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番外編 甘いチョコは恋の味

ブックマーク、ご愛読ありがとうございます!

これからもよろしくお願いいたします!


バレンタインデーの番外編です!






 やっぱり日本人が作った乙女ゲームの世界だなと思う。イベント事が好きみたい。


 しっかりバレンタインデー、ホワイトデーというものが存在するのだ。


 しかもそれだけではなく、お正月(お正月という名前はないけれど、親しい人で祝う)、エイプリルフール、イースター、ハロウィンや、クリスマス、更にはクリスマスイブまである。



 まあ……さすがに、節分やひな祭り、こどもの日、七夕、お月見といった日本行事は無いが。


 私……お月見したいなぁ。

 日本行事……作り出そうかな。そうしよう。




 それは一旦おいとくとして、明日はバレンタインデーだ。

 私がこの世界に来てから10ヶ月ほどたった。

 私は、この10ヶ月でだいぶ背が伸びた。これでなんとか厨房に入れてもらえそうだ。



 こちらの人たちはみんな温かくて、優しい。

 そりゃ、たまには怖い目にあったりもするけれど……ふふ……私の大好きなレオが助けに来てくれるから大丈夫。



 レオとは私がこの世界に来て一週間後くらいから付き合い始めた。


 そういえば私、レオとどうしても恋人になりたくてこの世界に来ることにしたんだよね。

 まさか本当に付き合えるとは思っていなかったけど。いっそのこと、側で見ていられればそれでいいと思ったこともあったなぁ。



 まったく、今では考えられないことだ。

 私のそばに彼がいないなんてもう想像もできないし、これからもずっと側にいたい。




 だから……「イブーーーー!!チョコレート作りましょぉーーーーう!!」


 私はイブにもらった合鍵で玄関ホールに入り、この小さな体から出るとは誰も思わないほどの大きな声で叫んだ。



 む、返事が来ない。じゃあもう一回?


「イブぅーーー!!!……」



 バタン!ドタドタドタ……


 あ、起きたかな?



「なんですの!?こんな朝から!私まだ寝ておりましたわ!」



「あはは!ごめんごめん!だって、いつも通りの10時だと、レオもいるでしょ?なんとかバレずにサプライズで渡したいの!」



「………………明日は……?何の日でしたっけ?」



「ええ!?覚えてないの?ふっふっふー、バレンタインデー!だよ!」



「あー、そう言われるとそうですわね。うふふ、私ったら今思い出しましたわ。今日もマリーは、テンションが高いですわね。」



「当たり前でしょー?テンションだけが取り柄よ?」


 ドヤ顔でそんな事を言ってみる。



「ふふふっ!本当にあなたと居ると退屈いたしませんわ。少し待っていてくださいませ!動きやすい服に着替えてきます!」



「うん!」


 イブは、ふかふかのスリッパをパタパタとさせながら階段を上がっていった。転けないでねー。



 *

 *



「マリー、私考えたのですけれど__」



 今度は手すりを掴みながら、優雅に降りてくるイブ。



「どうしたのー?」


 私は呑気に返事をした。



「あなた、レオナルドにサプライズで渡したくて朝早くに来たのですよね?」



 ??


「そうだよ?」


 何をいってるんだ、イブは?私は本気でそう思ったのだが。



「それならどちらにしろ、ここにいてはレオナルドは来ますわよ?うちの厨房を使うのなら尚更。だって私の従者ですもの。私の朝食を取りにいきますわよ?」



 ハッ!!そっか!!考えてなかった!



「えええ!どーしよう!!」



「うーん、そうですわ!マリーの家で作りませんか?レオナルドには置き手紙をすればいいわ。」



「あ、そっか!じゃあ早く書いて移動しよ!時間ないよ!」



「もーう。わかりましたわ。」



「行き先は内緒だよ!レオが来ちゃうから!」



「わかってますわ!」



 私たちが書いた置き手紙の内容はこうだ。



 ~レオナルドへ~


 私、マリーと少し出掛けますわ。

 安全ですし、夕方には帰りますから心配しないで、お父様を手伝ってあげて下さいませ。




 ~レオへ~


 ちょっとイブと出掛けるね。

 心配要らないから!大好きだよ。

 今日は会えないけど、また明日会おうね!




「よーし!これで完璧だね、行こう。」



「そうですわね!行きましょう。何を作るつもりですの?」



「うーん、まだ決めてない!あはは!」



「まったく、マリーは。ふふっ」



 そんな風にくだらないことで笑い合いながら、私達は馬車まで歩いていった。



 *

 *

 *


 

「ついたぁー!!モリス、私に1日厨房を貸してと交渉してきてくれないかしら。レベッカ、この間作った私たち用のエプロンを持ってきてくれる?アニー、もしレオが来ても通さないでと家中の使用人に伝えてきてほしいの。」

 


 私はどこかの社長のように指示を出した。

 毎日やってると噛まなくなるものだな。



「「「かしこまりました、お嬢様。」」」


 綺麗な角度のお辞儀をして3人がそれぞれの仕事をしに行く。



 それから5分ほどでレベッカがエプロンを持ってきてくれた。



 そして丁度エプロンを着け終わる頃、モリスが厨房長からのOKを勝ち取ってきた。


 うちの厨房長は、ちょっと太った?マッチョな?男の人で、普段は優しいのだが、料理関係の話になると正直めちゃくちゃ怖い。


 その厨房長のOKを勝ち取るとは。モリススゲーな。


 さすがは私のお気に入りの侍女達。

 仕事ができる。たちまち私の気分はルンルンになった。



 アニーはもう少し時間がかかるだろう。なにしろ家中の使用人に伝えるのだから。うちの屋敷は、この国の中では城の次に大きいと言われている。さすがに可哀想だったかな?



「イブ、移動しよっか!モリス、レベッカ、アニーを手伝ってあげてきてくれる?」



「「かしこまりました!」」



 うんうん。元気が良くてよろしい。

 私達は歌を歌いながら厨房へ向かった。



 *

 *

 *



「うーん、それでなにつくりたい?」



「え、マリーが決めるんじゃないんですの?」



「「え。」」



  沈黙が流れる……が。



「俺は、前食べたクッキーってやつまた食いたいな。」


「僕は、ガトーショコラってのを食べてみたいな。ほら、キミがこの前話していただろう?」



 呑気な妖精、ウラノスとアイテールの声であっさり打ち消された。



 ……神が言うならそうしようかな。


 まったく。最近は庭でハンモックに揺られながら昼寝するか、本読むかしかしてないくせに、こういう都合のいいときだけ出てくるんだから。



 そう思いながらも私達はクッキーとガトーショコラを作ることに決めた。




 *

 *

 *



 

「できたぁーーー!!」



 クッキーを焼いているときに、使用人とレオの少しもめているような声が聞こえたときは、焦ったけれど、なんとか可愛くラッピングするところまでできた。


 ナイス。頑張ってくれてありがとう!


 あとは、明日渡すだけ~~

 ふふっ



「イブ!明日はエドワードに渡しに行かなくちゃだね!!」



「あ……あの、その、実は明日、エドワード様がわざわざ来てくれますの。」



 え!ほんとに!?めっちゃ愛されてるじゃん!



「ほんと!?やったぁーーー!!」



 私はイブの手をとって、ブンブン振った。

 ありがたいことに、厨房で手を取り合って、ぴょんぴょん跳ねる幼い少女たちに向けられる視線は、とても温かい物だった。




 厨房から出ると、玄関ホールに置かれたベンチに腰を掛けて眠るレオの姿があった。



 泣いたのだろうか。少し頬に涙の跡がある。



 モリスから、「レオナルド様、心配してお嬢様に会いたがっていらしたんですけれど、完膚なきまでに厨房長ブロックを受けて、相当悔しかったみたいです。」と聞いたときは、もう可愛くて可愛くて仕方なくて。



 なんとか、可愛いーー!!と叫びそうになるのをこらえて「先に馬車に乗っておいてくれる?すぐにレオも行かせるから。」と頼んだ。



 イブはニコニコしながら、じゃあまた明後日ね!と手を降って帰っていった。




「レオ、レオ。おーきて。」


 そおっとレオのおでこにキスをする。

 ふふ、いつかのお返しだ。



「ん……」



 長いまつげが開かれる。


「レーオ、おはよう。来てくれたの?へへ、嬉しいな。」



「マリー?良かった……元気そうで……ハッ!!いや?別に貴女に会いに来たわけではありません。お嬢様を迎えに来ただけです。では……」


 そう言って立ち上がるレオ。



 む。怒っているみたいだな。

 モリスからの報告がなければ、今の言葉で1週間は寝込んだかもしれないが……

 モリスからの報告を受けた私は無敵だ。



「ふーん、ほっぺに涙の跡がついてるけど?それに、心配して私に会いに来てくれたってモリスに聞いたけど?モリスが私に嘘をついたのかしら?」


 ちょっと強気に出てみる。



「はぁー、負けだよ。そーだよ、君を心配して来たけど?みんな通してくれないし?君からの命令だって言うし?」



「ふふっ、レオ大好き!ねぇ、明日は何の日だと思う~?」



「なに?急に……話をそらそうったって……あ。もしかして、バレンタインデー……?」



「ふふ、そうよ!だから、サプライズで明日渡そうと思ってイブとこれ、作ってたの。1日早いけれど……はい!」



 そう言って後ろ手に隠していた、可愛くラッピングしたクッキーとガトーショコラを出す。



「はぁーーー。俺は……、まったく。ごめんね、ありがとう。」


 うなだれたレオが、私を抱き締める。

 心なしかいつもより強いような?



「ううん、心配してくれて嬉しい。ありがとう」



「可愛すぎる……愛してるよ。俺だけのマリー。」



 ふぁ!!ちょ、耳元で囁かないで……

 私が耳が弱いのを知っていてしてくるから、たちが悪い。

 でも……



「私も愛してる。私だけのレオ。」


 ふぅっとレオの耳に息をかける。


 私もやられっぱなしでは気がすまない。

 変なところで意地っ張りなのだ。



「ふぁ!」


 さっきの私と同じように、そう叫んだレオの顔は真っ赤だった。





 私はこれからも、この愛しい彼に毎年チョコを贈ると誓おう。

作者の都合で、来週からの2~3週間だけ、週2投稿にさせていただきたいなと思います。


曜日は、月曜日と金曜日を予定しております。


少しの間、更新は遅くなりますが、これからもご愛読よろしくお願いいたします。

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