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ストーカー・ラブ  作者: sitis
プロローグ
16/68

遊園地2

「さて、何をしようか?」

腹ごしらえも終わり、午後。アトラクションはどこも多少混んでいるが、少し待てばどこも乗れそうだ。

「何言ってるんだい。ここに来たら名物のスーパージェットコースターに乗らなきゃ意味無いじゃないか」

「そうさ。亮太、事前情報とか無かったのかい?」

「…え?」

ジェット…コースター?

「見てください!でっかいです!あれに乗るんですか!?」

「いや、あれよりでっかいよ」

「名物だからね。あたしも楽しみだよ」

あれより…でっかい?

「…じゃあ俺待っとくから、三人で行ってこいよ」

「何言ってるんだい、あんたがいないと真子ちゃんが可哀そうだろう?」

「そうですよ!一緒に乗りましょう!」

「…まさか亮太、怖いのかい?」

ギクッ

俺は何を隠そう、絶叫系が苦手だったりする。それはもう物凄く。

乗るとどうなるかというと…多分遊園地の名物レベルになると吐く。間違いなく。

しかしそれでもこれがアネゴと慎だけなら乗っていた。吐くのもまあ一興だろう。

ここには真子がいるのだ。

俺の愛する彼女に吐いてるところを見られるなんて、考えただけで嫌だ。泣けてくる。

「…それなら、こうしよう」

「ん?」

「なんだい?」

「親睦を深めるべく、男女二組に分かれて乗ろうじゃないか。俺と慎、アネゴと真子だ。OK?」

「…いや、それなら皆で乗ってもいいじゃ」

「OKそれでいこう!」

アネゴの冷静なツッコミを遮るように慎が乗ってくれる。

(理由は解らないけど、真子さんを遠ざけておきたいんだろう?乗ってあげるよ)

慎が小声で俺に協力宣言をしてくれる。ありがとう、マジで。

「じゃ、先に女子二人行ってくれ」

「…まあ、分かったよ。真子ちゃん。行こうか」

「はい、アネゴさん!」

良かった。真子も空気を読んでくれた。俺と乗らないでいてくれた。

「で、なんで真子さんを遠ざけたかったんだい?」

慎が不思議そうに聞く。

「そうだな…あれは、小学生の時…」

~~~回想~~~

「ジェットコースター楽しみだね!お父さん、お母さん!」

「そうだな、はっはっは!」

「そうね。ほっほっほ!」

俺はあまりにジェットコースターに乗りたくて、身長制限を数センチちょろまかしていた。親父もお袋もおおらかで、何も言わなかった。

「よし、じゃあ出発だー!」

案内の人が元気に号令をかけ、ジェットコースターが出発する。このときは俺は希望に満ち溢れていた。

「わあ、速い!サラ○ンダーよりはやーい!」

「おいやめろ…って亮太!?」

俺はジェットコースターからまっさかさまに落ちて行った。幸い命はあったものの、頭を三針縫った…

~~~回想終了~~~

「…という話だ」

「自業自得じゃないか」

「でもトラウマには充分だろう」

「まあ、納得だよ…で、そんな男らしくない所は真子さんには見せたくないと。亮太もカッコつけだねえ~」

「うるせえよ」

こいつは気さくで、イケメンだ。運動もでき、勉強もできる。この芝居がかった口調がなければもっとモテるんだろうが、なんだろうな。

イケメンなのに憎めない。ムカつかないイケメンだ。多分、こういうのを本当のイケメンって言うんだろうな。

「お、真子さんたちが見えるよ」

上を通るレールを見てみる。二人ともめっちゃ笑顔だった。

「ヒャッホー!」

「サ○マンダーよりはやーいです!」

「おいやめろ!」

真子の精神年齢はあの時の俺と同じなのだろうか。

…まさか落ちたりしないよね?

「お。亮太!来たよ!」

「ああ…」

見る間に気分が沈んでゆく。せめて乗ってる最中は吐かないようにしよう…

「いやー…僕もこれに乗るのは初めてだからね。楽しみだよ。あと、亮太は頑張ってね。吐かないように」

「分かってるよ」

とは言いつつ、実際はガチガチだ。慎もそれが分かってるのか、微笑ましそうに見ている。

「よし、じゃあ出発だー!」

ってこの文句…

あ、これあの時の人だ!トラウマポイント8加算!

ゆっくりと動き出す。だんだんと恐怖が高まっていく。

「あ、あ、ああ…」

「おおー!結構高くまで上るねえ!」

ビクビクしている俺を尻目に慎は楽しそうだ。

急降下しようとする車体に、俺は諦めて目を閉じた。身体にかかるGだけでも充分怖かった。

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