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失恋アゲイン

作者: 高橋創将

 今年から中学3年生。別名受験生。

 俺はある恋をしてしまった。


 中学校3年生になってから1ヶ月。もうすぐゴールデンウィークになる頃。

 俺と友達の駿翔しゅんとはスマホの電話で話していた。


「どっちが先に付き合えるか勝負しようぜ」


 先に持ちかけてきたのは駿翔の方だった。あまりにしつこかったので、俺は適当に「わかったよ」と返事をしてしまった。

 結果、俺は同じ部活の黒崎茉莉くろさきまりに告白することになった。好きではなかったのだが、少し異性として気になってはいたので、遊び半分だが告白に。


 俺は吹奏楽部だ。男子の人数は2学年(1年生はまだ部活が決まっていない)合計3人。そのうち俺と同級生の男子はいない。つまり、3年生で男子は俺だけということだ。

 さぞかしモテるだろう、と何人もの男子に言われてきたが、実際そうでもない。俺はイケメンではないし、頭も良くないし、運動もできる方ではないし、一言で言うと『凡人』だ。しかも、女子のメンツがまぁまぁ酷い。俺的にはモテても嬉しくはない。


 それに、俺はもう2度と恋はしないと誓ったのだ。



 最初は本気ではなかった。正直断られて早くこの話が終わってほしいと願っていたのだ。

 しかし、次の日学校に行くと、何故か茉莉がいつも以上に可愛く見えた。いや、元から可愛いのだが前はそこまで可愛いとは思っていなかった俺が、『可愛い』と思ってしまったのだ。

 違うクラスではあるが、休み時間等ですれ違う度に胸がモヤモヤしてくる。もうわかっている――


 ――俺は茉莉に恋をした。


 この感情は恋だ。昔何度も味わった恐怖の感情。

 もう2度とあんな思いをしたくないのに……。


 俺は茉莉と付き合いたいとずっと思っていた。駿翔と遊ぶ時に告白する予定だったのだが、それが待ちきれなかった。

 その背中を押すようにある情報が耳に入った。

 ――明日茉莉の誕生日

 ということを。


 これはチャンス、だと思い、早速駿翔に「明日告白する」と連絡した。すると、駿翔は「明日朝から遊ぼうぜ」とどうしても俺が告白するところが見たかったらしい。


 告白当日、俺と駿翔はある歩道橋の下でドキドキしていた。何故か駿翔までも。


「いいのか?」

「あぁ。今日が誕生日らしいからな。誕生日プレゼントみたいなものだ」


 と2人で笑っていた。


 正直この時、まだ決心がついていなかった。

 自分は告白していいのか――

 相手を傷つけてしまわないか――

 ダメなんじゃないのか――

 全てがマイナス思考に。


 だが、俺は決心をし、茉莉に電話をかけた。

 本来なら直接言いたかったのだが、その日は休日で部活もなく、俺は茉莉の家を知らない為、電話にすることにしたのだ。


「もしもし」

【もしもしりょう君?】


 間違いなく茉莉の声。かけた相手が茉莉だから出るのは当たり前なのだが、もしかしたら違う人なんじゃないのか、という不安が頭を過ぎったからである。


「あの〜……た、誕生日おめでとう!」

【あ、ありがと〜!】


 まずは誕生日をお祝いするのが優先だと思った俺は、少し間を開けてしまったがちゃんと言えた。


「あとね……その……あの……」

【ん?】


 緊張と不安でなかなか言い出せなかった俺に、駿翔は俺の肩をポンと叩き目で「いけっ男!」と訳分からないことを言ってきた気がした。

 だが、なぜかしら勇気が出てきがする。

 よし……言おう!


「……茉莉のことが……ずっと前から好きだった……その……あの……俺と付き合ってください!」

【えっ!?】


 突然の事だから仕方が無いだろう。

 だか俺はもう覚悟を決めた。


【ほ、本当?】

「うん本気」


 俺は即答した。だって好きなんだもん。


【え〜……ちょっと待って〜】


 その声からは嫌がってるのではなく、照れているように聞こえる。


【今……返事した方がいい?】

「いや、別にいいけど……」

【ちょっと考えさせて貰うね!また連絡します!】

「うん」


 そこで通話が切れた。たった2分程度の会話が、30分ぐらい離しているように長く感じた。

 返事楽しみだな〜!

 俺は興奮のあまりフラフラしながら川へ落ちた。



 しかし、6時間経っても返事はこない。

 本来なら駿翔は返事も見たかったらしいが、もうすぐ夜だから流石に別れた。

 その駿翔の家からの帰り道。


 線路を挟んだ向こう側に男子と女子が並んで歩いていた。

 ん?デートか?

 と思いつつ、顔を見ると、クラスメイトの山崎と茉莉だった。

 俺は咄嗟に急ブレーキをかけ、顔をしっかりと見る。

 やはり山崎と茉莉だ。


 2人は何しているのだろう、という疑問より先にショックが来た。のと同時に、タイミングを見計らったように電車が横切る。

 そして、漫画やアニメのように、その2人の姿は見えなくなっていた。


 衝撃とショックのあまり、俺は自転車を降りて音楽を聞きながら家に帰った。


 家に帰っても俺は動画や音楽を聞くだけで、家族の話なんて一切聞かなかった。


 そんな時、そのことを伝えていた駿翔から返信が来た。


 どうやら2人は幼馴染みらしく、誕生日パーティーに呼んで家に向かう途中だったという。


「デートか!?」と聞いたらこう返ってきたらしい。


 それを聞いた途端、ネガティブ思考が全て吹っ飛び、ポジティブ思考へと変わった。

 まだ可能性はある!

 もしかしたらOK貰えるかもしれない!

 早く返信来ないかな〜!

 俺はウキウキドキドキしながら返事を待っていた。


 すると、夜9時過ぎに電話がかかってきた。茉莉からだ。

 俺は興奮してしまい、携帯を落としてしまう。

 急いで拾って電話に出る。


「もしもし!」

【もしもし陵君?返事なんだけどさ……】

「うん」

【やっぱり陵君とは友達でいたいなって……】


 そうだよね……やっぱりそうだよね……うん、わかってはいたけれど……


「ん!だよね!そうだね!ごめんね!急にあんなことしちゃってさ!ごめんごめん!じゃあまた明日ね!」


 と俺は電話を切った。


 俺は電話を放り投げ、音楽プレイヤーを聞き始めた。

 なんとも運悪く丁度失恋の曲だった。

 聞いているうちに涙がポロポロと流れ落ちる。


 あぁなんでだろう……わかってはいたのに……また同じ思いをしてしまった……死にたい……


 俺はショックのあまりその夜は一睡もできなかった。


 だが、俺はまだ諦めていなかった。




 ☆☆☆☆☆☆


 それから10年経ったある日。俺は電車に乗ってユラユラと揺れていた。

 今は通勤途中。


 あれからはというもの、まだ俺は茉莉に好意を持っており、諦めてはいなかった。だが社会人になった今はもう叶うはずもない夢。


 フと昔の事を思い出していた。茉莉との会話や遊んだ記憶。

 楽しかったな……

 と電車がガタン!と揺れ、俺はバランスを崩してドアの方に倒れ込んでしまった。反射的に右手がドアを押さえてなんとか助かったが……


 俺の今の状態を一言で言うなら、壁ドンならぬドアドン状態。


「す、すみません!」

「ご、ごめんなさいっ!」


 俺はすぐさま上体を起こすと、死ぬ程謝った。

 同時に女性の方も死ぬ程謝ってきた。


 女性は俺と同い年ぐらいの若い人だった。

 と、何故かしらその顔に見覚えがある――


「「あっ!」」


 ま、茉莉だ……!


 そう、その女性は大人になった茉莉だった。

 なんとも言えぬ運命的な再開。

 だが――




 両方ともこれから仕事だったので、連絡先だけを交換して後日会うことに。

 そしてその会う日。

 俺は飲食店のテーブルで茉莉を待っていた。


 待ち始めて1時間。一向に来ない。もしかしたら騙されたのではないか……

 と、ドタドタと慌ただしく駆け込んでくる女性が1人。


「ごめん待った!?」


 茉莉だ。


「いや、俺も今来たところで」

「ごめんごめん……ちょっと残業が入っちゃってさ」

「何の仕事?」


 と興味本位で聞いてみたら。

 まさかの働いているところが同じだった。通りで降りた場所が同じだったわけだ。途中俺はトイレに行ったのではぐれてしまったが。


「へぇ……陵君すごいねぇ」

「いや、まだまだだよ?雑業ばっかだし」

「いやいや〜」


 と、フと手の指が見えた。


 ――そこには銀色に輝く結婚指輪が。


「け、結婚したの?」

「結婚式はまだなんだけどね〜待ちきれなくてはめちゃってるんだ〜」

「そ、そうなんだ……」

「あ、結婚式に呼ぶから来てね?」

「う、うん……」



 またしてのこの気持ち。この10年間思い続けてきた『恋』は一瞬でぶち壊された。


 ――俺は茉莉の目の前で涙を流してしまった。

すみません!ちょっと内容や言葉が雑になってしまいました!本当に申し訳ございません!

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― 新着の感想 ―
[一言]  この話、高橋様の経験譚が混じっているとかいないとか?  参考にさせてもらいやす!(小説の)
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