んでろ。
クラスに入ってきて早々、エドワード王太子がマリア様に話しかけた。
「マリア、昨日は災難だったね、もう大丈夫だ。皆は優しいから君のことを理解してくれているよ……。ね?」
エドワード王太子はその美しい顔に見合った性格をしていると思う。いつ見ても惚れ惚れする完璧な優しい王太子。
「おはよう、イブ。元気かい?」
エドワード王太子が次に話しかけたのは……チッ……シュゼット。なんでシュゼットが……
__「エドワード王太子に似合うのはマリア様よ……」あなたじゃない。近づかないで……
思わず思ったことが口に出た。
危なかった……でも、私の声が小さかったお陰で彼女達には届かなかったようだ。
*
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それからしばらく私は彼女達の様子をうかがって過ごした。毎休み時間、彼女の元にはレオナルドというシュゼットの従者が来る。
マリア様……なぜよりにもよって、なんの位も持たないただの従者と……
それに、エドワード王太子もシュゼットしか見ていないようだ。
なぜ、なぜ……事態は最悪。
でも……それなら2人とも潰すだけだ。
それから私はシュゼットに嫌がらせを開始した。初めは筆記用具を隠したり、悪口を流したりするだけだった。
でも、一向にエドワード王太子とマリア様から離れる気配はない。その上、気にもしていないときた。マリア様や、エドワード王太子に報告しないのは良いけれど……
ムカつく……あの女……
この一週間で、放課後にトイレに行く習慣があることも知った。
だから、前から準備していた透明の糸を使って転けさせてやった。
ふふっ、あの足。痛っそぉーう。
シュゼットは足を庇いながら教室の方に帰る。
私も彼女をつけて教室の前に移動した。
__残念ながら教室の中の声は聞こえない。
しばらくするとシュゼットがエドワード王太子にお姫様抱っこされた状態で出てきた。
クソッ……なんで!!
転けさせるところまでは上手くいったのに。
また失敗した。
次こそは。次こそは、マリア様を……エドワード王太子とくっつけてみせる。
*
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__それから1週間ちょっとした放課後。
今日の休み時間、明日王宮に行くという話を盗み聞いた。
毎日シュゼットとエドワード王太子との仲が縮まっていってる気がする。
明日のためにエドワード王太子からシュゼットにワンピースを贈るそうだ。
そんなことさせてたまるか……
少し野蛮だけれど……
「そこのあなた!マリア様とエドワード王太子に伝えてほしいのだけれど……先生が呼んでいました。と」
「あ、はい。わかりました!」
私はシュゼットとレオナルドだけにするため、嘘をクラスメイトの女子に伝えてもらった。
これでいいわ。
よし!!シュゼットとレオナルドから2人が離れた。
私は少し変装をして、階段の方に向かうシュゼットとレオナルドに近づく。大丈夫、今ならまわりに人はいないようだ。
「ねえ、あなたたち。金輪際、マリア様とエドワード王太子に近づかないで。貴方達さえいなければ……」
「あなた……誰、何をいっているの……もしかして、今までもあなたが……っ!キャア!」
「お嬢様!!君!なにを……うわ!」
ふふっ、私に突き飛ばされて2人は階段から転げ落ちた。うん。計算通りね……大丈夫よ。ここから落ちても気を失う程度で済むわ。
私は別に殺そうなんて思ってないの……ただあの2人から離れてくれさえすればいいのよ……
最後に私は変装をといて……
「キャアァァ!イブリン様と、その従者が階段の下で倒れてますわ!!!!!!!!!!」
「「「え!大丈夫ですか!!!!?」」」
周囲の人が駆け寄ってくる。
ほらね、かーんぺき。
メアリー嬢………




