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【キャラに着物を着せませんか?】初心者用、和装描写のススメ  作者: 片平 久(執筆停滞中)
❀[こんな時は?]シチュエーション別の、キャラ和装のお話し❀
12/20

[4.1]【夜祭り・花火大会編】その壱:素材など

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今話から【情景・シチュエーション別の具体的な話】に入ります。

既にお話しした部分と重複する説明事項が出てきますが、ご留意下さい。

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 さて。和装の基本を押さえたところで、皆さまの魅力的な作中人物(キャラクター)達に『着物を着せて』みませんか?


 ということで、今回から『こんなシチュエーション(状況)なら、キャラはどんな和装をするか?』を土台に、様々な和装描写ポイントを紹介したいと思います。

 各状況ごとに説明ポイントや配分は異なりますが、主に以下のような事項を紹介してゆく予定です。

 ・キャラに着せる和装の傾向・特徴・NG事項

 ・和装描写に必要な、事物や動きの用語・特徴

 ・『その和装、その状況なら、こんなシーンが素敵!』といった参考描写


 萌え所は作者の皆さまそれぞれでこだわっていただければ幸いですが、作者が好きなシーンやフェーズなどについても(ついつい)語っていきます。ご参考になれば幸いです(?)




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 現代社会において最も身近な「和装シーン」といえば【夏祭りや花火大会の浴衣姿】だと思います。子どものころの甚平(じんべい)や浴衣に始まり、大人になってからも着用する機会が多いシチュエーションです。最近は衣料量販店などでも浴衣が売られていて、四桁の前半程度のお金で手軽にバリエーション豊富な浴衣を購入することもできます。

 現実でも身近な和装である【お祭り浴衣姿】ですので、現代もの作品を書かれている場合にも“使いやすい”行事(イベント)ですね。せっかくですので、作中における夏のシーン、【お祭り浴衣姿】を試してみませんか?



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◆キャラに着せる浴衣は、どんな素材がいい?

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 先の[3.2](夏の装い:その弐)でも『浴衣』について取り上げましたが、今回は【夜祭り・花火大会】にイベントを限定して考えてみます。


 まず『夜のお出かけ』ですので、浴衣の素材は男女問わず何でも構いません。

 縁日などを巡ることを考えると、あまり高級なものは避けたほうがいいでしょう。素直に最も一般的な【綿コーマ】もしくは【綿麻の(ちぢみ)】素材あたりが無難です。

 後述する「柄や色合い」とも関連しますが、キャラの特性に合わせた“無難な種類”はこんな感じでしょうか。


【子ども】(幼児や小学校低学年くらい)

:動きやすさなどを考えると、男の子なら【甚平(じんべい)】、女の子なら【カラフルな浴衣】や【ふりふりワンピースタイプのキッズ浴衣】あたりでしょうか。本式の浴衣を着せてもいいですが、男児の活動性や女児の“カワイイ”要求に応えるなら、流行りのキラキラしたものでもいいと思います。

:本式の浴衣を着せる場合、仕立ては【四つ身】(よつみ)と呼ばれる方法です。また子どもは成長が早いため、多くの場合「少し大きめに作り、肩(腕の長さ:(ゆき))と丈(全体の長さ:身丈)を縫い縮めて用います。これを【肩上(かたあ)げ】【腰上(こしあ)げ】と言います。腰上げは、いわば「男女問わず《おはしょり》を作って着る」形になり、その《おはしょり》を最初から縫い止めてある形です。大体身長130cm位までは「四つ身で肩上げ・腰上げ付き」が、子ども用長着の基本です。


挿絵(By みてみん)



【十代から二十代前半】(主に“学生さん”)

:和装の世界でも“若い時だから許される”という風潮はあります。派手にいっても、まあOK。そのキャラの雰囲気に似合った浴衣、もしくは「ギャップ萌え」狙いの風情の違う浴衣を着せてあげましょう。

:素材は、身内や周囲に詳しい人がいないキャラなら【綿コーマ】が無難です。両親や周囲の人、もしくは本人が和装に関心があるならば、他のキャラと一線を画す目的でも【綿コーマ以外】を着せるのもの物語に奥行きがでますね。若い人なら【綿絽(めんろ)】がいいでしょう。【綿紅梅(めんこうばい)】でも風情がでます。あと、【(しぼ)り】もいいですね。『有松絞(ありまつしぼ)り』などが有名どころです。


【二十代後半~】(独身・カップルの場合)

:やや落ち着いた素材で「大人らしさ」を出すか、色味を抑えて「少し慣れない風」を出すのがお勧めです。「物慣れた大人らしさ」なら【綿紬(めんつむぎ)】(奥州小紋など)【綿絽(めんろ)】【綿紅梅(めんこうばい)】あたりで、色味を抑え柄で個性を出しましょう。「ちょっと慣れない初々しさ」を出すなら、素材は【綿コーマ】や【縮】もしくは【絞り】の素材で、色や柄を年齢相応にすると良いかと思います。


挿絵(By みてみん)



【夫婦者】

:ここはもう、相手とお揃いにするのが一番! ですが、あえて外してみるのも良いですね。素材は何でも構いませんが、色柄は抑えめ控えめがいいでしょう。

:幼児連れの場合は子どもに汚されることを覚悟で臨みますので、高級素材は心情的に避けます。子どもとお揃いの柄にしたりするので「綿コーマ」が多くなることも。


【高齢者】

:【縮】のように、肌に優しく柔らかな感触の素材が好まれます。あまり「シャキッ」としない感じですね。【綿コーマ】や【綿紬】の場合でも『何度も水に通して、柔らかい肌触り』が風情があります。(浴衣などに使う綿は「水に通す=洗う」度に柔らかくなります。特に伊勢木綿)


【それなりの立場の人】

:先に述べました通り、本来【浴衣】は“部屋着”扱いです。よって厳しい見方をするならば、自宅の庭先で花火を眺めるならともかく「外に出る」場合の衣装ではありません。現代ではほとんど気にしませんが、昔気質(むかしかたぎ)のキャラや伝統芸能に携わる人、『女将(おかみ)さん』や『ご隠居(いんきょ)さん』などと呼ばれる方ならば、ここは【浴衣】にせず【夏着物っぽく】しましょう。

:具体的には、若い人なら【綿絽】か【麻縮】【綿紬】で「衿あり」(襦袢(じゅばん)を着るか、仕立て衿を付ける)、ある程度年配の方なら【絹紅梅】でもいいでしょう。また、男女問わず兵児帯にはせず、男性は角帯を貝の口に結び、女性なら半幅帯より(ひとえ)の名古屋帯(【かがり名古屋】もしくは【八寸名古屋】など)をお太鼓結びか角だしに結ぶといいかと思います。また足元は下駄で構いませんが、足袋があるとなお一層“外出着風”ですね。



* * * 



 少し下世話というか生々しい話になりますが、作中で必要なこともあるので【お値段】の話を。


 衣料品量販店などで売られているものから、呉服店で売られているものまで、浴衣の入手先はかなり豊富です。とうぜん『値段』にも差がでます。

 正直“着物”の世界の値段設定は、あってなきがごとしですので、以下はあくまで【一般的な】お値段の話です。


 一番安い素材は「綿コーマ」です。新品でも数千円くらいで買えるものもあります。ですが、ものによっては数万円から十数万円するものもありますので、怖いですね。

 「綿コーマ」の値段の違いは、生地そのものの質もありますが【柄の染め方】が一番大きな要素です。

 四桁価格で買えるものは、ほとんどが「機械プリント(シルクスクリーン)」です。洋装のプリント生地と同じような方法で大量生産します。

 五桁価格になってくると「手作業のもの」が増えてきます。とはいえ「手描き」はほとんどなく「手染め」です。長着の「小紋」などと同じく、型紙をあてて色を染めてゆきます。

 高級な浴衣などで使われる有名な染め方が【注染】(ちゅうせん)です。これは特殊な(のり)で土手のように囲んで他の部分を防染し、その範囲に染料を手作業で流し込んで色を付けます。ほとんど「手描き」みたいなものです。手間暇がかかるため、値段も高くなります。また最終的には職人芸の世界ですので、多少のにじみや違いがある「同じ物がない」世界です。


 【注染(ちゅうせん)】と【機械プリント】を見分けるポイント一つが【裏まで模様がはっきり出ているか】です。注染は裏まで染料が通り抜けますので『裏表の区別がない』染め上がりになります。対してシルクスクリーンなどの機械染めは“布の上に染料を置く”形なので、裏の染めが浅く(薄く)なります。裏返して模様が擦れるようなら、機械染めを疑ってもいいでしょう。ただ、手染めでも小紋型紙染めなどでは裏表の違いがあるものがあります。

 なお【長板中形(ながいたちゅうけい)】という染め方もあって、これは『裏表それぞれに糊を付けて防染する』という、さらに手の込んだ方法です。裏表の柄がピッタリ合うのが職人技です。(時折、裏表が微妙にずれたモノが「B反」(いわゆるB級品)として安価に出回っていることもあります。ある意味、お買い得品)

 手染めの生地を作成する職人や企業が少なく小規模なこともあり、これらは比較的高価です。反物状態で二~三万円程度、仕立代も含めると三~五万円クラスでしょうか。プリント綿コーマ浴衣の十倍近くになりますので、作中でアクシデントやトラブル用のシーンで使えるネタかも知れませんね。


 「綿絽」や「綿紅梅」なども、基本は同じです。生地そのものが凝っている分、染め方も安価なプリント製法を使わないモノが多くなるため、全般的に高価です。仕立代込みで二~五万円程度が妥当な価格でしょう。

 「麻」の場合は、素材そのもので価格が変動します。『上布(じょうふ)』と呼ばれるような高級素材ですと少なくとも三~五万円はします。綿との混紡や普通の「麻縮」ならば、仕立て込みで一万円台後半からあるかも知れません。

 なお、綿素材のくせに(?)高価なのが『(しぼ)りの浴衣』です。これは生地を一つ一つ手作業で摘まんで糸で縛る、という膨大な手間暇をかけて柄を染めますので、手絞りのものは浴衣に限らず大変高価です。有名な『有松絞り』が全体の施された浴衣生地なら、反物状態でも五万円以上、普通は十万円くらいします。さらに「絞り」は洗った際に「のばして干す」が出来ません。当然アイロンがけも出来ません。つまり手入れが大変なので、その意味でも『(つう)向けの浴衣素材』です。




 お小遣いで買える安価なものから、ボーナス払いにしたくなる高級品まで。

 浴衣の世界は、お財布方面でみても面白い素材です。


 作中キャラが必死の思いで(あつら)えた浴衣を、プリント生地の安価なモノと一緒くたにされて拗ねる、なんてシーン。または、屋台の飲み物や食べ物をぶつけてしまって汚してしまう、なんてシーン。

 キャラの性格や状況などによっては、良い方向にも悪い方向にも話を拡げられます。

 生々しいだけに、現実的な話題ですね。





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「お値段」の話しは、本当に一例に過ぎません。一応、実店舗のある専門店での購入をイメージした価格設定ですが、ネットショップではもっと安いでしょうし、百貨店などでは1~2割増しかも知れません。また、仕立てが手縫い(海外)になればさらに1万円プラス、国内での手縫いだと2万円くらいプラスかもしれません。安価な浴衣はほとんどがミシン仕立てです。

あと、浴衣の世界でも「ブランド」はあります。洋ファッション・ブランドのものは高いです。一方で【伝統的な和装ブランド】もあります。

実名を挙げていいのかどうか悩みますが、「伝統的な浴衣ブランド」なら【竺仙(ちくせん)】さんと【三勝(さんかつ)】さん、【岡重(おかじゅう)】さんあたりがトップブランドだと思います。ここらへんは、万単位の価格設定ですね。でも良いですよ、長く使えます。(作者の竺仙(奥州小紋)は約十年モノですが、着倒してガシガシ洗っていますが全くヘタレず色褪せもしません)

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