恐怖
やばい、もう一本の連載がほとんど書けない…。しかもまた一日休んだし…
「…で、なんでお前らまでいるんだ?」
「え?だって僕成績悪いし」
「あたし暇だし」
「たくさん居た方が楽しいじゃないですか!」
テストまでの放課後の予定が決まった後、それぞれ帰宅。アネゴと慎は途中で別れたはずなのに、俺たちより早く我が家に居た。
「…どうやって先回りしたんだ?」
「「電車!」」
「わざわざそれだけに金を使ったのか!?」
まあ、高校生の遊びたい欲求を叶えるのはいいんだが…テスト前にしろよ…。
「ってことで、亮太ー!国語と数学教えてよ!」
馬鹿は放っておいて三人でノートを広げる。真子も慎の扱いに慣れてきて感心感心。
「新入り。ここの計算なんだけど…」
「ん?ああ、ここはな…」
アネゴはどうも比較的数学が苦手なようだ。ちょこちょこ俺に質問する。
「新入り。ここ…ひぃっ!?」
「なんだどうした!?」
滅多な事ではビビらないアネゴがビビった!何事だ!
「あ、あたしリンゴ持ってきたんだよ!切ってくる!」
逃げやがった!
…などと言っているものの、俺はアネゴが何に怯えたのか見当が付いていた。
「真子。大丈夫だ。浮気なんてしな…」
「?」
あれ?めっちゃ平常心だ。
「今の、お前が何かやったんじゃな…ひぃっ!?」
まずい。
今、居た。
確実に居た。
人の形をしているけど人でないものがいた。
「…」
そーっと、刺激しないように、伏せていた目を上げる。すると…。
「本気で勉強しに来たのになぜ教えてくれないんだ亮太なんてアネゴさんに教えてるし真子さんは平常心で勉強してるしアネゴさんは亮太に色目使ってるしそもそもこの勉強会の意義ってなんだよ勉強できないやつにできるやつが教えることじゃないのかなんでそれをしないんだよもっと考えろよあアネゴさん帰ってきたリンゴだまあ僕の分は無いんだろうけど最初から数に数えられて無いもんねああいやだいやだひがみか恨みか嫉妬かどんな感情で僕を仲間はずれにするんだろうきっと愉悦と悦楽と快楽に満ちてるんだろうな人って怖いな」
いや、人っていうかお前が怖いよ。
ほら、真子俺にしがみついて離れないじゃん。
アネゴ皿落としたじゃん。プラスチックで良かった。
「ま、まあ、アレだ。仲間はずれにして悪かったな」
慎の肩を叩きながら謝る。こいつの場合、ちょっと高圧的な方が効くのだ。
「…え?あ、本気にした?」
慎から帰ってきたのはあっけらかんとした言葉だった。
「やだなー。本気でそんなこと言わないよ。もっと僕のこと信じてよ~」
冗談のように言う慎。俺にはこいつが底知れなく思えた。
ーーーおまけーーー
「本当ごめんよ。まさかあんな死んだ目になるとは思わなかったんだ」
「何より怖がってごめんなさい…」
「え?何が?気にしてないよ。やめようよ。僕もなんか悪いことした感じになっちゃうからさ」
「あれで悪いことした気になってないってことは、こいつ本気で復讐しに来たな…」




