暑い村と寒い村
暑い村の青年と女の子が話していました。
「となりの寒い村は、ものすごく寒いらしいぞ。」
「へえー、どのくらい?」
「朝におはようって言うだろう?あの村では寒すぎて、おはようが凍って地面に落ちちゃうんだって。」
「そうなんだ。」
「不便な村だよな。誰かと話すことすらまともにできないなんて。」
「そうかしら?私は不便ではないと思うけど。」
「え?なんで?」
「言葉が凍って落ちてしまうなら、悪口も私には届かないわよね。もしどこかに落ちていたら、地面に埋めちゃったりなんかして。そのあと、大好きとか愛してるとか素敵な言葉は家に持って帰って、冷凍庫に入れておくの。そうしたらいつまでも、その言葉を忘れないでいられるでしょ?」
寒い村の青年と女の子が話していました。
「となりの暑い村は、ものすごく暑いらしいぞ。」
「へえー、どのくらい?」
「夜にお休みって言うだろう?あの村では暑すぎて、おやすみが溶けて地面に染み込んじゃうんだって。」
「そうなんだ。」
「不便な村だよな。誰かと話すことすらまともにできないだなんて。」
「そうかしら?私は不便ではないと思うけど。」
「え?なんで?」
「言葉が溶けてしまうなら、悪口も私には届かないわよね。もしどこかで水たまりになってたら、コップに集めて川に捨てちゃったりして。そのあと、大好きとか愛してるとか素敵な言葉が染み込んだ土は家に持って帰って、植木鉢に入れておくの。そこに種を植えたら、きっとすっごくきれいな花が咲くわ。」
「あなたがいい天気だと思うなら、今日はきっといい天気。」 ーどこかの国の女の子




