第二話 私が聖女な訳がない
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マリアが段々チートになっていく?かも。
入学式当日、学園長に「聖女様が、いらっしゃった!!!」と叫ばれてしまったわけだが。
ちょっと落ち着こう?早とちりだよね。
皆の目の色が変わる。
その目は異質なものを見る目?それとも好奇の目?どちらにせよ嫌だ。私は普通がいいよ。
私が聖女な訳がないでしょう?
私は、ただの公爵令嬢なんだから。
まあそりゃ、一応ヒロインではありますけどね、私はレオの愛を貰うだけでいいんですよ。
他の攻略者なんて正直どうでもいい。
だから、恋人になれた時点で、「私はヒロインをやめたー!」って事にならないかしら?
それに、ゲームの中ですらマリアが聖女だなんて設定無かったわ。ましてやこんなに宝石が虹色に光るとか、会場に強風が吹くだなんて……おかしくない?
聖女ってもっと、“ザ・純白っ"!て感じの子がなるもんじゃないの?私、どちらかというと汚れの塊みたいなもんだよ?真っ黒だよ?
死んでまで推しに会いに来た女だよ?
神に頼んで……って!あ!
神!
そういや、なんか加護受けた!!
もしかして、だからなの……?
そもそも聖女ってなに。
何がどうなったら聖女って認められるんだろ?
私このまま、何事もなく生きていきたい……
そもそもの目的はレオと幸せに暮らすことだし、それ以下でも以上でもない。
聖女になったら、普通の生活とか出来ないんじゃないかしら。
お城の中の塔とかに一生閉じ込めにあって、祈りを捧げろとか言われたらどうしよう。
そんな事になったらレオと付き合うのも無し?
私フラレちゃうかもしれない。そんなの嫌だ……
想像したら怖くて震えてきた。
嫌だ。誰が嘘だといってよ。
私、ただ中身が転生者なだけの、6歳の公爵令嬢だよ、怖いよ。
早く誰かこの空気をどうにかして。
耐えきれなくなった私は頭を抱え、その場にしゃがみこんだ。
手に持っていた宝石の破片が床に散らばる。
そのパリンという音で、レオがハッとして私に近寄って来た。
レオ……助けて。私を安心させて……
「マリー、行こう。とりあえず外の空気を吸おう?大丈夫だから。ね?」
そう言って私を立ち上がらせてくれる。
いつものようにふんわりと微笑む貴方がとっても眩しい。
「うん……!」
レオのお陰で自然と笑顔になった私は、差し伸べられた手を取り駆け出した。
*
*
*
「はぁ、はぁ、ここまで来ればもう追ってこないだろう。マリー、大丈夫か?怖かっただろう、すぐに助けてあげられなくてごめん。俺も少し戸惑ってしまって……」
「ううん、助けてくれてありがとう。レオが連れ出してくれて凄く嬉しかった。怖かったけど、今はレオのお陰で安心してるよ。」
私はそう言ってレオに笑いかけた。
「マリー、俺は君が聖女だったとしても、前世の記憶を持っていても、人以外の何かになったとしても、ずっと変わらぬ愛を誓うよ。」
レオは優しく私を抱き締め、頭を撫でてくれた。
彼の言葉が心に染みる。
レオが、ずっと変わらない愛を誓ってくれるなら、私はいつでも強くいられる。
大丈夫だ。
私がぎゅっと抱き締め返すと、レオがふふっと笑った。
つられて私も笑う。
「わ!レオ!?」
ふわっと体が宙に浮いた。
ちょっと、レオ!?なにしてんの!
「わははは!」
レオが私の腰を持ち上げ、くるくると回る。
「きゃーあ!ふふっ」
昔よくお父さんにしてもらったやつだ!
ふふっやっぱり楽しい!
何周かしたあとレオが満足げに私を下ろした。
「ありがとう。私を楽しませてくれたんでしょ?」
「……いや?俺がしたくなっただけだよ。」
そう言っておどけてみせてくれるレオは、誰よりも格好いい。
「じゃあ勝手に感謝しとくね?ありがとう、大好き!」
ちゅっとレオのほっぺにキスをする。
したくなったらその時にするべきだと思う。
「っ___!!?」
ふふ、何度みてもレオのビックリしている顔は面白い。それから、すぐに赤くなる所も。
「ふう、私もう大丈夫だからそろそろ戻ろっか。」
「本当に大丈夫なの?もう少しいてもいいんだよ?」
「大丈夫。何があってもレオが私のそばにいてくれるでしょ?」
「ははっ、ああ。そうだね。」
私達は手を繋いで会場へと戻った。
会場はどうなっているだろうか。
私を探していることは間違いなかった。
*
*
「聖女様~!聖女様~!」
会場に近づくとたくさんの大人が私を呼んでいた。聖女様って呼ばれるのあまり好きじゃない。
「私には、ちゃんと名前があります。私は聖女ではありませんし、そんなものになるつもりもありません。」
「聖女様……聖女様が見つかりました!!」
くそ、こいつ人の話ぜんっぜん聞いてない。
「チッ、だから……「彼女は嫌がっておるようだぞ?君たちは、我が今、成し遂げようとしている改革を知らないのかね。」
「はぁ?オッサン誰だよ……って、国王様!大変申し訳ごさいません!」
人の話を聞かない愚かさが自分をおとしめるんだよーだ!
ていうか、国王!?何でここに……って息子の入学式か。
この人、息子大好きだしな。
でも助かった。この人、権利の章典的な改革をしようとしているっていう設定だった。
「君は……おお、クリスティの娘か。とりあえず学園長室に行こうか。」
そうそう、お父様の同級生で、親友でもあったかしら。
「はい。私、マリア・クリスティと申します。彼、レオナルドも同席してよろしいでしょうか?」
「ふむ、良いであろう。ついてこい。」
国王は髭をちょいちょいっと触り、にこりと笑った。
言われるがままについて行くとさっきの気絶した学園長が廊下で頭を下げて待っていた。
「申し訳ありません!私がシャキッとしていれば……指示なども出せだであろうし、私が“聖女だ”などと言わなければ混乱を招かずに済みました。全て私の責任であります。」
「過ぎたことは後悔しても遅かろう。これからどうするかを考えよ。マリア嬢もこやつを許してやってくれぬか。」
「はい。頭をあげてください。もういいですよ、国王様の言うとおり、過ぎたことは仕方がないですから。」
「なんと、お優しい……ありがとうございます……あ、お入りください。色々と……説明をいたします。」
*
学園長室のソファーは、とってもふかふかで、上質な皮を使ったものだった。
そこに腰を掛け、なにやら書類を取り出す学園長を見守った。
その間に国王がこの国にある言い伝えを説明してくれることになった。
「この国には創立当初から伝わってきた話があるのだがね……。私の先祖が神からのお告げで、丁度1000年後、国王が国の改革に行き詰まったときに、それを救うきっかけとなる聖女様が現れると言われたそうなのだ。」
「丁度1000年後……ですか?今は創立から1002年後のですよね。2年のずれがあります。」
「そこが問題なのだ。だが、外見の情報などもマリア嬢とそっくり、入学式に属性検査用の宝石を割るという指定もクリアしている。聖女は人を癒す力、正しい答えを導く力を持っているそうだ。」
「それで、学園長が慌ててしまったということですか?」
「そうなるな。」
……嘘をついているとは考えにくい。
神というのもなんだか怪しい。
「ウラノス、アイテール。来て。人間サイズで。」
『えー、嫌だよ、神はそんな急にはでないんだ。面倒くさがりだからね。』
ますます怪しい。こいつら……逃げようとしてるな?
「来なさい。……さっさと来い!!」
『はいっ!行きまふっ!!』
二人の焦った声が聞こえる。
実は……いや、普通に私、怒ってます。
シュッ!
「っとぉー。おはよー?」
「国王様、神というのはこのような外見でしょうか?」
「!?確かそうだ!学園長!まだ神についての記述は見つからないのか!」
「すみません!2年前なにも起きなかったものですから、すっかり奥にしまいこんでしまったようで……あ!ありました!」
学園長は段ボール箱を抱えながら、ドスドスと走ってくる。そして机の上に、神についての記述のある巻物を広げた。
そこには……
「どういうことか、ちゃんと説明してもらおうか?」
私はにっこり笑ってそう言った。
「「ハイ。」」
すっかり神二人が縮み上がっている。
……間違いなく、ウラノスとアイテール、この二人の顔が描かれていた。
皆さん、風邪やインフルエンザなど流行っておりますから、手荒いうがい、マスクを心がけてくださいね!
皆さんが元気でいられますように!




