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ストーカー・ラブ  作者: sitis
テストの幕開け
68/68

結婚

 ドキッ!男だらけの、補習大会~!

 なんて言ってはみたが、これ読みたいやつ居るのだろうか。

 まあ、一応の描写は必要だろう。

 補習を受けているのは、俺と慎、その他大勢の男子たち。結構居る。

 もっとも、真面目に受けているとは一握り。真面目でない奴らはというと…。

「ウノ」

「くっそ!言い忘れなかったか!」

「革命だー!」

「うわっ!くっそ、俺の残しといた2が!」

「食らえチャージショット!」

 なんて具合だ。ゲーム機を持ち込んでるやつも居ることに驚きを隠せない。

「チー!」

 麻雀!?

「ロンです、先生」

「なっ!?くっそ……」

「おい先生あんたなにやってんだ」

 そこに居たのは懐かしの先生。(3部 問題を参照)数学教師だったが、たまたまこの学校に倫理教師として赴任してきたのだ。つーかこのコソコソしなきゃいけない状況でなんでスペース取る麻雀ができるのかと思ったら、そういうことか。

「ええ?だって、ここに来るような奴補習しても勉強しねえじゃん。あ、くそ、足りねえ…ほらよ、2500円だ」

 10点1円らしい。レートは普通だ。

「そんなんでいいのか倫理教師」

「いいんだよ。倫理なんてクソ喰らえだ」

「本当にそんなんでいいのか倫理教師」

「俺の専門は数学だ!」

 はっはっは、と高笑い。変わらねえな。この先生は。

「それより、お前はいいのか?」

「は?」

「帰ってもいいぞ?昔、お前が愛欲に溺れてもいいって言ったが、別に嘘言った訳じゃない。本心だ。

 お前だって帰りたいだろう。俺だって嫁が居たんだ。それはもう溺れた。好きで好きでしょうがなかった…。ま、もっとも結婚してしばらく経ったら変わっちまったし、俺のあいつを見る目も変わっちまった…。

 何が言いたいかっつーと、好きな人を好きなだけで居られるのは、今だけだ。存分に恋の快楽を味わえ」

 恋の快楽、ねえ…。

「先生」

「なんだ?」

「俺は、いつまで経っても真子を好きなままで居ますよ」

「だから、今俺が…」

「それでもです」

 力強くそう告げると、先生はきょとんとした顔をして、それからニヒルに笑った。

「そうか。お前はそういう奴だったな」

 しっしっ、と追い返される。結局追い出されるのか。

 校門の前には真子が立っていた。

「悪い、待たせちまったか」

「いえ、そうでもないですよ」

 まあ、待ってるなんて一言も言ってなかったから俺が謝るのも変な話か。

「帰ろうか」

「そうですね…」

 てくてくと、歩いて帰る。二人並んで、手は繋がない。

「…なんか、最近は日常が濃いですよね」

「濃い…か、確かに」

 急に転校してきて、戦って、風邪引いて、テスト。あまり体験している人も居ないだろう。

「なあ、真子。今、俺と居て楽しいか?」

 さっきの先生の言葉も気になり、聞いてみる。好きな人を好きなだけで居られるのは、今だけだ…ねえ。

「楽しくはありますけど、疲れます…」

「つ、疲れる、か…」

 重い男だったりするんだろうか、俺。何故か頭の中で慎から「重いよ」って突っ込みが来た気がする。


「だって、いつもドキドキしてるんですもん」


 ふわりと笑って、恥ずかしそうに言う真子。その姿は、夕焼けに照らされて、とても可愛く見えた。

「…それなら、決まりだな」

「へ?」

「なあ、俺は来年18になる」

「…?知ってますけど…。同学年ですし…」

 言わんとすることがわからないらしい。遠すぎたか?

「高校卒業したら、結婚しよう」

 大学は、既婚者が居ても普通だ。俺はできるだけ最短で結婚したかった。

「…どう、だろうか?」

「…それなら」

 真子が三歩俺より前に出て、振り向く。とびっきりの笑顔で、言った。


「いっ…ぱい、幸せにしてくださいね?」


 当然だ。

 俺は答える代わりに、真子の手を握った。その手は、暖かくて、心地よくて、幸せだった。




 ぽんぽん、と紙の入った筒を肩に当てる。周りは完全にお祭り気分。泣いている人や写真を撮っている人など、やっていることは多岐に渡る。

「僕たちももう卒業かー…なんか実感無いねえ」

「気持ちは分からなくもないがな」

 とはいえ、多分そろそろ実感をくれる人が来るはず…。

「亮太くぅ~ん、慎くぅ~ん!」

 ほら来た。両手を広げて飛びかかってくる綺麗な女性。なんか色々台無しだ。

 いつもなら避けるのだが、今日はそんな無粋なことはしなかった。

「そ、卒業おめでど~!いづでも、あぞびにぎでいいがらねぇ~!」

「先生、何言ってるのか分かりません」

 パン、と銃を撃つ。この銃は卒業時に貰えた。これで大事な人を守れ、とのことだ。

「あいたっ!…もう。本当に、いつでも遊びに来てね?」

「了解です。メールアドレスでも交換しときましょう」

「そうだね。…え?亮太くん、ガラケー?」

「悪いんですか」

 普段はまともに使わない敬語も、今日は使う。じゃないと、本当にこの人を恩師だと認識できなくなる。

「じゃあ、またね!…あ、そうそう!女子陣は向こうに居るよ。…結婚式は呼んでね?」

「招待状は送ったはずですよ」

 ぴゅー、と逃げるように去っていく先生。俺たちもそろそろ女子陣の方へ行くか。

「おーい、二人ともー!」

「あ、亮太くん!」

「…なんか僕を居ないもののように扱うね」

「宿命さ…」

 俺はきちんとアネゴを呼んでやったし。

「そろそろ市役所行かないか?」

 筒のなかに入っているのは、卒業証書と、もうひとつ。俺たちの夢の証だ。

「そうですね。ね?アネゴさん?」

「う…」

 アネゴと慎、この二人は二人で結婚するらしい。俺たちに充てられたのか、否か。

「お!なんだ、もう行くのかお前ら!」

「結婚式には呼べよー!」

「余興くらいやってやるぞー!」

 周りから飛ぶ歓声。俺たちの前途は、祝福されていた。

「さあ、いこうか、真子!」

「はい!」

 人だかりを二人で駆け抜ける。しっかりと、お互いの手を握って。

 ~Fin~

くぅ疲!応援して頂いた皆様、ありがとうございました!

伏線を投げっぱなしにしている自信がありますので、気になることや質問等あればお便りください!

では、この私の次回作にご期待ください!

※友人とのコラボ作品を書くかもしれません。しばらくしたら載せますので、是非そちらも見てください。

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