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ストーカー・ラブ  作者: sitis
昇軍の闘い
40/68

敗北

今回も短いです…。ちょっとスランプ気味?

「ちぇー…」

 慎が悔しそうにため息をついている。気持ちは分かるんだが…。

「僕何もやってないよ。活躍したかったなー…」

「そんな事言ったら、あたしはほぼ参加すらできなかったよ?」

「真子さんは一人、亮太はほぼ全員倒したし…」

 俺は結局、リーダー以外の全員を殲滅した(慎曰く「鬼神のようだったらしい)後、向こうのリーダーに一撃でやられた。あれは完璧な気配の消し方だった。

「でも、私も不意討ちで倒しただけですし…」

 真子も心なしかテンションが低い。俺も負けたし、落ち込んでいるんだけど。

「でも、本当、亮太の最後はすごかったよね。2分くらいで殲滅してさ!」

「そんなことないさ。まぐれだ」

「またまた~」

 とはいえ、多分俺が使う分には『拳』が一番強いだろうことは分かっていた。

 剣道はやったものの、いかんせん剣の競技は多くない。しかし俺は中学時代に友人から「無茶苦茶だ」と言われるくらい武術に励んだ。場合によって使い分けられる強みがあるのだ。

「でも、亮太が武術やってたのって、中学時代だけだよね?何か理由とかあったりするの?」

 慎が場合によっては失礼にもなりうることを聞いてきた。理由か…。

「今、真子を守るためだな」

 俺は、少々照れながらも答えた。

「中一のとき、家族皆居たときに泥棒が入ってきてさ。ナイフ持ってたんだけど、速攻で親父が叩きのめしたんだ。それで、なんでそんな強くなったのかって聞いたら、親父が大事な人を守るためだ、って言ったからやってみた」

 飛び付いてくる真子を受け止める。真子も多少思うところがあったようだ。

「ま、今は『守る』の定義も俺の中で変わってきてるけどな」

 そこまで言うと、真子が俺の腕の中でしゃくり上げた。

「…私、このメンバーでいけば、負けることはそう無いと思ってました」

 唐突にそう言い出す。

「このメンバーで負けたことが無いから、そう思っていたんだと思います。でも、実際はそうじゃありませんでした。私、凄く悔しかったです…!」

 嗚咽が漏れないよう強く抱き締めてあげたものの、声が少しずつ漏れていた。

「大丈夫さ」

 俺は確信を込めて言った。

「負けることは悲しいことじゃない。だから悔しがる筋合いはないんだよ」

 俺は、精神面でも真子を守ってみせる。

 その覚悟が、今やっとできたのかもしれない。

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