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12:人の道を外しそうになります。

ここはいつも一郎がよく来る酒場。そこにまわりをきょろきょろと見渡す女性が一人。その女性はウエスと言う。最近ギルドにも来ないし、連絡もないしでいい加減一郎を見たくなった彼女はこの酒場まで来ていた。なぜ見渡していたかというと、おかみさんに「来てないね」といわれいつ来るんだろう、どこから来るんだろうと精神を集中させていた。


「・・・ああ、まだかしらまだかしら」


自然と顔がほころぶ。一郎のことを考えるだけで少し興奮してしまう。自分の世界に入りかかっていた。


「ぜひ帰ってきたら・・・」


「ウエス、何やってるんだ?」


「・・・・・・・」


自分の世界に入った、その瞬間。目の前に一郎が立っていた。

絶句である。

後ろにいるメイド服を着た女性を除いては。


「スワロー、あなたはめましたね?」


「はあ?なんですかいきなりぃ~」


「とぼけんじゃねーですよ、そのにやけ顔ですべてが説明できるでしょう」


「はっはー!大きく出たわね、このバカ女!主様に甘えようなんて早いのよ!」


喧嘩が始まる、内容が・・・くだらない。そう思う一郎はそのまま放置して酒場に入る。久々のシャバの空気だ!そんな気分だった。


「いらっしゃい。米酒かい?」


「おう、頼むよ」


見慣れたおかみさんに女の子は大事にしなよーとくぎを刺されながら、席に着く。もちろんカウンターである。そこにお酒を運んできたのは・・・おかみさんではない、若いウエイトレスであった。


「あれ、新人かい?」


「は、はい!勇者様!わ、私はフォルテと申します!」


「はは、元気がいいな。そうだな、じゃあついでに注文だ。から揚げ2つ頼むよ」


「う、承りました!から揚げ2つですね!少々お待ちください!」


がちがちに緊張した態度は最後まで抜けることなく、後ろへ戻っていく。初々しくて見ていてとても楽しかった。そんな中に、後ろから大男が迫ってくる。顔色からしてこちらをよく思っていないといった感じか。


「おい、お前勇者なのか?そんなヒョロヒョロで」


「まあ、こんなやつが勇者なら俺達でも勝てるな」


面倒くさい。ただそう思い、口に煮干しを加える。口の中で転がしながら煮干しのうまみをとる。これを米酒で流す。・・・おいしい。


「おい、きいてるのか」


口にくわえていた煮干しを叩き落とされる。


「からあ・・・」


ウエイトレスは初めて見ただろう、どころかここにいる全員が初めて見たであろう。一郎の本気(食べ物の恨み)




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「主様!この殺気は・・・ひ」


わたくしスワローはあのごみ虫女をほおりだして、急に殺気が出た主様の方へ向かい、酒場の扉を開けた。そこで見たのは・・・


「あ、あ、主様・・・?」


見たことのない、一郎の怒り姿だった。


「・・・ん?スワローか。どうした?」


言葉さわりは優しい言葉であるが、それに含まれる殺気は非常に多く、スワローは動けない。

初めてだった。ただの殺気で自分がここまで動けなくなるなんて。予想外だった。


「へ、へえ。なかなかよさそうな武器を持ってるじゃねえか寄越せよ。俺がうまく使ってやるぜ」


やめろ、それ以上主様に近づくな。やめろやめろ・・・・


「・・・へへ・・・あれ?」


お前が死ぬぞ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ただ銃を撃った。それだけで腕が無くなった。本来銃にここまでのパワーはない。これが一郎の銃、相棒との感応現象。感情に威力が左右される。


「いでえええええええ!」


一郎の目は冷徹だった。


「食べ物の恨みってな、すごいんだぜ。ましてやここは異界だ。元界の法律に縛られることはないな」


にやけた顔を見せた後、そのまま銃口を頭に押し付け


「ごろつき役、お勤めご苦労」


撃鉄を起こす


「さようなら」








「だ、だめです!」


スワローが男を突き飛ばした。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「・・・あ、あれ」


発射されない、絶対撃たれたと思ったのに。


「・・・なんで入ってきたんだ」


よく見ると親指で撃鉄を止めていた。細かいところであるがこんな状況でもさすが主様と尊敬するスワローであった。


「人殺しは・・・感情でやってはいけませんよ。主様、おっしゃってたじゃありませんか。人殺しはそんなにしたくないって。感情でやってしまったら・・・もしかしたらもどれなくなるかもしれないですよ」


まだ、主様は殺気を放っている。・・・リロードした。そのまま・・・


バァン!


・・・間に合いませんでしたか・・・


「安心しろ、回復弾だ。傷は治ってるだろ、腕も元通りのはずだ」


撃たれた人の腕は粒子が集まって形を成していき・・・元に戻りました。

主様はとどまられたのですね。

スワローは安心いたしました。


「すまんな、まるで馬鹿なことをやっていた。・・・さあ、酒でも飲むか」


「・・・ええ、そうですね。ご一緒させていただきますね」


また一緒に・・・お酒を飲める。それだけで十分でございます。どうか主様はこのままで・・・



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ななななななななんなのよ、今の殺気~」


今までずっと震えていて動けなかったウエスであった。

お読みくださいありがとうございます。次回あたりにキャラ紹介とともに技能の説明をしたいと思います。

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