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帝国

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◆帝国 その1 ~成り立ちについて~


 帝国の成り立ちは東部の山岳地帯に住まうハイランダーの部族間戦争より始まりました。

 戦闘民族であった彼らは多くの民族と争い、併呑、吸収を繰り返し、やがては一つの大きな国になりました。

 彼らは厳しい環境と屈強な精神、独自の術式を用いて徐々に文化的成長を見せ、今から700年前、一つの国として設立しました。

 ゆえに帝国旗は竜を食う鷲、敵対者を滅ぼす獰猛な双頭の鷲をモチーフに掲げています。


 最初期の帝国は力ある者が上に立つ典型的な部族の延長での政であり、暴力によって物事を片付ける嫌いがありましたが、徐々に暴力ありきから力を持つ者が民を率いるという思想に変わり、現在の【旧帝国派閥】の雛形になります。

 一方、近年の戦争の様子、【タクティクス・ブロンド】に代表される【戦略級】術式師の登場により戦争の形態が変化してきたところから、その変化に対応するように生まれた【新帝国派閥】、現在でいうところの【新帝王派閥】の台頭により帝国内は大きく二分しています。

 もっとも複数の派閥が巨大派閥を中心に何重にも交差した魔窟と化しているので一概に二大派閥だけとは言い切れないでしょう。


 高地という条件、山岳地帯の多さから海までの距離が近くとも往路に難があるために海産は干物が主流。

 生の魚が帝都まで届くには、近くの池か川、それか冷蔵竜車によって運ばれるかのどちらかしかなく、近年ではコストを考えた海水魚を飼育する専門業者まで居る。

 一方、山の幸は豊富で、主食となる麦はリスリア方面――西部の平地で農作を行っており、リスリア側から攻められた時は食料的な不安を抱えている。


 また鉱物資源は豊富で術式具の元となる金属が大量に算出される金属資源の原産国である。

 埋蔵量も多く、製鉄技術は他国の追随を許さない技術の高さを誇る。

 それは兵の防具にも影響し、特に【キルヒア・ライン】ともなれば、最高級の合金鉄を利用して刻術防具化され、果ては軽量化などの技術も盛んに行われている。

 そのためか帝国のサロン、フォーラムは製鉄業に関するものが一番多い。

 ついで錬成部門も盛ん。もっとも下火なのが詩吟に関することだろう。


 信仰する神は当然のように戦の神ルーカン。


 初代帝王はルーカンより選ばれたマッスルであり、帝王はルーカンの加護を色濃く受け継ぐ存在であるとされている。


 魔獣の多発地帯も多く、必然的に強烈な武力を持つに至る。



◆帝国 その2 ~現在の状況と文化的な方向~

 帝王を中心とした臣、そして貴族体制によって構築された社会。

 それ以上に特筆すべきは【人間至上主義国】であること。

 帝国の周辺にもエルフィンテルメキア(エルフ種)やドワーフ(ドヴェルク族)、ヴェーアヴォルフ(狼人種)、リーゼス種(巨人種)、フェーリアー(妖精種)などがいたが、その集落のことごとくが全滅させられてしまう。

 生き残りは法国に、少数はリスリアに向かい、生存している。

 帝国内での幻想人種の地位は低く、奴隷使役の対象ともなっている。

 またその性質上、法国とは絶対に相いれず、小競り合いは今も続いている。

 それもリーングラードの学び舎を現代として一年前、【法国の戦乙女】モモ・クローミによって戦略的に負け、現在は小康状態。

 リスリアへのちょっかいもまた続いているが、ヨシュアン・グラムによる単独侵入、ファーバート邸襲撃事件により、ちょっかいの頻度が下がるなど近年の活躍は恵まれていない。

 もっともこれらを抜きにしても諸国にとっては驚異であることに変わりなく、以前、高い国力を保ったまま、現存している。


 国力だけなら間違いなく三国最強であり、賢王と法王の二人の協力により轡をかまされているだけである。



◆帝国 その3 ~キルヒア・ライン~

 帝国の中で最強の対敵性分子静粛部隊であり、集団においては【タクティクス・ブロンド】級の威力を見せつける対術式師集団で構成された、術式騎士部隊。

 女性騎士登用問題の渦中にある部隊であり、諸国の恐怖の対象。

 【キルヒア・ライン】筆頭であるアウルス・ディザンを初めとして、有数の副長たちの活躍によって日々、帝国の平和を守る一団。

 部隊は筆頭を中心とした帝都部隊と外周部隊の二種に分かれ、外周部隊は帝国の治安を守ると同時に各領主では対応できない武力問題を解決し、侵入者がいればその度、排除する。

 帝都部隊は【キルヒア・ライン】本隊であり、多くの戦術級騎士が集う猛者の洞窟である。正直、屈強な男でも入りたくないだろう、二重の意味で。

 主な任務は帝国の守護。そして最大の威力としての武威。


 術式師集団から見れば、もっとも出会いたくない敵。


 帝国内では英雄視されており、【キルヒア・ライン】は少年の憧れの対象であり、少女からすれば玉の輿の対象である。

 

 作中に登場した女騎士オルナは外周部隊所属であり、実力こそあれ諸事情や経験不足(ヨシュアンに比べたら、という意味)、性格が災いし本隊勤務を意図的に避けられている。友達いないし。



◆帝国 その4 ~帝国独特の術式~

 帝国の術式は最古の偉人ウーヴァーン・カルナガランが残した【カルナガラン方式】、そこから内源素と組み合わせた特殊な方式【チェクト・レノ方式】が採用されている。

 【チェクト・レノ方式】は【サートール方式】に比べて、威力よりも連携しやすさ、組み合わせしやすさによって最大威力をあげるという方向に特化している。

 これは均一化された騎士たちの能力を大量生産することができる帝国ならではの発想で、複数の騎士が同じ術式や組み合わせやすい術式を使うことで、個人では成し得ない威力を発揮するため。

 【サートール方式】よりも古く、効率化も図られているために地味に強く、使い勝手もいい。


 現在、軍同士の戦いといえば【チェクト・レノ方式】かそれに似通った手段を取ることの方が多いし、安全で確実。


 【タクティクス・ブロンド】を含めたヨシュアンのように単騎がけができるのが異常なのである。【サートール方式】は個人によって出力が安定しませんからね。


 最大の特徴は肌に浮かぶ源素の線だろう。


 使った術式によって肌に源素に対応した色の線が浮かび上がる。

 『眼』持ちしか見ることが叶わないが、【チェクト・レノ方式】の特徴であり、まるで刺青を掘ったような有様から力の象徴として貴族間に受け継がれる。

 貴族が顔に刺青するのは主にコレのせい。



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法国

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◆法国 その1 ~設立~

 ユーグニスタニア法国のある場所は、雪と氷の女王こと裁定の女神パルミアが支配する土地でした。

 氷精と呼ばれる妖精種と一部の適応した大型動物しかいない、氷の世界でした。

 しかし、神話時代において炎神パルクトーとの大喧嘩で居城を留守にした時に寒さの源泉だった氷の大樹を悪神の手先に枯らされ、今の人が住める環境になりました。

 困ったのはパルミアでした。

 氷の大樹がなければパルミアは弱って死んでしまいます。

 奇しくも【嵐のファーヴニール】が現れたせいで加速度的に弱り、彼女はどの神よりも先に眠りにつかねばなりませんでした。

 屈辱に震えるパルミアは移り住んできた人々の前に現れて『魔獣を滅ぼすこと』と『氷の芽を育てること』を押し付けます。

 そして、その恩賞の前払いと慈悲として、植えるだけで周囲の温度があがる『古代火炎樹の種』と極寒の地で生きる知識と力を与えられました。

 パルミアの前にいた七つの氏族はこれを恵みとし、神の啓示を氏族の目的とし、氷雪の地で暮らすことを決意しました。

 これ以降、法国ができるまで氏族たちの交流があるだけで、集落が点在しているだけでした。

 ところが帝国の前身となるハイランダーたちが各氏族を吸収し、ヴェーア種たちを襲っていると聞いて、氏族たちは再び集まり、ハイランダーたちから身を守るために国を立ち上げました。

 最初の七つの氏族はエルフ、ヴェーアティーガー(虎人)、ヴェーアドラッヘン(獣竜人)、マグル族、フェーリアー、リーゼス、北方系人種です。



◆法国 その2 ~文化~

 現在の法国は北部と中部、南部でその文化がガラリと変わります。

 年中雪が降る最北方での生活は同じ法国人が見ても不思議な文化様式を確立しています。

 古代火炎樹を集落や街の周辺を覆うように植えて、周辺の気温を上げて暮らしているのです。

 多くない農地も同じように囲われています。予備燃料用に松の木、他はマグル族が品種改良した寒地に強い果実木が多く見られます。

 マグル族たちはこの火炎樹の管理を行い、村人たちは地下に作った食用苔や雪キノコたちを栽培し、狩人はタンパク質となるサメの保存食やアザラシを捕獲し、炭水化物は南部からの輸入に頼りきっています。

 酒類や飲み物は農地区画で育成されている果実をベースにしたものが多く、ワインに比べるとエールは割高です。

 ヤグーのミルクやフルーツから作られるウォッカは北方民族たちの大好物です。特に後述の辛子で作った『火竜の酒』は飲み切れたら勇者とされています。

 なおマグルたちの品種改良能力が高いせいか南部のものらしき丸い唐辛子が主な香辛料として使われています。実は甘く、種は辛く、と、捨てる場所がないことと使いやすいためか保存から常食に至るまで辛子漬けです。ちょーからい、あまからい、が法国北方の味付けです。

 アザラシのお肉の辛子焼きは南部にも評判です。

 この最北端の見所はパルミアが使ったとされる山中に隠された氷の城です。

 ただ、見に行こうとすると強い吹雪に見舞われるので、氷の城を見た者は少数です。


 中部は放牧がメインです。

 北部の香辛料や南部の麦類が輸入されやすい立地で、そのせいか法国の首都や神殿は中部にあります。

 主な食用動物はヤグー、なんだかよくわからないデカい爬虫類、そしてウルプールです。ウルプール涙目;

 放牧がメインなので生産力はそう高くないが、中部の見所は食ではなく文化様式そのものです。

 エルフやド・ヴェルクの建築技術による祭殿や神殿、神務代行の寝所でもあるパルミア神殿は他国から城と呼ばれるほどの神殿で、ところどころに源素結晶や結晶石が使われている『ユーグニスタニアで一番、高価な神殿』です。

 他にもデザインセンスでは大聖堂のミウロスク廟、静謐さは聖人墳墓、などなど数々の霊殿も建てられています。

 交易が盛んな土地と物静かな霊験ある土地、二つが混在した独特の空気のある場所です。

 生息原生生物で有名なものはグリフォンとその亜種です。山で犇めいているところを家畜化したものが寒さに弱い騎竜の代わりに使われています。


 最後に南部。

 作中に出たアルバニア湖――上級魔獣を生み出した湖はここにあります。

 南部は北方でも暖かい地域で、麦の栽培や一部、トウモロコシ畑もあります。

 森が深く、農地以外の面積はほぼ森で、住居も森の中です。

 幻想的なヒカリキノコが街灯のような働きをしており、夜になればフードをかぶせて灯りを消します。

 光る胞子が舞い、四角いかぼちゃが自生し、苔の生えた大きな陸亀などが闊歩する、不思議空間です。

 一方、人食い植物やモンジャラみたいな蠢く触手、毒性の強い沼などの危険地域もあり、その奥地に遺跡が眠ることもあり冒険者たちが活発な地域でもあります。

 三つの地方で一番、住人数が多く、国境沿いでは人種の生活場もあります。

 食べ物も一番、リスリア王国や帝国に近しく、南西部では海の幸が取れ、法国の豊富な食料庫と言ったところでしょう。

 モモ・クローミはここにリュージィと一緒に住んでいます。

 他国が法国と聞いてまずイメージする場所はこの南部だったりします。


◆法国 その3 ~神務代行~

 女神パルミアより使命を託された七つの氏族が中心となって生まれた法国という国は、実のところ欠陥だらけの寄せ集めでした。

 各氏族のそれぞれが己の氏族の利益を考え、神命を引っ張っていこうと考えたのです。

 時代によっては各氏族同士の紛争すらありました。

 この状況に憂いを感じたとあるエルフの少女はある日、女神の声を聞きました。

 『北西の海にトリシュラという古い龍が訪れる』と。

 その言葉が各氏族の戦争を止めるきっかけとなるだろうと『思い込んだ』彼女は、すぐさま北西の海へと向かいました。母がくれた秘薬と、ものすごい顔で脱力していた幼馴染と共に。

 様々な困難を幼馴染のエルフと共に突破し、やがて海で傷ついたトリシュラと出会います。

 エルフの秘薬を使い、トリシュラを助けると彼女はトリシュラに聞きました。

 どうすれば各氏族の戦争を止められるのか。

 その言葉を聞いたトリシュラはか『神としての威光を思い出させるべきだ』と助言し、その威光を伝えるための力を与えると言い、彼女に竜の血を飲むように勧めた。

 この時に竜の血を取りこんだ少女はエルフィンドラッヘンという特殊な種族へと変化し、幼馴染のエルフはあまりのことに泡をふいて倒れました。

 彼女は気を取り戻した幼馴染と共に各氏族を周り、パルミアの言葉の真意と現状への叱責を繰り返しました。

 その言葉は竜の血によって『想いを伝える力』となって、各氏族の心に届き、いつしか彼女は各氏族に祭り上げられる存在になりました。とうとう幼馴染は首を振って、力なく笑っていました。

 彼女は初代神務代行――法王となり、その輝かしき日にトリシュラは彼女のために末代まで国を守護することを約束し、海に帰って行きました。

 彼女は竜の血を授けてくれたトリシュラとここまで導いてくれた女神の言葉を敬愛し、そして、自らの血を末代まで伝えるために幼馴染と結婚しました。

 この時の幼馴染は呆然とした顔だったという。

 各して、初代神務代行と振り回され続けた幼馴染の子供たちは脈々と血を残し、今のアルファスリンが最新の血筋となります。

 しかし、初代の持つ神の声を聞く力や伝心の力は今や薄れ、辛うじてアルファスリンが女神から『接触の悪いラジオみたいな声』を聞くだけにとどまっています。




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