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第4章:バカな自分

次の日、僕は重い足取りで学校へ向かった。

わざと、佐藤とは、会わないように早めにつくようにした。



 学校にはほとんど、誰もいなく、まだ部活開始まで30分近くあった。

と言っても、僕は部活には入っていないんだが…。


 あの悲劇があった図書室の前の階段を、一歩一歩昨日の記憶を思い出していくように、足を踏み出していった。

階段を上り終わり、右に曲がって、一番手前の教室に入る。


 予想通り、誰もいなかった。

荷物を整理し、ロッカー室へ行く。


キュッキュッ 

上履きが廊下と擦りあって、妙な音をたてる。

薄暗い大きなロッカー室。中に入る。


 

 そこには驚いたことに、宋がいた。

相変わらず、制服も規則に反する着方をしていて、今日はおまけにピアスをしている。


視線が合う。


「おい。」

その人に初めて声をかけられた。

「あっ、おはよう。」

今気づいたように、挨拶をする僕。


「今日は早いじゃねーか。」

えっ…?


「いつも、遅く来てるの知ってたの?」

まさか、宋という人物が自分のことを、知っていたなんて…。

僕のことが好きなのか…?そんなばかな。


「ああ。」


「ねぇ、君は何でこんなにも、早いの?」

こちら側としても疑問である。


「俺は、あんまり家にいたくねー。」

「なんで?」


「おい、あんまり人のプライベートには、入らないほうが身のためだぜ、長谷川。」

…。それでも気になるのは気になる。


「それでも、気になるってか。」

心を読まれた。

「まぁ、それは言わないけど、たぶん俺とあんた、似てるぜ。」


…はあ?こんなヤクザみたいな。


「外見じゃねえよ。あんた、俺のように悲しい目してるんだ。なんでだろうな… いつも、あんたを見ててそう思ったんだ。」


そういい残し彼は、僕の来た廊下を通って消えていった。



悲しい目…



 僕は、ちょっと気になり、トイレへと向かう。

入ってすぐに鏡を見た。


「悲しい目なのかな?」



確かに僕の今の目は、元気・明るいとはいえない。


でも悲しいって…。



僕は、とりあえずその言葉の意味を理解するのを諦め、トイレを出る。

その時に、彼女は僕の前へ風のように、現れた。


「あっ…。」

相手は、僕に視線を泳がす。


「あっ、おはよう。長谷川君。」

笑顔で言われた、初めての挨拶、名前呼び。

今日は新鮮なことが、多すぎる。


「おはよう…。」

僕ってそんなに、有名なんだろうか、と思い返す。

だって、こっちは知らないのに、相手は知っている。複雑だ。


「ねえ長谷川君。」

相手はくるっとこちらを向き、僕をそっと呼び止めた。


「…どうしたの?」




「長谷川君は、好きな人いるの?」




昨日の放課後前の僕だったら、もちろんいないっていうであろう。

今日も言いたい気分なのだが、昨日のことが頭にフラッシュバックしてきた。



「いないよ。別に女子なんて興味ないし。」



本音じゃないのに…。僕って何でこういうとき、素直じゃないんだろ。

今日は自分の性格を憎む。



「そっか。じゃ、またね。」


僕の心を奪った彼女は、その奪った心に傷つけられ、どこかへと、来る時と同様に、風のように教室へ戻っていった。

僕は、トイレに戻り、個室に入り。鍵をかけた。


「なんで、素直に受け入れられないんだろう。本当にばかだな…。」






僕は確実にこの時点で2歩目を踏んだ。

メッセージなんかあったら、よろしくお願いします。

ここはこうした方がいいとか…。

5話目も頑張ります。

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