6:女の人は恐ろしいです。
「よし、これで完成」
先ほどから行っている整備も終わり、スワロー(スワローテイルでは長いので省略)の銃、S&W M500と相棒をそれぞれしまいある程度の危険が冒せる準備をする。整備が終わるまでスワローはずっとくっついたままで非常に動きずらかった。
「おわりましたか?主様」
「ああ、終わった・・・と、そうかこれ返さないとな」
いつもの癖でそのまま整備したのをしまってしまったので、取り出して渡す。
「ありがとうございます、主様。大切にします」
満面の笑みで受け取ったスワローは、いつの間にか太ももにホルスターを作っていたようで、右左両方のホルスターに1丁ずつ収納する。
「ホルスターなんか作ったんだな。確かにしまいやすいし取り出しやすい」
「これはホルスターというのですか?主様はこれに銃を入れていたようですのでそれをまねて作ってみたのですが正しかったようですね」
見よう見まねで作ったと、そう聞いて耐久もあれば器用でもあるんだなと。考えを改める一郎であった。
「今日はギルドにでも行って依頼でも見て来よう。馴らしも兼ねているから不具合があったら言ってくれ」
「まさか、主様が整備されたのですよ。不具合などあるわけないです」
一郎にとって、銃で一緒に戦える相手というのは願ってもいないことであったが、如何せん疑わなさすぎる。これはこれで非常につらい。
「いや、銃というものは剣よりも複雑にできている。少しのミスで暴発するとそれこそ取り返しがつかん。ましてや君のは高威力のものだ、暴発は腕をなくす可能性だってある。」
「そこまで考えてくださるなんて・・・主様・・・」
スワローの一郎を見る目がさらに熱くなったのは確かだが、その辺の感性には疎い一郎はまたく気づかなかった。
「じゃあ、討伐系がいいな。じゃあ行くぞ」
「はい!」
これから、始まるのはこの二人組による無双である。
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「で、それでいちゃいちゃしながらここまで来たと・・・?」
ギルドに入るなり、受付にいるウエスにお勧めの依頼を聞いたのだが、後ろでたまに抱き着いているスワローに殺気を向けながら返答している。
「おい、殺気を沈めろ。さすがに気がやすまらん」
「しかしですね・・・」
ウエスはそこでスワローを見る。スワローはウエスを一瞥し、にやける。
ブチッ
そんな音が聞こえた気がした。
「ほおおおお・・・スワローさん、ちょっと表出ましょうか」
「あら~、ごみ虫がなにをほざいてるのかしら~?」
女は怖い、この考えをさらに強くする一つの出来事であった。
「おいおい、女二人で喧嘩なんてするもんじゃないぜ。どれ、ここは俺様がかっこよく止めてやろう」
ギルド内で休んでいた男が仲裁に入る。見た感じは普通だがあれはどっちかの女を自分のものにしようとしているのだろう。ギルド内の喧嘩は自己責任だ。
「そこのじょおちゃん二人、喧嘩はやめt「「だ ま れ」」はい」
二人から銃と殺気を突き付けられた男はそのまま動かなくなった。ちなみにウエスにも一郎からM629を渡されている。片や.44マグナム。もう片方が.500S&Wマグナム二つとも至近距離であたったら獣でさえ楽に殺せる代物が、人間に耐えられるはずもない。もちろんその男はそれを知らないが本能が悟ったのだろう。
「あら~あなたも銃を~?」
「ええそうなのよ~。一郎さんと同じ弾が使えるのよ~。同じね」
「へぇ~、そうなの。でも私の銃は拳銃の中でも最高峰の威力を持つのよ。最高峰のね」
「「ふふふふふふふふふふふふふふ」」
「おい、お前ら。そろそろ終わりにしろ」
「「イチローさん(主様)」」
「・・・なんだ?」
「これから、私とスワローテイルさんでイチローさんからもらった銃のみを使い魔物の討伐数を競いたいと思います。いいですよね」
「私も異存はありません。主様、絶対に勝って見せます」
「なによ、私が勝つわ」
「いいえ私です」
討伐クエストを受けに足早に走って行ってしまった二人を見送って、というより行動が速すぎてついていけなかった。気づいた時にはすでに二人が言った跡であり誰もいなかった。
「・・・今回も、出番なさそうだなぁ。相棒」
すこし哀愁が漂う声で、相棒に声をかける一郎は渋いおっさんだった。
個人的にマルシン工業のガスリボは最高だと思います。