第九話 浮気疑惑発生
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マリアの束縛がきつすぎるかな?
「むぅぅ、なんで来ないの?」
私は口を尖らせ、机に向かって顔を伏せた。
今は、2時間目と3時間目の間の休み時間。
そして私は、自分で言うのもなんだけど、超っ絶、不機嫌。
なんでって?レオが約束した休み時間を過ぎても全然来ないから。
他のクラスメイトの元には、クラスが違ったり学年が違ったりしても、友達なり兄弟なりが来ていて廊下が埋め尽くされるほどなのに、レオだけはいつまでたっても来ないじゃないか。
おかしい。そんな思いでいっぱいになる。
私は、朝の休み時間の20分と、1時間目と2時間目の間の休み時間の10分、合わせて30分間もレオを待っている。
その上、目の前でイブとエドワードのラブラブっぷりまで見せつけられて、なんだかとっても辛い。
今すぐにでもレオに会いたい。
でもレオはそうじゃないのだろうか?
正直、意味がわからない。
朝までは、私を気遣ってくれる、愛してくれている、最高の彼氏だったのだ。
この二年間、レオは私との約束を破ったことは無かったし、すべて期待以上なくらい私に尽くしてくれていた。
なぜ?こんなにすぐに人って変わるの?
約束したことを忘れている?
それとも何か事件に巻き込まれた?
先生からの呼び出しがあったとしても、私の方に誰かが知らせにくるはずなのだ。
それすらも来ないとは。なぜ?
私の頭の中が、疑問符で埋め尽くされる。
「次の休み時間に必ず会いに来てね?」
「ああ、勿論だよ」
そんな会話をしたと思ったのは、勘違いだったのだろうか。約束していなかったとしても、自主的に会いに来てくれる人だと思ってたのに……
「イブ、私、レオに会いに行ってくる。」
私はガタッと音をたてて立ち上がる。
「マリー……そうですわね、いくらなんでも遅すぎますもの。」
「やっぱりそうだよね?朝の休み時間に会いに来てくれるって言ってたよね?」
「ええ、言っておりましたわ。約束を守らないのはレオナルドらしくないです。なにか……なにか、おかしいですわ。」
「うん。私もそう思う。やっぱり……見に行ってくるね!」
「中等部の校舎は、渡り廊下を渡って左ですわ!」
「うん!ありがとう!」
私はイブにお礼を言いながら駆け出した。
*
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「中等部の校舎はあそこね……たぶんレオは2階の教室のハズ……」
私はそう呟きながら渡り廊下を渡る。
渡り廊下の半分を過ぎた辺りから、キャーキャーといった声が上がっているのが聞こえる。そして、「すみません、俺を待っている人がいるので、通して……」という、弱々しい、聞き慣れた声も。
まさか……レオ……?
私は一目散に駆け出した。
左に曲がった瞬間見えたのは……女の子達がある一点に集まっている様子。よくよくみると、ちょうどその中央部にサラサラの金髪が見える。
色々な女子に絡み付かれて、朝には綺麗にセットされていた髪が乱れている。
レオだ。まさかこんな風になっていたとは。
頭の中でブチリと何かが切れた。
「あなた方!一体何をしているのかしら?私の大切な恋人に群がるとは……良い度胸をしているじゃない。」
私は今までに出したこともないような、大きく、過去最高に低い声を出した。
公爵令嬢としては失格なのだが、そんなことを言っている場合じゃない。
私の声を聞いて、たくさんのご令嬢の視線が私に集まる。なかには私をキッと睨み付けてくるご令嬢もいる。
ふーん、あなた、中々良い度胸してんじゃないの?公爵令嬢の権力をフルで使う時が来たか。
「そこのあなた、名乗りなさい?」
静かに笑みを浮かべながら私が言う。
「はぁ?私は上級生よ!大体あなたが誰よ!私たちの邪魔をしないで!先に名乗るのはあなただと思うわ!」
周りの人たちもそれに頷く。
あぁ、この中でこの子が一番位が高いのか。この子、たぶんローゼンベルク家の令嬢ね?じゃあ、伯爵か……でも生憎、私の敵じゃないわ。
「ああ、マリー。ごめんね、ずっと行けなくて……朝からこの状態で……頑張ったんだけど、なかなか抜け出せ無かったんだ……」
女子軍団に一時的に解放されたレオが、スタスタと歩いてきて私に頭を下げた。
レオは悪くないけれど、私の怒りは収まらない。レオの乱れた髪を手で綺麗に溶かして、後ろに下がらせた。
「私、マリア・クリスティと申しますわ。以後お見知りおきを。」
制服のスカートをふわりと掴んで、綺麗なお辞儀をする。顔をあげたら、にこりと微笑む所までが自己紹介というものだろう。
私が名乗ると女子軍団が凍りついた。
やっと気がついたか。うちは公爵の中でも一番目立つ家だし、お父様は宰相。
お父様の家族愛が半端ないことは、今や周知の事実だ。
娘の頼みともあれば、それが何であってもやってのけるだろう。
今の私はなんて酷い公爵令嬢なのだろうか。もしかしたら私、ヒロインよりも悪役令嬢の方が向いてるかも?
「あ……わた、私、名乗るほどのものでは「私が名乗れと言っているのよ?」はい……。私、アイリーン・ローゼンベルクと申します。」
「そう……アイリーン。あなた……今日を精一杯楽しんでおきなさい。明日が今日と同じように来るとは限らないわ……。ああ、あと、帰ってご家族に謝っておきなさい。」
「あ……あ……」
アイリーンが手で顔を覆う。自分の処遇を悟ったようだ。
「他のご令嬢方も、今回は見逃すけれど、これからは私のレオに必要以上に近付かないでね?ふふっ。では、また。私、お昼休みに食堂に行く予定ですわ。」
私はレオの手を引っ張って渡り廊下に出た。
なぜ昼休みの予定を言ったかというと、アイリーンにもう一度だけチャンスをあげるため。
いくらレオに近付いたり、私に無礼を働いたとしても彼女は純粋に、知らなかったのだ。食堂に謝りに来たら許してやろうと思う。
「マリー、マリー!マリー?ごめんね。」
手を引かれてついてきたレオが後ろから謝る。
「ふん!知らない!あんなにモテるんだし、同級生の女の子達が良いならあっちにいけば!」
私はなんとなくちょっと怒ってみた。本当はなんとなくって訳でもないけど……ただのちょっとした意地だ。
私、もしかして束縛きつすぎる?でも、彼氏に女が群がってたら誰でも嫌だよね、ベタベタしてたんだよ。
「俺はマリーが良いよ。マリー以外は要らない。あのときそう言えれば良かったんだ。でも、どうしても言えなくて……」
ふふ、私が良いって。じゃあ……
「なんで言えなかったの?」
「……だって、ご令嬢たちに優しくしていた方が、マリーに相応しい人間らしいだろう?身分では相応しくない事はわかってるけど、人として君に相応しい人間にまずはなりたかったんだ。」
レオ……そんなこと考えてたの?
「レオ、私こそごめんなさい。私あんなに怒っちゃって……きっとこれからやりにくいよね。」
「いや?きっと皆、あんな勇敢で可愛い彼女がいていいなって言ってくれるよ。」
「レオ……やっぱり大好きよ。」
「マリー、俺もだよ……。」
人目も憚らず自分達の世界に浸る私たち。
結局、今日もラブラブであります。
前世の私なら言っていただろう。
「迷惑だ。人目は憚れ。」と。
*
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時は過ぎ、昼休みになりました!
今日は、私、レオ、イブ、エドワードの四人で焼き肉定食を食べております!
ここの食堂美味しいの……
「マリー、向こうにイチゴパフェあったよ!」
そう知らせてくれるレオはとても可愛い。
「後で食べようかな……!」
「うん!」
「仲直りしましたのね、結局レオナルド、あなたなぜ来なかったのかしら?マリーが寂しがっておりましたのよ。」
「イブ!言わなくて良いことまで言わないでっ!」
「すみません……色々ありまして。寂しがってたんですか?可愛っ……」
レオがそれを聞いて顔を赤らめた。もうやめてぇー。ちょうどそう思ったとき……
「マリア・クリスティ様。先程は申し訳ございませんでした!!レオナルド君に彼女がいるとは知らず……」
きた、私の助け船!
「もういいのよ。私もいきなり怒って悪かったわ。だから、反省したのなら構わない。あ、そうだ、あなたも一緒にお昼ご飯食べない?レオのクラスでの様子を聞かせて欲しいわ。あと、気軽にマリアとお呼びになって?」
「良いのですか……?ありがとうございます!」
__それからアイリーンも一緒にお昼ご飯を食べた。レオは照れていたけれど、私の知らない間を聞けるのは有難い。
こうしていつの間にか、私たちは仲の良い友達になっていった。
まさか数年後、姉と妹のように信頼し合えるなかにまでなるとは思ってもみなかったけれど。
アイリーン、気が強いだけの良い子です。
姉御肌です。
作者は、新型コロナウイルスの影響で、卒業式まで学校に行けないと知って落ち込んでおります。
でも仕方ないんですよね、命の方が大切だと私も思います。卒業式があるだけで十分幸せですよね。
学生の皆様、社会人の皆様、くれぐれもお身体にはお気をつけて。皆様の健康を祈っております。




