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ストーカー・ラブ  作者: sitis
テストの幕開け
62/68

追試3

ポイント100突破!やったーーーー!!!!

 おかしい。ありえない。

 今、俺は絶対にありえないことを体験している。誰か、教えてくれ。

 場所は会議室、時刻は朝9時半。

 目の前には問題用紙、シャーペンを武器に戦う行事、それはテスト。

 部屋にはカリカリという紙とHBの芯が擦れあう音だけが響く。部屋に居るのは俺と真子の二人だけ。

 そう、()()だけ(・・)だ。なんとここには試験監督が居ない。

 だというのに何故だろう。

 カンニングしちゃいけない気がする…!

 少し、たった少し横を見れば真子の答案用紙が見える。でも、なんだろう。プライドとかじゃなく、見た瞬間何かが終わる…!

 問題を解きながら頭の片隅で考えを巡らせる。やはり、隠しカメラか…!?最近はすごいもので、一見しただけじゃカメラだと分からないものも多くある。自警団でも何度か捜索し、見つけている。

 目だけで周りを見渡す。何か、それらしいものは無いか…!?しかし、見つからない。

 カメラではないか、と思って少し警戒を緩める。見られている訳ではないことに安心したのだ。

 となるとこのオーラはなんだろう、盗聴機か?音だけでも以外と状況は分かるものだ。もしかすると何故かハイテクなこの学校のことだ、ソナーのような感じでこちらの様子を伺ってるのかもしれない。

 考えていると、つい手元がおろそかになる。俺は机に置いていた消しゴムを落としてしまった。

「…」

 どうしたもんか、とは思うが、試験監督が居ないから仕方ない。自分で取ろう。椅子から降り、床に膝をついたその瞬間。

「…どうぞ」

 全身タイツの男(と思われる)が消しゴムを取ってくれた。

「…!?」

 叫びそうになる口を慌てて塞ぐ。今こいつ、どこから現れた!?思い出したくない過去が現実であることを裏付けるように、彼は机の下に潜っていった。

 …何故気づかなかったんだ俺!監視カメラよりよほど分かりやすいだろう!

 ちらりと真子を見ると、一連の騒動など無いかのように必死で問題を解いていた。なんとも強固な集中力をお持ちだ。

 なんとなく思い付いて、机の下の男が居る辺りを蹴る。が、足には何の手応えもなかった。

 ーーーかわされた!

 気づけば、俺の頭はテストなんて考えていなかった。まずいまずい、全身タイツの男の思うつぼだ(彼の目的は知らないが)。

 しかし彼、あまりに気配が無い。まだ机の下には居るのだろうが、居なくなっても気づかない自信がある。案外居なかったりしてな、ともう一度消しゴムを落とし、机の下を見てみる。

 誰も居なかった。

「何でだあああぁぁぁぁ!!!!!!!」

 耐えきれずに叫ぶ俺の声は、しかし真子以外誰にも届くことがなかった。図らずも、誰にも見られてないことを示した結果となる。

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