第3章:予想的中
今までのあらすじ
いつも忙しい日々…自由になることを夢見ていた。そんなある日、長谷川は一人の女の子に心を奪われてしまった。
帰り道…。雨が降っていて、部活が停止になり、文化部以外は帰るようになった。
そんな時、いつもは隣にいるはずの、佐藤はいなかった。
僕の予想は、見事的中だったんだろう…。
門を出た後…。
「あいつ、どうしたんだろうな?」
同じクラスの島田が言う。
「ほんとだぜ。」
と、猿渡。
「ごめん。心配だから、もう一回、佐藤探してくるよ。」
「おう、んじゃ、おれらここにいるから。」
「うん。」
僕は、走って下駄箱へ向かう。
校庭は雨のせいで、ぐっちゃぐちゃだ。
玄関前の階段を駆け上り、傘をしまい、佐藤の下駄箱を覗く。
ないな…靴…。
しょうがない、帰ろ。
そんな時、僕は自分の耳を疑った。
「ちょっと、荒井さん来てくれるかな?」
聞き慣れてる声。佐藤の声だ。例の荒井さんに声かけてる。
興味をそそられた、僕。こっそり、靴を脱ぎ、廊下を覗く。
二人は、図書室へと繋がる、廊下を進んでいて、後ろを見る気配はまったくなかった。
覚悟を決めた僕は、二人の後を慎重についていく。
二人とも気づかない。
僕は、図書室の前の階段の後ろ側へともぐりこむ。
二人は、階段の隣の窓で、つまり来た方向とは違うところの窓で、話を始めた。
聞くな、聞くな、と僕の心は叫ぶ。
だけど、本能的にそこにいた。
「何?佐藤君。」
優しそうな声だ。
「あっ、あのさ…」
すごい、緊張してそうだ。いつもの佐藤じゃない。
「俺、荒井さんのこと、好きだ。」
ほら来た。僕には出来ない、率直な告白。
予想は外れない。
苦しい…。
だけど、僕は予想が外れたことに、苦しかったわけではない。
幼馴染でもあり、親友である、この佐藤が、僕に内緒で、しかも、僕の気持ちを聞いた当日に、裏切ることが許せなかった。悲しかった。
「…私は、ほかに好きな人がいるの。」
それが荒井さんの答え。
その返事は僕にとってよかったかもしれない。
だけど、今はそんなのどうでもいい。
僕は、その隣にいる裏切り者を殴りたかった。呪いたかった。
「そいつは、俺の知ってる人?長谷川?」
普通、聞くであろうか。知ってる人、はともかく、長谷川?だって…ふざけるにもほどがある。
僕はその答えを聞く前に、そっと逃げ出した。
左の頬に一筋の道が出来た。
「おいおせーよ。」
猿渡・島田は、少し怒っていた。
「ごめん。佐藤の下駄箱分からなくて、教室まで行ったんだ。」
「ったく。あれ?お前、泣いてるの?」
さっきの涙のあとか…。
「雨でぬれたんだろ。長谷川が泣くわけないじゃん。」
「そうだな!」
おっ、ナイスフォロー、島田!
でも実際泣いたんだけどな。
その日僕は、テニスを休み、家で横になっていた。
「情けねー。なんで、好きになった当日に、こんな思いしなきゃなんないんだ。」
佐藤が憎い。
あいつは生まれたときから、ずっと一緒だった。
それだけに、こんなに心が痛いんだろうか。
僕の苦しみへの第一歩を確実に今日、踏んだのであった。
ふぅー疲れました。一体、これ何話までいくのか、自分自身も、想像できません^。^




