仕事1
新キャラ登場が重なる…のはいいんですが、動かしづらいですね、ちょっと。
「武道場はここか…?」
慎に貰った学内マップと現在地を照らし合わせる。うん。間違いなさそうだ。
「自警団かあ…」
ここに来るまでに先生と慎にどんな感じかを聞いておいた。曰く『地獄』と。
『気を付けないと射殺されるわよ』
『達人の宝庫だからね』
…やだなあ。
「しょうがない…たのもー!」
ドラマでよく見る挨拶をしながら武道場の木製ドアを開ける。すると…
「お、来たねあんた。待ってたよ」
ニヒルな笑いを浮かべながら見知った顔が出てくる。この人は確か、手錠貸してくれた…
「アネゴ!」
「…誰がアネゴなんだい?誰が」
しまった。心の声が出てしまった。
「いや、すまない。ああ、そうだ。手錠。返すよ、ほら」
「ああ、ありがとね。あんたは今日から参加なのかい?」
「ああ、そうだ。良ければシステムについて教えてくれないか?まだ全然分からなくてな」
「いいけど、そろそろ先生来るはずだよ?」
あ、そうか。そっちに聞くべきだった。
「ありがとう。じゃあ先生に聞くとするよ」
「ああ。…お、噂をすれば」
バーン!と音がして扉から光が差し込む。人影がグルグルグル、と回りながら部屋に入り、膝立ちの体勢になって銃を構えた。
「伏せなさい!」
ーーーその声を聞いて、その真剣な顔を見て、俺は反射的に頭を下げていた。
パン!
響き渡る銃声。どうなったのか確認しようとすると、先生の銃からは煙が、そして上から何かが降ってきた。
「…クラッカー?」
「あはは。バレた?」
よく人影を見ると、入ってきたのは千葉先生だった。綺麗な顔に悪戯っぽい笑みを浮かべている。その瞬間、俺は全てを悟った。
「…歓迎してくれたんですね、ありがとうございます」
「分かってくれるなら嬉しいよ」
「…あんたも大変だよねえ」
多分知らされてなかったのであろうアネゴが冷や汗をかきながら腰の銃に手を伸ばしかけていた。
…銃?
「先生、あの…」
「はい、では新入りの亮太くんに装備品を渡しまーす。皆拍手ー」
パチパチ。
小さい一人分の拍手。そういえばここアネゴしかいない。
「はいじゃあまずこれ。自警団バッジ。これは常に見えるところに付けといてね。洗わないだろうネクタイとかに皆付けてるよ」
そう言って渡されたのは小さなバッジ。なんの変轍もない。
「これって実は通信機になってたりは…」
「そんな某メガネの名探偵みたいなシステムないよ」
ですよね。
「はい、でこれエアガンとホルスター、予備のマガジン。それなりに威力あるから注意してね」
「はい。…え?これ要ります?」
「ウチは色んなバイトがあるからね。武力制圧することもあるんだよ…で、これが近接武器ね。名前はまだ無いんだけど」
「…?」
渡されたのは結構重い小さな棒。いや、指を当てるための窪みはあるんだけどね。
「なんですかこれ?メリケンサックですか?」
試しに握ってみる。ぎゅ。
瞬間、何かが中々の速度で飛び出した。俺の脇腹に直撃する。
「…!………!」
俺が声にならない叫びを上げていると、アネゴが解説を加える。
「三段ロッドみたいなもんだね。折り畳み式の武器。ギュッと握ると剣で言う刃の部分が飛び出すんだよ。今度からは出すとき注意することだね」
「はい…」
注意しないことの恐ろしさを身をもって体験しました。
「そんな君にこれ。防弾チョッキ~!」
先生が青い狸みたいな声で防弾チョッキを出してくる。いるの?これ。
「そりゃいるよー。ちょっとくらいの刃物は受け付けないし、打撃武器にも強いんだよ?これ」
万能だな、防弾チョッキ。
「で、あとアサルトブーツと帽子で完成!わーパチパチパチー」
一人分の拍手。寂しい。
「じゃ、とりあえず今日の訓練するから、着替えてきてね」
「はあ…というか、今日の訓練と言うのは?」
その当然の疑問を口にすると、先生はニコッと笑って答えた。
「二人で模擬戦してみよっか」
真子ちゃんが出ない回になりました。こうやってバイトシーンを増やすことで、真子ちゃんが出てきたときに強烈なデレにするのです。




