第11章:一人
「そんなばかな!!」
友の真実は重かった。
何故今さら?
「ごめん…本当に…。」
そんなばかな…。
それでも、僕を裏切ったことはそれだけじゃない。
「それじゃ…。」
佐藤がこっちを向く。
「…告白の件はどうなんだ?」
佐藤の顔を見ると、青ざめた顔になっていく。
「聞いてたのか?」
ゆっくりと僕に問いかける。
「ああ…。」
僕の答えを聞いた佐藤は、最初戸惑っていたが、急に決心したように僕を見つめる。
「俺も、荒井のことが好きだった。」
感があたった。
「だから、その日、僕は決心したんだ。荒井に告白しようと…。だけど…。」
僕を見つめる佐藤。
「あの時、君の好きな人を聞いてしまった。」
猿渡がいった時か…。
「俺は迷った。ここはどうするべきなんだろうか。でも、俺は予定通り決行した。」
…。ここまでの経緯は、分かった。しかし、一つだけ疑問が残る。
「もしあの時、相手がはいと答えてたら、どうするんだ?」
「もちろん。喜ぶ。けれど、相手がはいと、言う自信は、まったくもって無かった。」
「なんで!?」
「お前にベタ惚れだったからね…。」
そんな…
僕は友を失ったわけではないんだ…。
そしたら、願いは?
目の前に座っている、僕の親友までもが、忘れてしまうと言うのか…。
「俺ちょっとトイレ行ってくる。」
佐藤が部屋から出て行く。
そんな…。
そのとき、携帯にメールが届く。
もちろん。あの人だった。
『もうそろそろ、記憶がなくなるわ。そこ出ないと、危ないわよ…。』
あいつともお別れ…。
そう思うと、涙が溢れてきた。
でも、本当なんだろうか…。
とにかく一応外へ出よう。
食べたものを片付けている間、ふと思う。
親も大事な存在だったけど、何より僕の人生を楽しませてくれたのは、
まぎれもない、彼だったってことを。
僕は急いで、戻ろうとする。
そのときに、机に飾ってある、写真立てが目に付く。
僕と佐藤で、遊園地に遊びいった時の、にっこり笑顔の写真だった。
僕はそれを手に持って、ドアまで一直線に駆け下りる。
そして、彼の家と彼の家族と
彼 佐藤龍輝
に別れを告げた。
僕は、荷物を置いてある場所へ、歩く。
すると、道の端っこで、話している、母さんがいた。
わざと、気づきやすいように、通り過ぎる。
何も言わない…。
僕が通り過ぎた後、母さんは言った。
「あの子…。朝、私の家に乗り込んできたの。怖いったらありゃしない。」
ワ・ス・レ・テ・イ・タ
声が出ない。
そんな状態のとき、猿渡や島田がやってきた。
「猿渡…島田…。」
名前を呼ぶ。
「誰だ、お前。気持ちわりぃ。おっかけか?」
ワ・ス・レ・テ・イ・タ
僕は走った。
僕が求めた、自由の世界へ。
考えもしなかった、自由の世界へ。
誰もいない、孤独の世界へ。
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