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ストーカー・ラブ  作者: sitis
テストの幕開け
50/68

看病

筆進まない…

「はい、おかゆです。ふー、ふー…。はい、あーん」

「す、すまん…」

 マスクをずらし、粥を口に入れ、少しだけ噛んで、顎が疲れたら飲み込む。やはり風邪は怖い。顎はたった数回噛んだら疲れた。

「…うまいよ。ありがとう」

 やはり一度寝ると違うようで、俺の咳はかなり止まっていた。体のダルさも少し引き、歩けるくらいにはなっていた。

 しかし、まあ当然というか、真子は「今日はあまり体を使わないでください」と言って俺の身の周りのことをしてくれた。今日の料理当番は俺だというのに…。すまん。

「さ、じゃんじゃん食べてください。最低、この一杯は食べてくださいね」

「ああ。分かってるさ」

 ぱくぱくと粥を飲み込んでいく。一回一回真子が息を吹き掛けて冷ましてくれるので、すごく食べやすかった。


 三十分後。

「ご馳走様」

「お粗末様です」

 真子の助力もあって、俺は茶碗一杯の粥を食べきった。

 相変わらず、真子は料理が上手い。ただの粥なのに、俺が作るのとは味が違った。

「じゃあ、これ。薬です。こっちのスポーツドリンクで飲んでください。私はおかゆの余りを食べてきますね」

「ああ。じゃあ俺はもう一眠り…」

 するよ、と言おうとしたのだが、手が勝手に真子の腕を掴んでいた。

「あ、悪い…あれ、取れない…。ちょ、ちょっと待ってくれ」

 取れない。これじゃまるで、俺が寂しがってるみたいじゃないか。

 …いや、正直に言おう。寂しいのだ。でも、それで真子に迷惑をかける訳にはいかない。

「真子。すまん。取ってくれないか。俺じゃ無理みたいだ…」

 そう言うと、真子はクスッと笑って、

「じゃあ、すぐ戻ってきますから、待っててください」

 そう言って、俺の額にキスをした。

 驚くほど簡単に俺の手は外れた。…ラブコメでよく見るけど、本当にあるんだな、こういうの。

 我慢できなくなって、ドアに手をかける真子に声をかけた。

「…真子、もう一つお願いをしてもいいか?」

「はい?なんですか?」

 真子は「なんでも聞きますよ」という顔で振り向いた。

「その…。風邪を引くとだな。人肌が恋しくなるというか…」

 ああ、くそ。初めて言う訳じゃないのに、何故か言葉が紡げない。恥ずかしい。

「その…今日、一緒に寝ててくれないか」

 やっと言えた。そう、結構頑張って言った俺だったが、真子はあっけなく、

「当然じゃないですか。何言ってるんですかもう」

 と言ってくれた。

 そして、真子が粥を食べ終わると、俺たちは、ベッドで仲良く眠りについた。

 テストまであと4日!


ーーーおまけーーー

「やっほー!お見舞いに来たよー!ってあれ、出ないな」

「鍵くらい開ければいいんだよ。ほら、見なよこのオモチャクオリティの鍵」

「うわ、本当だ…。亮太のお父さん、一世代違うんじゃないの…」

「邪魔するよ…って、いない」

「部屋じゃない?お楽しみに邪魔するのもいいかもだよ」

「どんな『お邪魔します』だい…あ、この部屋だね。寝息が聞こえる」

「あ、二人とも寝てるや…。果物だけ置いて帰ろうか」

「…なんか、なごむねえ」

「そうだねえ…」

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