私は人魚
人魚姫のお話を知っていますか?
悲しいお話ですが私は好きです。
私は、高校を卒業して、上京しました。
内定を頂いた会社で右も左も分からない、そんな中で一所懸命、働きました。
特に趣味もなく、人見知りする性格なので、お休みの日は散歩や買い物で過ごします。
そんな中、取引先の男性が、私を食事に誘ってくれました。
男性とのデートはさすがに初めてじゃないけど、素敵なお店、美味しい食事、そして楽しい会話。
何度あっても、いつも楽しい。
私は彼を愛していました。
そんな時、彼のお母様が病気で、大きなお金が必要だとの事。
まだお母様にはお会いしておりませんが、私は自分の母の様に心配し、わずかですが援助させてもらいました。
その時の彼の感謝と涙は今も忘れていません。
そしてお母様が無事、退院されたとの事。
私達はお祝いしました。
お祝いしているお店で彼が塞ぎ込みます。
どうしたの、と聞くと、お母様の治療費を捻出する為に、会社のお金を黙って借りたとの事。
私は正直に話せば、きっと許してもらえると説得しましたが、来週までに返せば、気付かれないと。
苦労をかけるけど、助けてほしいと言われ、私は全部の貯金と、すぐにお金を貸してくれるお店に向かい、彼に渡しました。
その時、彼は私に結婚を。
とても、とても幸せでした。
私も頑張って働いて、お借りしたお金を少しずつ返している時、彼から海にドライブに誘われました。
楽しみで、チャイムと同時に会社を出ちゃいました。
彼の車で私は淹れたてのコーヒーを頂いたのですが、その時に眠ってしまいました。
折角のドライブなのに。
気がつけば、海の中。
彼が遠くから見守っています。
彼の笑顔は、やっぱり素敵でした。
そんな私は・・・人魚姫になれたかな。
なれるわけない。
なれない。
なりたくない。
寂しい。
私の体は海の底だけど、会いに行きたい。
そう思ったら、彼の前にいました。
私の声が届く様にと、朝も昼も夜も、彼の名前を呼びました。
シーツを被っても、意味なんてないのに。
鏡の前にいる時に、すぐ後ろに立ちました。
目があった時、すごく驚いたみたい。
私もずぶ濡れだったけど1番のお気に入りの服だから、いいですよね。
うふふふふふ。
最近、すごく疲れているみたいだけど、今日は私とドライブ。
ルームミラーに写ってる私をあんまり見ない。
ちょっと悔しいから、車の前に立って怒ってみせたの。
そしたら彼、急にハンドル切って、壁にぶつかった。
危ないわ。
でも、真っ赤に染まった彼は綺麗。
面白いポーズね、それ。
私と似てる。
うふふ。
もうすぐ、私だけの王子様になる。
ほら、息が止まった。
ふと、人魚姫を思い出してかきました。
人魚姫、全く関係ないです