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20:エリさんは戦いに、スワローさんは心境を吐露しました

Q:何してましたか?

A:アンサング作ったり、動画作ったりしてました。

逆関節かっこいい

「さて、簡易的ではあるがこれまでで動き方と銃の使い方を教えてきた」


一郎はエリに告げる。彼女はそれに元気よくはいと答えた。自分もそういう道のプロではないため基準が解らないがとりあえず自分ができることは教えてきた。覚えるのも早く、楽しくて教えすぎた感はあるが。


「主人、私はこれからどうすれば・・・?」


エリは奴隷という境遇もあってか、人の考えてることや感情がある程度予想できてしまう。一郎の手詰まり感を感じ取ったのか不安な顔を見せた。


「そうだな・・・スワローに魔力を渡してもらうのはもちろんとして、それだけではな」


一番の目的はスワローに魔力を渡してもらうためではあるがそれだけでは申し訳が立たない。そこでここまで育てたのだからいっそのこと狩人とか、一郎の仕事の手伝いをさせたらどうか。そんな考えに至った彼は


「エリ・ルサルカ。最後の特訓として俺と一対一だ」


数秒、口を開けたまま硬直した後大声で


「えええええええ!?」


と叫んだ。非常に耳が痛く、近所迷惑だ。後で謝っておこう。


「無理ですよ、主人に勝てるわけないじゃないですか」


「そうかい、やってみないとわからないものだぜ?」


そのまま懐からリボルバーを出し、突きつけざまに一発。・・・エリはそれをコンテンダーで一発、打ち消しあった。


「・・・さすがだな、センスは俺以上でうらやましい限りだ」


「抜いてからの発砲が速すぎます。私は手に持ってなければ当たってました」


「上等、ほら行くぞ山猫」


そのまま横に走り始めて、いつもの宿の扉を飛び出した。そのまま銃撃戦に発展し、双方リロードを決める。


「その姿も様になっている、教え甲斐があった。コンテンダーは単発銃だから段数には特に気を付けてな」


「わかっています!」


一郎の腹にサマーソルトを決める。吹っ飛んだ一郎はそのまま壁にぶつかり岩を崩すがその上にうまく座っていた。


「いい蹴りだ。そのまま銃を撃ててればよかったな」


平然とした顔でリロードを始める。そして煙草をくわえ火をつける、ふかし始めて数秒が経過する。


「リロードが遅いな?単発銃なんだからリボルバーに負けちゃだめだぞ」


いまだ瓦礫の砂塵が晴れぬ中、エリは突っ込んでくる。銃口をこちらに向けて。


「どうです!」


見事に突きつけたそれはすでに往なされ、握りこぶしのグーが飛んできた。


「女の子を殴らないでください!よ!」


「はは、俺は善人じゃないんでな。殴るときは誰だって殴るぞ」


ハハハと軽く笑い飛ばして、そのままありえない速度でリボルバーを連射してきた。6発、全弾をエリの体のラインに沿って跡を残す。


「・・・」


固まっているうちにリロードはすでに終わり次の体制に入っている。


「これからやってもらおうとすることの一部はこんなことなんだぜ。ビビったら死ぬ・・・わけじゃないが死にやすくなるな」


エリは顔をただし、こちらに向き直る。


「・・・・」


沈黙。目を合わせ続けている。


「行くぞ」


そういったのは数秒の間だったか。一郎の顔は煙草とともにエリの眼前にあった。


「ひえ!」


「お、情けないと同時にかわいい声が出たな」


うるさい!と裏拳を話すがそのまま後ろに下がられ、下あごに銃口がつけられた。


「おっさんにはその声、いい色をしているように聞こえるよ」


ひんやりとした。それは心境か、はたまた感触か。まあどちらもというのが正しいが。


「上がりだ、ここまで動けてるんだ。上場だろ、スワロー」


宿の二回から眺めていた女性に告げると、返事が返ってくる。


「そうですね、それほど動けるのであれば。賞金稼ぎとしてはすでに上のランクじゃないですか?」


「だそうだ、俺の相棒からいい評価もらったな」


頭をわしわしされるそのかをは少し膨れていたが、まんざらでもないようだった。


「じゃあ、早速だスワローの魔力を補充してくれないか?」


「は、はい。わかりました」


そのままエリは二階に上がり、背中から魔力を流す。


「ほんとはあなたなんかから魔力なんてもらいたくないんだけどね」


下にいる一郎には聞こえない声で


「あなたに教えてる間にも、主様はなけなしの魔力をすべて私にくれたから。でもそのあとの主様は辛そうだった。けだるいとは言っていたけどお酒も煙草も進んでいなかった」


一人でずっと語り続けている彼女に耳を傾ける。


「悲しくってね。そんなの主様じゃないって、思ってたんだけど。自分じゃ何もできなくて、迷惑かけてるって」


泣き出しそうな笑顔で、消え入りそうな声でそんなことをいうスワローに対し


「そんなこと考えてたのか」


当事者は、いつからいたのか部屋の端でそう発すると、ずかずかと彼女の前に立ち、サングラスで表情が解らない顔を近づけると


「変なこと考えてるとな、俺がお前を売っちまうぞ」


スワローはそのセリフで固まる。それを見て一郎はつづけた。


「掛け過ぎもよくないが、掛けなすぎもよくないんだよ。持ちつ持たれつって感じの・・・うん、そんな感じだ」


スワローに背を向け出ていこう、とした直後思い出したように小声でぽつりと


「早く良くなれよな」


女子二人はそのままぽーっとドアを見ていた。


「・・・もういいわ、ありがとうエリ」


半ば強引に魔力補給をやめさせるとエリは心配そうに聞いてきた。


「あの・・・さっきの」


「ああ、忘れて」


即答し、服を着る。今までの不調をどこかへ飛ばすような切れの良さで


「主様がああいってるの。エリあなたにも休みはないわよ」


スワローは再び笑っていた。

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