移動
自分で書いといてなんですけど、真子かわいいよ真子
そして朝。
結局オールしました。今日は素晴らしい朝だ!
「よーひ、りゃあ駅にふかいまひょう!」
真子大丈夫か。フラフラだぞ。
「だ、大丈夫か?眠くないか?」
「眠いれす…でも、眠気を吹っ飛ばす方法を知ってりゅので大丈夫です!」
「眠気を吹っ飛ばす方法?」
なんだろう。民間療法なら、息を止めるとか、顔を洗うとかだが…
不意に、柔らかいものが飛びかかってきた。
というか、真子だった。
「うおおああ!?」
いきなり好きな人に抱きつかれる。男にとってここまでびっくり、緊張することがあるのだろうか。いや、ない(断言)。
ていうか深夜テンションでおかしくなってるのか?それならそれでこっちも抱き締め返す訳にはいかな「ギュ」え?
「ってあれ?」
なんか無意識に抱き締め返していた。俺の欲望無尽蔵。
「えへへ…」
聞こえてくる幸せそうな笑い声。この声を聞くと、全てがどうでもよくなって全力で抱きしめてしまう。
「…ラブラブなのはいいが、早く行くようにな」
親父の冷静なツッコミが入ってなければ俺はずっとこうしてたと思う。
「じゃあな、親父」
「元気でな」
駅のホームで親子の別れの挨拶をする。こうして考えると、やはり少し寂しいと思う。親父は生まれたときからずっと一緒だったんだ。こうして目を瞑ると思い出す。幼少期からの記憶。
間接技をかけられた記憶。
思いきり投げられた記憶。
バックドロップされた記憶。
組手(一方的)の記憶。
キレて本気で殴りかかった記憶。
返り討ちにされた記憶。
なんだろう、この気持ち。心の奥から赤い感情が湧き上がってくる。
考えると、すぐに分かった。ある意味、いつも感じていた気持ちだ。
「また会ったら殺すぞクソ親父」
「やってみろドラ息子」
殺意だな。
そして新幹線は走り出した。親父に対しては鍵をくれた感謝以外は何にもない。別に寂しくもなかった。
ぽす、と肩に何かが当たる。隣に座っていた真子が、こっちに頭を寄せてきたようだ。
「どうした?」
俺も真子によりかかりながら聞く。顔は自然と笑顔だった。
「明日から、一緒に暮らすんだよね」
「そうだぞ。学校に行くのも、食事するのも、お前が望むなら寝るのも一緒だ」
「ほんと…?やったあ…」
声に覇気がない。敬語が崩れ、瞼が眠そうに下がってきている。相当眠いんだろうな。
俺の肩を枕の代わりにして眠りに落ちる真子に新幹線に備え付けてあった毛布をかけてやる。そして、愛らしいその頭を優しく撫でてやった。
えへへ、と真子の頬が緩むのを見て自然と俺の頬も緩んだ。
「…ほんと、よかったな」
真子と出会えたこと。両想いになれたこと。一緒に暮らせること。全てが恵まれている。
とはいえ俺もやはりオールはきつかったのか、瞼が落ちてくる。俺は、幸せの絶頂の中で眠りについた。
眠りすぎて、起きたとき新幹線が目的地ジャストで焦ったのは余談だ。
お読みくださりありがとうございます。
こんな彼女がほしい今日この頃です。




