11:新しい武器(銃じゃない)と聖霊のその後
ここはどこだろう?目が覚めた時には周りが水面だった。私は先ほどまで変な男と戦い、敗れ、一時的に意識が抜け落ちているはず。戻ったのであれば星聖樹の玉座にいるはずである。とりあえず動こうと思ったが、
「・・・?」
動かない。否、動けない。よく確認してみると私の手足は拘束されていた。そのことに気付くと同時に襲ってくる頭痛。さらに腐臭。それはどんどん近づいてくる。目を瞑った。見てはいけない、見たらもどれない。なにがどうなるのかわからないが本能が告げていた。
腐臭が近い、すでに顔の真上にあるのであろう。目を開けるな、見たい、ダメだ開けるな。・・・ふと、まぶたの力が緩み、見てしまった。
「・・・いた」
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「!?」
「うお」
エイワーズは飛び起きた。それに驚いた一郎もぴくっと跳ね上がっていた。エイワーズは全身に冷や汗と思われるもので服が半透明になっていた。起きたその後もいまだ冷や汗と呼吸は止まることなく、何かがあったことは想像に容易かった。
「おい、大丈夫か」
「は・・・は・・・はぁ。と、とりあえずは」
何か返答をするのも難しい。そういう雰囲気で答えられたそれはとても大丈夫には見えずより一層一郎を心配させていく。
対するエイワーズは一郎に恐怖を覚えていた。今隣にいて心配するその男は殺気も有らず、そんなものを感じるのはおかしい。そう思っていたが本能的恐怖がぬぐえなかった。先ほどから施しを受けるたびにビクッとしながらどもって済まないとだけ返していた。それを見かねたスワローは顔は笑っていても心のうちでは怒っている、そんな覇気を出しながらエイワーズに近づいた。
「あなた、先ほどから主様を恐れている様子。寝ている間何があったのかは存じ上げませんが、それが恐れる理由になっているのであればお話していただけませんか」
きわめて丁寧な言葉で包まれたその言葉は封を開けると強制の念を含んでいることがわかる。一郎も病み上がりに悪いと思ったのか、そもそもこんな状態にした自分が悪いのだと思ったのか、
「スワロー、そう急くなよ」
「主様、失礼ながら先ほどまで戦っていたときの主様は他人から見れば今日日であったかもしれません。しかし今は戦闘慣れしている誰から見てもダダの呑兵衛のような雰囲気しか出されていません。いくらなんでも呑兵衛を恐がれというのは酷な話です」
その評価に少し不満を覚えた一郎だったが、正論であったためスワローの指摘に反論しなかった。一郎を言い負かしたとみると再度エイワーズに視線を向け言及する。
「さて、なぜでしょうか。話すだけです、簡単なことです」
「ひ、は、ふ・・・あ」
迷宮の主はその体裁も気にすることなく、赤子のように涙を流し、過呼吸のようにもなっていた。
「そこまでだ」
スワローの後頭部にはリボルバーが突き付けられていた。やりすぎと見かねた一郎が止めに入った、ただそれだけであったがスワローはそう思わず、まるですべてに裏切られたかのような表情をすると、
「あ、主様・・・・」
「やりすぎだ」
スワローには行動で示すのが一番いい、そう理解している一郎は下手に言葉を飾ることはなく動いた。しかし今回それがあだになったのか、スワローは涙で顔をいつの間にかぐしゃぐしゃにしながらすり寄ってきて、
「ごめんなさい、私が間違っていました。捨てないでくださいぃ・・・」
このあともずっと捨てないでくださいと呟いていた。ここで一郎は初めてスワローが自分に対してどう思っていたのかをなんとなく理解した。狂信者と同じでよりどころが無くなったらたちまち崩壊してしまいそうな物、つまり依存だ。こいつは俺に依存している、そう思った。
「捨てないから泣くな」
「・・・本当に?」
頭に手を乗せ、本当だといいながら撫でてやるとえへへとかわいい声を出しながら顔をこすりつけてくる。周りから見ればまるで親子のようであった。
「・・・・いいなあ」
ぼそっとエイワーズが呟いたのを聞き逃さなかった一郎はお前もやろうか?と聞いたが顔をそっぽに向かれてしまった。
それから約5分後、エイワーズは恐れた理由を話すとスワローが心当たりがあるとその人物の話をした、冥王というものは似たことができるらしい。エイワーズも知っているようで「ああ、あの雑魚」と言っていた。効果があったということは近くにいる、そう思った一郎はスワローに告げると探してきますの一言で消えてしまった。
「な、なあ。なんでここにいたんだ?」
エイワーズからここにいることの質問を受ける、かねてよりの目的であった謝罪をした一郎は即座に雰囲気を変えて
「酒のめるか?」
「ほえ、酒?」
「ああ、酒だ」
たぶん笑顔なんだろうその顔でお酒を取り出し勧めてきた。
飲み始めてすこしするとスワローと後ろに見るも無残な姿の冥王とおもまれる何かがあった。
「おかえり、そいつが冥王さんか?」
「そうですね、昔の私では無理でしたが今では楽勝でした」
仮にも王の名称を持っているため決して弱くはないが、この二人がただ単に規格外というだけであろう。
「そいつがお前の主か・・・ここまで連れてきたことを後悔するんだな!」
そういうとものすごいスピードで一郎へ向かってくる冥王。スワローも予想していなかったのか反応が遅れ冥王の攻撃が一郎に当たろうとしていた。
「主様!!!」
悲痛な叫び、その心配のさなかにあった人物は無表情で自分のリボルバーを冥王の口にねじ込んでいた。
「な、なんだこれは!?」
「こいつは銃、科学の賜物さ」
口に一発、ふきとばなかった。
「耐久性は合格、次」
そこから繰り広げられるのは銃撃戦、火力の高いカスール弾を使い的確にダメージを与えていく。それを耐えきれなくなった冥王は急接近して
「接近戦ではこちらが有利いいぃ!」
腕を伸ばしている状態で構えている銃を相手に向ける暇もなく懐に入られる。とったと思い右腕で切りつけようとする。・・・が右腕は動くことなくそのまんまだった。というより、右腕はなかった。
「あ、あれ?」
「剣、得意じゃないんだ。変なところに当たったらすまん」
一郎が左腕に持っているのはところどころに節がある剣。いつの間にかあったそれはきちんと仕事をしていた。
「どっから出したんだよ!」
「今作った」
「はあ!?」
もう一度振られる剣をよけようと後ろに下がる。銃の射程ではあるが切られるよりましそう判断した冥王。
「剣はレンジに入らなければ・・・え」
剣が・・・伸びた。というより節から分裂して伸びたように見えた。それに入ってしまった冥王はもちろん真っ二つに切られた。ドサッという音と同時に二つの物体が落ちる。剣もまたジャキとなり、元の長さに戻った。
「お前はなんだっていうんだ」
「黙りなさい」
スワローが銃を向ける、その顔は怒り狂っていた。
「私の主様を弱者呼ばわりした挙句、質問?調子に乗りすぎてないかしら」
至近距離で容赦なく撃っていく。
「うぐ、やめ」
「・・・まあいいでしょう、迷宮からまずは出てそこからですね」
「追い打ちは酷えな。完全なるオーバーキルだ」
あなたが言えたこと・・・とエイワーズは思ったが言ったそばからあそこのメイド女に殺されるのが目に見えていたのでのどの手前で封じ込めた。
「出口はあっち、あそこの門くぐれば出口よ。次この迷宮はいるときは好きな場所からスタートできるから」
その説明を聞いてありがとうと返事を返すと、その門へ消えていく。スワローも2つの冥王を引きずりながら門をくぐっていった。
「不思議だったけど、おもしろい人でもあったな・・・」
一人になったエイワーズは一郎のことを考えていた。
「たまには外に出てみようかな・・・」
また一人、鬼畜に染まりそうな犠牲者がふえようとしているころ、スワローは冥王をしばいていた。
「しねえ!しねえ!」
「や、やめ・・・」
M500を連発しているスワローはのちに一郎からドSワローとからかわれていたが
「主様の前ではMです!」といわれ、言葉に詰まった一郎だった。
書いてるうちに10回くらいWEBページエラーかきてやる気なくした話です()
おそらく次はちゃんと面白くなるかと・・・(希望)




