奴隷ちゃんのさーびすたいむ!の巻。
その昔、騎士として勇敢な戦働きをした祖父が、恩賞としてこの地を下賜されたのが我が家の始まりです。
その当時は本当に何もない平原だったのですが、幸いなことに街を作るのに十分な水量の川と、入浴することが出来る温泉が自噴していたので、祖父はこの地に最初の開拓村を作ると決めたと、父から聞きました。
御蔭で我が街では、庶民でも温かい湯に浸かる習慣があり、公営の浴場には多くの旅人が来ますし、田舎貴族ですが我が家は立派なお風呂がありますから、多くの方がお風呂目当てに晩餐会に来てくれています。
「おー、家の割にゃ結構立派な風呂じゃんか! 風呂は俺のハーレムにふさわしい感じだな、女の子増やしまくっても、エロエロ……、じゃなかった、色々出来そうだな」
そんな偉大な祖父の遺産に対し、敬意の欠片すら見せないご主人様の態度に、私は怒りがこみ上げてきますが、それでも作り笑いを崩さずに相槌をうち、下劣な獣の裸体を晒すために母のドレスを脱ぎ捨てます。
「うわー本当に立派ですね―、これなら皆で入れますね―」
私を見つめる不躾で粘質な視線に、父母が慈しみ育ててくれた肌を晒す屈辱と、初めて裸を見られる恥ずかしさに身体は震えを覚え、足は動きを止めてしまします。
「どうした? なんか震えてるみたいだが、メリーは寒いのか?」
そんな私の姿がご主人様の興味を引いてしまったのでしょうが、どこか間の抜けた、不思議そうな問いかけは好都合でした。
羞恥でうまく頭が働かず、他に上手く誤魔化す方法が思い付かないので、その勘違いにそのまま乗ってしまうことにします。
「うぅ……、もう収穫も終わって雪が降る前ですし、やっぱり裸は寒いですよ~。だから早くお風呂に入りましょー?」
「ぐふふっ、メリーも俺もマッパだし寒いよな、んじゃ早速入ろうぜ!」
その言葉の後、騒がしい足音を鳴らしながら揺れる肉塊を追いかけて、私は湯船の側まで移動して、湯おけで浴槽から湯を掬って頭から被ります。
「あー、暖かくて気持ちいいです―、ご主人様にも掛けますね―」
「お、熱すぎなくていい感じの風呂だな、これならのぼせたりせずにメリーとイチャラブできそうだな!」
堪え性のないご主人様は、何か碌でもない事を思いついたのでしょう、こんな所でも下らない事を考えているようで、私の平べったい身体に下衆な視線を投げつけ、獣欲に塗れた気持ち悪い笑顔で奇妙なこと口にします。
「あははー、のぼせたら大変ですよー?」
とりあえず、ここは肯定も否定しない返事を返しておこう、そう思って返事をすると、ご主人様がいつも以上に気持ち悪い笑顔を浮かべ、私の返事にかぶせるように裏返った声を掛けてきました。
「そっ、そうだ! 風呂に入る前に俺の身体をメリーの身体で洗ってもらおうかな!」
裏返った早口で下衆な指示を出すご主人様の言葉、その真意どうにか理解しようと、私は理解したくない意味を考えます。
「え……?」
恐らく昨日、お母様から聞いた娼婦という仕事の真似事をしろ、体を海綿代わりにして身体を洗え、そう言っているのだと理解すると、作り笑いが引きつって崩れて行くのを感じます。
それは私の身体を、家族が慈しみ育ててくれた肌を、今直ぐにでも殺してやりたいと思う下衆に、ご主人様の異臭のする醜い身体に擦りつけ、媚びた笑顔で洗う事を想像した所為です。
「えっとね、ご主人様……」
その屈辱的で惨めな姿を、頭が理解した意味を感情が拒否しようとしたのでしょう。ご主人様に返そうとした言葉が胸の中で詰まってしまい、喉にしがみつくように出てきてくれません。
「どうした? もしかして嫌だ……、とか言わないよな?」
そんな私の戸惑いに気付いたのか、肉塊のどこか不機嫌そうに問いかける声音と、猜疑の視線で焦燥感が沸き起こる中、私は不意に昨晩のお母様の教えを思い出しました。
『いいですか、殿方は慣れて擦れた女より、無知で純粋な女を好みますし、そうした方が大事にされますから、閨でなにか困った時は、恥じらうように教えを乞いなさい』
そう、私は既に自らの運命を復讐のために使うと決め、多くの人を命を犠牲にして賽を投げてしまった身、そのために自らを案じてくれた母すらも犠牲にしたのです。
これから行う復讐を考えればこの程度で怯むわけには行かないと、私は覚悟と母の教えを思い出し、自身の折れそうな心を奮い立たせ、母に言われた通り無知を恥じらうようにご主人様の股の間に膝を折り、上目遣いで教えを乞う振りを始めます。
「えっと……、ね……、メリーね……、やり方が解らないの……」
「……、あ~そっか、メリーは知らんよなぁ、すまんすまん、これは俺のミスだな!」
どうにか思い出して吐き出した言葉は、ご主人様の疑念を誤魔化すのに成功した様で、私はこれ以上疑われないように更に演技を続けます。
「そうなんです、だからね、どうやって洗えばいいか、ご主人様に教えて欲しいなぁって思うのって、だめ、ですか?」
出来るだけ鼻にかかった甘ったるい声を出して、無知なふりをして甘えつつ、ご主人様の身体に胸を擦りつけ、媚びるように教えを乞います。
「おふぅっ!いいね!イイね!ロリの素肌が擦れて気持ちいい! じゃあ、まずそのまま石鹸で泡作って、今みたいに擦りつけてくれ!」
「はい、わかりました、ご主人様が綺麗になるように、メリー頑張っちゃいますね!」
私はこれから先、獣を喜ばせて情愛を得なければなりませんが、そうした行動は同時に、私の未成熟な身体を乱暴に扱われ、目的を果たす前に壊される可能性があります。
そうした問題を避けるためには、女の身体が殿方を受け入れる場所以外も使い、ご主人様の持つ獣欲を制御を行う娼婦の手法は有効であり、目の前の獣が喜んでいるのなら、今やっている行動は無駄ではないと思います。
「うっはっ!こんなロリソーププレイを味わえるなんて、やっぱ異世界来てよかった、異世界転生マジサイコーッ!」
聞き慣れた意味不明な言葉を聞き流し、触れたくないと拒絶しようとする感情を必死に抑える言い訳を脳内で並べたてた私は、饐えた匂いのする肉塊に自らの身体を海綿代わりに泡と体を擦りつける屈辱の中で、ご主人様の発するよくわからない発言に、作り笑いを浮かべながら媚びた返事を返します。
「んっしょ、んしょ、ご主人様どうですか~、メリーはちゃんと綺麗に出来てますか~?」
「ウホホホッ!いいぞっ、ロリソープけしからんぞぉ、メリーの身体は最高だ!もっとだ、もっとやれ!」
こんな未熟な子供の身体を擦りつけられ、なぜ喜んでいるのは理解出来ませんが、ご主人様の発する良く解らない返事と反応が気持ち悪くて、嫌悪感で顔が引きつりそうになります。
「あはー、喜んでくれるみたいで嬉しいですー」
それでもここまで来た以上は引き返す道はありませんから、例え目の前の肉塊がどんなに気持ち悪い存在でも、私は媚びる演技を続けなければいけません。
「ロリで喜ばん奴なんて、インポかホモだってはっきり分かんだよ! 偉い人にはそれが分かんないだよな、ここが俺の約束された桃源郷だZE!」
元々可怪しいご主人様の行動が益々可怪しいモノになって、ナメクジが這う様に身体を弄手の動きも激しくなってきて、体も心も不快感が募ってゆくのを感じていると、ご主人様は何を思ったのか、乱暴に私を押し倒して上に乗りかかってきました。
「もぅ我慢出来ない! メリーは俺のもの、だったら、我慢する必要なんてないよねっ!」
「痛っ!」
お陰で私は不意打ちで背中を強かに打ち、肺の空気を一気に押し出されて息ができなくなり、激しい痛みで目に涙が滲んできますが、そんな事は意に介さんとばかりに、両腕を掴まれて乗りかかった汚物は、血走った目で私に問いかけてきます。
「ブヒ……、フヒヒ……、なぁメリー……、いいだろ?」
何を良いかと聞いているのか、痛みで胡乱んだ頭が理解した時、私はとうとうこの時が来たんだと、自らの純潔が散らされる時を自覚し、諦観の中で笑顔を浮かべつつ、お母様に教えられた受け入れの言葉を、涙で滲んだ視界に映る肉塊へ向けて口にします。
「はい……、メリーは全てご主人様の物……、どうぞいらしてください……」
ああ……、せめてベッドの上で、初めてを迎えたかったな……。
湯けむりの様に霞んだ意識の中で、ぼんやりと他人事のように考えていると、覆いかぶさった獣が劣情を剥き出して襲い掛かってきました。
「うおおおおおおお! メリーーーーーー!!!」
そうして私は湯けむりの中、欲にまみれた獣の咆哮を聞きながら、無遠慮な侵略者によって未熟な身体を乱暴に貫かれ、内臓を切り裂かれる激痛の中で純潔を散らされたのでした。




