はじまりの村
物語は、ようやく最後の時を迎えようとしていた。
苦難を乗り越え、ようやく魔王城に辿り着いた勇者達の一向は
玉座の間への扉を開く……。
……エンディングはそうは遠くない。
この時、彼らにはそんな確信が確信があった。
最後の魔王と最後の勇者。
彼らの物語は、この時、本当に終わりの時を迎えたのだった。
数日後。
王都から程よく離れた、ある錆びれた村の一軒家に、数人の男女が集まっていた。
彼らは「甲冑」や「ローブ」といった村人らしくない服装をしており
共通しているのは、その中の誰もが暗い表情をしている、という事だけ。
「もう、限界だ。
これ以上は……」
参加者の一人?
異形の者が絞り出すような声で言う。
その声に反応するように全員の視線は魔王に集まった。
「公共機構冒険者組合の勢いは、もはや留まる事を知らないだろう。
それに対して我らは……」
視線を受けながら、尚も続けた魔王の言葉を聞いて
雰囲気は重くなるばかりだ。
と、そう思われた時。
「残念ながら、我々の組織
秘密結社、始まりの村
では冒険者組合に対抗する事は困難だろう」
誰もが口にする事を恐れとしていた発言をしたのは、過去に暗号名王様と呼ばれていたいつ見ても初老のおじ様だった。
「おっさん……」
彼の言葉に思わず言葉を発してしまったのは、暗号名勇者で
その発言は、過去の物語によるなごりだったのかもしれない。
この暗い雰囲気を振り払うように口を開いたのは暗号名商人だ
彼の結社に対する熱い思いが皆を刺激する。
「まだ、そうと決まったワケではありませんぞ!
民衆達の我々に対する支持が薄れ、何故機構への関心が高まったのか?
つまりは、若者の勇者離れ!!
この原因を突き止める事によって、再びはじまりの村の村おこし
としようではありませんか!!」
言い終えた彼の頬が少し紅潮し、手なども
若干、握り締めたりしていたようだ。
その様子が他の会員に影響を受を与えたのか
部屋の温度がほんの少し上がったのでは?
といった感じで皆の気分高揚していた。
「で、具体的にどうする?」
という、賢者の言葉が放たれるまでは……。
だが、その沈黙はほんの数秒で終わる。
「招かれてる客」
この二人の訪問者によってなのだが。
彼らが登場は「屋根裏」という不自然な状況で
我々が思ったより時間がかっていた、ただ幸いにも
待ち人の熱量は冷え切らずに済んだようだ。
そして。
ようやく準備を終え、再びその場に若干の緊張が走る。
ここで口を開いたのは忍者
「潜入捜査」
彼は多くを語らない。
淡々と事実だけを報告するのだ。
ただ、これを聞いた者達
彼らの思惑は視線となって魔王、そして勇者へと集まる。
抗う事を許されない、恐ろしい視線。
といっても良いかもしれない。
こうして「始まりの村」の運命をかけたミッションが始まった。
それは、世界を救う
という勇者達の伝説には程遠いだろう。
だからこの物語は後に伝説lightと呼ばれるようになる。
ただ、ごく一部者達にとっては、伝説rightと呼ぶ者もいる
のかもしれない。




