5:自動人形の仲間が出来ましたが性格に難ありでした。
「しっかし、これはだだっ広いな。掃除どころか住んでていやになりそうだ」
一郎の正直な感想。もともと裕福な暮らしにあこがれてもいないため、広い家は好みではないのだ。一人で管理できる範囲の家がいい。改めてそう思う。
「この世界では当たり前のことですよ。王とはそれだけで偉大であるのです」
偉大。聞こえはいいがいったい王とは何を持って偉大とするのか、基準がわからない。それ故に返答もうまくできない。ウエスは自慢げに語っているが、他人のことをうれしそうに語るというのは一郎には到底理解しがたい物であった。
「イチローさんも王様ってすごいと思いませんか?」
「いいや、まったくおもわないな。結局は総まとめだろ。まとめるというのは確かにうまくやらないといけないが誰もができないわけではない」
この世界に来る前までは一郎は中間管理職であった。下でまとまった案件を上に報告する。これだけ言えば簡単に聞こえるが実際はいろいろと複雑化している。それは置いといて、今現在一郎は王が待っている会議室に向かっている。
「イチローさんの世界は不思議ですねえ」
「俺からして見ちゃあ、こっちのが不思議だがな」
大体10分は歩いただろうか、ピリピリした感じの兵士が扉を守っていた。おそらくはここが会議室なのだろう。ウエスに案内の感謝を述べるとともに「私も呼ばれてますので」と言い一緒に入室した。
「よく来た、勇者よ」
「あ~、俺か。済まないが勇者はやめてくれ。この年でそれは恥ずかしいってもんだ」
一郎はこういうファンタジー系はどちらかと言えば好きであったため、もう少し若ければ勇者と呼ばれるのに抵抗はなかっただろう。しかし今は38歳、さすがに羞恥心のほうが大きい。
「ではイチローと呼ばせて頂こう。ここに呼んだのはある意味世界事情を知ってもらうためだ」
この国の王様が言うには、自分の国以外を除いて3つあるということ。すべての国が勇者召喚を成功させたということ。それぞれ剣、槍、拳を得意とする勇者が召喚されたということ。それに伴い魔物討伐が行われその討伐数によってどれだけ世界に貢献できたかを競う。そんなようなものだった。「貢献したら何かいいことがあるのか」と聞くと「神様より褒美が与えられる」らしい。
「今までの話を聞く限り俺はいらなくないか」
それこそ国の兵士をかき集めてやったほうが速い。そう考える一郎にはいまいちパッとしない競い合いであった。
「勇者殿がそれを行うとどうやら貢献度の笛幅が大きいのだ。頼む」
正直、乗り気ではない。一郎は酒飲んでグータラできればよかった。
「正直、俺はパーティーを組めない。それゆえ迷惑がかかる」
銃の勇者?として召喚されたであろう一郎は銃の特性を良くも悪くもわかっている。剣と違い手加減ができない。いつでも一定の威力を出すことができる。わかりやすく言えば誤射が怖いのだ。
「その銃とやらのせいですかな?では剣を使ってみては?」
「一回も振ったことのない剣をどうやって使えというんだ。ましてやこの年から訓練してうまくなる可能性など少ないだろ」
そのとおりである。みんなが押し黙った後、王は一人口を開いた。
「では人間でなければよかろう。この城の近くの祠に自動人形がある。それならばいいのではないかな」
「なんだそれ、モビルス○ツかよ」
「モビルス○ツが何かはわからないが、人と同じ大きさの人口生命体だ。人より耐久性も高く、ちょっとやそっとでは壊れないだろう。どうかな」
「それなら」と承諾した一郎は早速その祠へ向かうことになった。ウエスは先に元の町へ帰って行った。祠につくと「ここからは一本道ですのでおひとりでどうぞ」と明らかに怪しい雰囲気で投げられた。
(なんだ、罠が多いのか)
リボルバーに.454カスールを装填する。この弾丸は.44マグナムの約2倍の威力を誇る。一発で破砕したいものがあるときにお勧めだ。今回、どんな罠があるかわからないので威力で強行突破を選んだ。
(まだつかないのか・・・)
かれこれ30分は歩いている。外であるならば景色が変わるためさほど疲れないが祠ということもあって、景色がかわらない。周りはずっと岩肌である。罠の解除もそろそろ飽きてきた。
(お、いた。あいつか)
そこには十字架、人が中に入れるぐらいの大きさを持つものが存在していた。
(罠はない。このコンソールに魔力を流す・・・?これでいいのか)
魔力の扱いがうまくない一郎にとっては少々厳しい作業だった。しかしそれが終わると、漢字で登録完了、おはようございますの文字が現れた。日本語だったことに驚きを隠しつつもその十字架から出てきた一人の人形。女性に目が行く。
「MAIN SYSTEM ・・・・ALL GREEN」
どうやら起動が完了したらしい
「初めまして、主殿。私は万能型自動人形、スワローテイルと呼称します。よろしくお願いします」
「おう、よろしく・・・ところで、服はないのか」
出てきてそうそう、真っ裸である。これにはさすがのおっさんもびっくり
「あ、そういう行為もできます。ほぼ人体と構造は一緒なので胸から下腹部におけるま「OK,ちょっとまて。それ以上は言わなくてもわかった。それより服を着よう」承知いたしました」
それ以上言ったら問題発言である。いくら女が二の次である一郎でも体は男なので見続けるときついものがある。
「主殿、服を着用しました。これからどこへ行きますか?」
その服はどこから出したなんて聞かないことにした。
「とりあえず、ここの近くに城がある。そこまで戻り君のことを報告したのち、今現在の拠点に帰る手筈だ」
「承知いたしました」
戻って報告をすると、「本当にいたのか・・・」なんてほざく始末。頭吹っ飛ばそうかと考えているとそれが伝わったのかスワローテイルが殺気を放ち始めたので早々に帰ることにした。
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道中、一郎はスワローテイルに武器を渡した。一郎が作った武器であったが、下手な人間が使うと非常に危ないため、しまっておいたのだが人間以上の耐久性、トルクを持つ自動人形が仲間になったのでわたした。一通り説明を行うと「これが主様の武器ですか・・・すごいですね。魔力自体は感じませんが威力はすごそうです」と早く使いたい!という目でしゃべっていたので近直使う時が来るだろうと、気の木陰に隠れている何人かの気配を一瞥しながら歩みを進めた。
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みなさん、スワローテイルともうします。
先ほど、私は主様、一郎様より武器をいただきました。なんでも携帯できる中では最高峰の威力であるということらしいです。ぜひ使ってみたいですね。・・・そんなことを考えているからでしょうか、早速8人ほどのごみ屑がいらっしゃったようです。主様に報告を・・・と思ったのですが顔を見た瞬間「やっていいぞ」の許しが出ました。すでに気づかれていたのですね。お任せください。主様からもらったこの武器使いこなして見せます!
「お~い、そこのお二人さんとまりな。俺たちに少し金目のものを分けてくれよ。もちろんそこの女は置いていきな。お前にはもったいねえよ」
ああ、主様をお前だなんて・・・許せません。必ずや、殺して見せましょう。
「主様、弾丸の発射許可を」
「さっきも言ったろ、やっていいぞ」
「はい!」
では、おそらく盗賊とみられる皆様、お相手仕ります。
「へ、なんだその小っちゃい銀色の杖みたいなのは。そんなものドゥエ」
バゴォン!
そんな音と同時にしゃべっていた男の顔が吹っ飛びました。
「ああ、主様すごいです!これが・・・これがM500なのですね!」
そう、主様に渡されたのは銃。名前をS&W M500リボルバーのなかでも反動威力ともに最高峰と言われる武器です。こんな素晴らしいものをしかも2丁いただけるなんて!最高です!愛しています!一郎様あああああああ!
「・・・ひ、ひるむな!一斉にかかれ!」
あああああああああああああ!主様とのひと時を邪魔するなあああああああああああああああああ!
銃声は6発、そのすべてを盗賊さんの頭にプレゼントしてあげましたの。そしたらなんとうれしかったのか爆発してしまったのですよ!ぶしゃーって!ふふふふふふふふふふふふふふふふ!
「あ、あああああ!いったいなんなんだよおおおお!」
あら、震えてらっしゃるの?怖がらなくていいのに。主様とのひと時を邪魔したのだからちょっとどいてもらうだけよ。でもそうね、武器名ぐらいは教えてあげてもいいかもね。
「これはS&W M500といいますの。主様からの大切な贈り物ですわ。では、さようなら」
引き金を絞るとすぐに声が聞こえなくなりましたわ。これで主様とまた二人っきり・・・ふふふふふふふふ!
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(うわ、やりすぎ)
正直、一郎はドン引きしていた。なんかやばいやつを目覚めさせてしまったのではないかと。
(これは・・・あとでちゃんと手加減を教えよう)
与えた銃がもはやあれなので、手加減とか関係ないがそれでも当たり所によっては即死を防げる。それを教えようと心に誓った一郎だった。
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宿屋について、ウエスが邂逅早々「だれですかその女!キー!」とうるさかったが仕事があるためかすぐギルドに戻っていった。スワローテイルは宿に着くなり一緒に寝ましょうと誘ってきたが、それを断り銃の整備を始めた。誘った張本人はすでに夢の中である。
(次は頼むぜ、相棒)
ひそかに自分の銃の活躍を狙いながら丁寧に清掃した。
スワローテイルが起きたとき、先ほどよりも密着が多くなりつらいのを我慢しながら・・・
「つ、つらい・・・」
「ふふふふふふふふふふふふ」
自分は銃と聞くと、リボルバーが好きなのでマグナム系列をおもいだします。
みなさんはトップブレイク式とスイングアウト式どっちが好きですか?私はどっちも好きです。でも僕は日本刀のほうが好きかもしれないです。




