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◆リングラ世界 その1

 天上大陸を含む7大陸で構成された惑星で地球世界と同じく名前が無い。惑星内包型世界ではよくあること。

 天上大陸はどの地域からも確認される特殊な地形で、そこに住まう人々は皆、天上大陸が自分の住んでいる近くにあると思っている。

 本作、リングラ世界でリスリアがある場所は地球でいうところのヨーロッパよりも南方に近く、気候自体は安定している。

 ただ海流の影響で流氷が北から流れてくるため、煽りを受けてユーグニスタニア大陸北方は雪がふる。

 逆に南方は温暖海流に挟まれているせいか、多雨な気候だったりする。


 ユーグニスタニア大陸は大陸の中にある大陸という形で、いわば巨大な島。


 海域を挟んだ向こう側でも国があり、そのことをユーグニスタニア大陸の住人はよく知っている。

 当然、海向こうからの侵略行為もあり、過去何度か海向こうの国との戦争もあり、それがきっかけで現在の三国に割れた状態にもつれ込んだ。


 海向こうの国の現王は友好派らしく、交易も盛んに行われている。


◆魔獣 その1

 世界各地に存在する侵食生命体。

 無色の源素が取り込んだ生物を雛形に、周囲の源素を喰って成長していく。

 際限なく成長していく上に、魔獣を倒しても無色の源素は居残るので、そこからまた新しい魔獣が生まれる。

 この無限ループを止めるために、各地の教会や国が無色の源素を減衰させる『六色結晶』を使って無色の源素の限りない増加を防いでいる。


 基本となる六色の源素を混合したものならば、どんなものでも無色の源素の増加は止められる。

 例外は黒の源素の対消滅くらい。


 また例外の例外にヨシュアンの使う『青の源素の超加速術式』がある。

 もっともヨシュアンの超加速源素発射式は、少量の無色の源素しか消せず、黒の術式にしても扱う者が貴重なため、対無色の源素は依然、『六色結晶』か六人の術式師による合成術式が基本。


 『六色結晶』のない土地や『六色結晶』が生まれる以前は、付近に住む術式師が死んだ魔獣の居た土地に赴き、内源素を爆発させて浄化していた。

 内源素を使う理由が、もっとも六色が混ざり合った生物が人間だけだったから。

 もちろん、そんなことをすれば術式師は死ぬ。

 現代のように体系化されている術式師はともかくとして、古の術式師はすぐ死んでしまうのですぐに弟子を取り、多く育てる傾向にあった。

 この文化が『術式師は弟子を取る』という今日の認識にまでつながっている。


◆術式の種類 その1

 大陸ごとで術式の形式とはかなり異なる。

 ヨシュアンたちが使うカルナガラン方式はユーグニスタニアでも三種存在し、海向こうの術式は五種も存在している。

 同じカルナガラン方式ならば、なんとなく理解できるし互換性もあるのだが、サートール方式のようにカルナガラン方式から進化した形式は、一部を除いて互換性がない。

 合成術式は基本、カルナガラン方式ならカルナガラン方式で、サートール方式ならサートール方式で組み合わされる。


 しかし、これら以外の形式で編まれた術陣はヨシュアンでも理解できないことが多い。


 基本となる骨子が完全に違うと、一から術式を理解しなおすハメになる。

 なので海向こうでは敵方の術陣を読み解く術解式者なんてものまで居てしまう始末。

 そのせいか、この世界ではワールドウォーが起こりにくい反面、一度勃発したら、何かが極まるまで止まらない危険性を孕んでいる。

 代わりに惑星規模での統一国家が生まれる可能性は地球よりも大きい。


 カルナガラン方式の他の形式としては、古の術式に【神話級】があり、これはもはや人が理解できないようにできている。

 元々、人間のために作られたものではない、という理由もあるが人間が使えないというわけでもない。

 ただキャパシティの問題もあるため、【神話級】を劣化させた術式フロウ・プリムといった現代まで残る【神話級】もある。


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◆【源理世界】 その1


 現実の世界――現理世界と重ね合わさるように存在する源素で構成される世界。

 強い感情、心の力、はたまた物理現象なんかに影響され、その姿を逐一変えていく摩訶不思議世界です。

 実際に見れる者の感性からすると、色が変化し大まかな形すら変化し、空中に源素の塊がフワフワと浮いたヘンテコな世界です。


 特殊な術式を肉体、特に視力に関する眼に刻むことでのみ、その世界を観測できます。


 観測された世界は色素によって支配された世界です。


 構成されている主要物質は赤、青、黄、緑、黒、白、無の七色の源素であり、状態によってくすんで見えたり、明るく見えたりする。

 現実と同じくして、ある一定の法則で【源理世界】は動き、【源理世界】が変われば【現理世界】も変化し、【現理世界】が動けば【源理世界】も動きます。

 

 表裏一体の二つの世界が重なりあっているのが、この世界の特徴です。


 多くは謎に包まれており、『眼』の術式を使わないと観測できないという性質上、全てを知ることが難しいのもあります。

 将来的には観測装置によって、誰でも【源理世界】を観測することができるようになりますが、それは原始的なモノでもこの時代から更に進んだ700年後くらいです。


 作中での【源理世界】は多少、クオリア的な部分があるので、どうにもハッキリしないが確かにあり、神の作った世界の一部として受け入れられているようです。

 そのせいか一般には浸透せず、術式師の界隈でのみ使われる用語の一つでもあります。



◆術式の種類 その2


 術式とは等級によって強さと規模が大きく変わります。


 大まかに【下級】【上級】【戦術級】【戦略級】【神話級】の五種でわけられています。

 なおこれらは作中で語られる予定でしたがカットしました。いつか出す予定ですが、蛇足的な流れになることは間違いないでしょう。


 簡単にそれぞれを説明しましょう。


【下級】=【初級】とも言われるほど誰でも使えるもので、法術院の定めるところでは1~2種の源素、おおよそ1~10人までの少数単位に効果を及ぼすものとされる。一般人が想像する術式師が使える規模もこれ。あたっても怪我をしたり、打ちどころが悪いと死ぬ。


【上級】=軍や騎士が使うとされる術式のレベル。1~4種以内の源素を使用し

、おおよそ10~50人ほどに影響を与える術式。また、ここから威力も考慮に加えられアダマンタイトを破壊するくらいの威力ならば効果範囲がごく少数でも【上級】扱いされる。人が死ぬレベル。殺傷力は高め。


【戦術級】=50~数百人を対象とし、源素の種類も全部解禁される。これが扱われるレベルは軍事でも機密とされ、冒険者などの術式師や流れの術式師だと軍に入るか軍に入ったことがある者に特別な師事を仰がなければ構築すら不可能。世間では恐怖されるレベル。流れの【戦術級】なんてものが居たら、即座に騎士に通報されてしまうくらい。当然、殺傷範囲は高く、ヨシュアン先生でも防御結界なしだと死ぬ。


【戦略級】=【戦術級】を越えた殺傷力と制圧力、防御すらままならない天災レベルの術式のこと。【戦略級】の術式はその性質上、【戦略級】の術式でなければ相殺できない。人間性能の限界値まで高めたら使えるようになる。なので使用者は基本、性格的にろくでもない部分がある。ヨシュアン先生含めて。


【神話級】=時空間やら次元やら何やらを弄り、人の精神や大陸一個を飲み込んだりする術式。もう人が使えるものではない。とりあえず、これを使えるのは古代から残された一部の術式装置か、人間以上に【源理世界】に影響を与えられる人外に限られる。


 番外として【治療】術式があり、どの等級にも属さない。


 基本、術式は人の怪我を治すことはできない。

 人体構造を完全に理解し、肉体構成物に干渉できればその限りではない。

 しかし、その技術が確立するのはこの世界時間から数千年後のお話です。



◆神々について その1


 ユーグニスタニア大陸で信仰される神々について。

 リスリア王国では太陽と北風の神ヒュティパ、山と力の神ルーカン、雪と森の女神パルミアといったメジャーな神様です。旅神スィ・ムーランはマイナーな神様の部類です。

 神としての位は、ヒュティパ≧パルミア>ルーカン>>>>>>>>>>スィ・ムーラン。


 リスリア王国の国教はヒュティパ。

 太陽神である以上に繁栄や豊穣の女神の夫である面から、国教にしやすかったとされる。

 帝国の国教はルーカン。

 ヒュティパとルーカンは親友なので、実のところ王国と帝国は宗教面では対立しないのである。

 法国の国教はパルミア。

 包容と寛容の神であり、同時に厳粛な規律の神でもある。ヒュティパとは何度も喧嘩する仲であり、比較的に宗教面で対立しやすい。


 そして冒険者たちに大人気の旅神スィ・ムーラン。

 旅の安全くらいの加護しかないが、冒険者にとっては何よりもかけがえのない加護でもある。

 特定の宗教や神に肩入れしていないのなら、大抵、武器防具の模様にスィ・ムーランの印が入れられる。

 あまりに普及しすぎて、印がデザインの一部だと思ってしまっているなどの理由から、そのことを知らない人も多い。


 他にも多種な神や特定の種族のみが信望する神がいたりするが、それは次回の実績解除で明かされる予定。、


 これら国に関わる神を国教大三神と呼ぶ。


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◆リングラ世界 その2

 ときおり天上大陸から飛来物がある。

 これは天上大陸産の物質で、地上には存在しない物体で構成されており、様々なものが飛来してくるが大体が隕鉄と呼ばれる金属である。

 この隕鉄は術式と非常に親和性があり、親和性の理由は隕鉄内部の源素にある。

 極めて安定した全属性が隕鉄の中で調和しており、術式具にすれば初級が中級レベル近くまでの性能を発揮する。

 製作者の腕次第では【神話級】にたどり着くものもある。


 第一線で活躍している冒険者の中には、隕鉄で作られた武器や防具を持っている者もいるがかなり少数である。


 ここでは【神話級】レベルの隕鉄製刻術剣の代表的な所有者を並べます。

 以下の三名です。


 法国出身、二丁重剣【泡凪あわなぎ】【泡沫うたかた】を所持する冒険者リジル・ファフナー。二つで一つの剣です。

 帝国出身、銀閃と謳われる女性騎士オルナ・オル・オルクリストが持つ騎士剣【アルブリヒテン】。術式とか斬ります。

 王国出身、【凍てつく黒星】ジグマルド・ヴォーダンが賜った王国最古の聖剣【樫の乙女】。謎の多様性を秘めています。


 刀身そのものが隕鉄であり、刻術武器として作られているのはこの三つのみ。

 少量を使用して、作られている杖や剣も存在するがそのいずれも高い位の貴族の持つ儀式剣や高実力者が持つ短剣がほとんど。

 実戦的に使われているものもあるが、やはり少数。


 作中でも三本しかない、と語られているが、このレベルの三本が有名&強力すぎるのと生粋の隕鉄製がこの三つしかないだけ。

 元々、数も少ない上に合金製ばかりなので、隕鉄製の剣と言えばこの三つを指す。


 そして、ヨシュアン・グラムが自宅で厳重に保管している第四の隕鉄製の刻術剣【愚剣】はこのどれにも当てはまらない隕鉄製の武器である。



◆原生生物 その1 ~伝説編~

 いわゆるファンタジー生き物。可愛いものからファンタジーちっくなヤバイものまで多種多様の生活を営んでいます。

 原生生物にとっても魔獣は驚異であり、明確にわけられていますが世界の人々から見れば凶悪な原生生物は魔獣よりも厄介なパターンもあります。


 俗に原生生物は強さや希少さで区別されていますが、生物学的にはそれぞれの区分が作られています。

 ここでは区分の中でも代表的な竜種について語ります。


 竜種。

 一番有名なのはランスバール王が探そうとしていたドラゴンです。

 これはおとぎ話の存在で、【神話級】原生生物と呼ばれる超常の生き物です。

 ユーグニスタニアの伝承では、もっとも強いとされるドラゴンは三匹います。


 一匹は空を泳ぐ鯨型のドラゴン。旅神スィ・ムーランが出会った【稲妻と海の隠者】ハミンギアが乗るとされるドラゴンです。名前はプームプーム。

 非常に穏やかな性格ではありますが、背に乗る者を生涯に一人と定めているため、ハミンギア以外の誰かを乗せて泳ぐことはありません。

 彼は過去未来を通し、一環して時間の海を泳いでいるため、常人はおろか【タクティクス・ブロンド】ですら知覚できません。

 万が一にも出会うことがあれば、それは幸運なことです。

 またそんなプームプームでも、天上大陸には近寄れず、忌避にも近い感情を持っているようです。


 もう一匹は海を往く蛇型のドラゴン。名前はトリシュラ。

 大海の王者と呼ばれ、水流を操り、咆哮は千里にわたって響くという。咆哮【大】なので高級耳栓が必要ですね。水耐性30か火事場2でもあれば余裕で倒せるでしょう。プロハンなら、という前提条件がありますが。

 なお、この世界に生きる人々には無理なので悪しからず。

 三種の竜の中でもっとも小さな個体ではありますが、それでも人が作る大型船舶の十倍近い体長を誇ります。

 またもっとも目撃情報の多いドラゴンで、ランスバール王が狙っているドラゴン候補です。

 法国周りの海でよく目撃され、初代法王と契約を交わし、法国周辺の海を守っていると言われています。

 このせいで帝国は海からの進撃が難しく、困っています。


 そして最期の一匹が、悪竜リンドブルムです。

 猛毒を持つ陸竜で、しかもトリシュラよりも大きい、となればもはや山レベルの大きさでしょう。

 かつて海向こうの大陸からユーグニスタニア大陸に渡ってきた陸竜で、翼を持ちません。海は海底を渡ってきました。

 途中でトリシュラと争ったとされる場所があり、リンドブルムの悪疫により、その海域は死の海と化しています。

 別名は【大地喰い】。

 スィ・ムーランの関わる伝承では無数の鎖に繋いだ羊を千匹用意し、魚のように釣り、縛り上げたとされています。

 この時、鎖を引っ張ったのがマッチョ神ルーカンです。

 そして聖剣【樫の乙女】で悪疫と猛毒を切り開き、トドメに使われた剣こそが騎士剣【アルブリヒテン】です。

 三匹のドラゴンの内、唯一、討伐されたドラゴンです。


 この悪竜リンドブルムを倒した英雄譚が多く人の間に知られ、ルーカンの信仰譚の一つに挙げられています。

 帝国では特にこのお話に習って、騎士が山の中型竜種を倒しに行く一種の通過儀礼があったりしますが、昨今の情勢でその慣習を行う人も少なく、山に住まう竜種も数が少なくなってきているためにもはや偉人伝で語られる程度です。

 なお、人々の知られる話で、近年、中型竜種を一人で倒した男は帝国の獅子将軍、故エウオロギスです。


 ちなみに余談ではありますがヨシュアン・グラムも中型竜種を滅ぼしています。

 理由は【愚剣】の試し切りで、出会ったのは偶然。しかも本人は相手を中型竜種と認識していません。

 うねうねと動く紐状で体を組み替える存在を竜と認識できた人がいるのなら、その人は博識な上に原生生物の博士号を取れるでしょう。



◆原生生物 その2 ~日常編~

 街中で原生生物と出会う機会はなかなかありませんが、旅人や冒険者、行商人などの街から街、村から村へと移動する人々にとっては身近な驚異です。

 時に農害などの被害を招く原生生物もいます。

 多くの原生生物は人間に出会うと逃げてしまいますが、人間を襲わないわけでもありません。

 作中に登場した大型蜘蛛のコルヌ・シュピーネや大型もぐらのシューペ・マウラフは代表的な農害を起こす原生生物です。

 旅人や冒険者、家畜を襲う代表的な原生生物は群れを作る狼型の原生生物ヴォルフです。

 他にも一本角のすごい馬カルニア・ホーン。

 火口部周辺で見かける猪ドドンガ・ボア。

 作中以外の原生生物は多く、魔獣よりも数が多いのが特徴です。

 ポルルン・ポッカのように未だに生態系がわからない生物も多く、日々、原生生物の研究は続いています。

 

 原生生物を討伐して手に入れる体の部位は時に薬用に使われたり、生活の必需品だったり、冒険者たちの武器防具の素材になったりします。

 冒険者ならず人々の生活に密接に絡んでいるのが原生生物たちです。


 街に住む人々がもっともよく見る原生生物は竜脚類と呼ばれる種類でしょう。

 基本的に穏やかな性質を持つものが多く、爬虫類でありながら哺乳類のように恒温生物であることが竜脚類の特徴です。


 ドラゴンたち竜種とは明確に区別されており、概ね知能が低く、家畜に向いた生物です。

 彼らは人の食料や革や鱗を使った工業製品にもなりますが、もっともよく使われるのは移動手段でしょう。


 四足の馬に似た竜は騎竜と呼ばれ、草食で速度とスタミナに優れた竜脚類です。

 同じ四足でトリケラトプスのような陸竜は馬車を動かすのに使われます。

 他にも伝令用に小型の飛竜が扱われたり、土木建築での作業にも彼らは活躍しています。


 かなりの数の竜脚類が人々の生活に欠かせませんが、馬や牛といった我々に馴染み深い原生生物も人々の間に浸透しており、馬や牛との違いはあまりないと言えるでしょう。

 ただ、馬に比べると騎竜のほうが耐久力があったり、牛車よりも悪臭が少ない、という理由から高額所得者や貴族などは竜脚類を使う傾向があるようです。

 味はもちろん、牛のほうが美味しいです。生育は馬のほうが簡単とされています。

 ときおり、平原では人の膝ほどしかない小さな竜脚類に襲われたりして、竜脚類による被害が完全にないわけでもありません。


 とりあえず人と竜脚類は共存関係にあることは間違いないのです。



◆原生生物 その3 ~非日常編~

 原生生物は良くも悪くも生態系の上に成り立った生物です。

 ですが、時に【源理世界】の影響を色濃く受け継いだ奇妙な原生生物がいます。


 作中で登場した大狼モフモフはその良い例でしょう。


 正式な名前はなく、伝承から【森と静寂に暮らすもの】、ヴァルトリーベンなどと呼ばれています。

 ドラゴンと同じ【神話級】原生生物です。今のところモフモフしか作中に登場していません。


 彼らの一族は人か人以上の知能を持ち、その血の流れに走る術式が不老と無限成長を可能にした矛盾する生体を両立させています。

 また森の中でなら自由に瞬間移動でき、【神話級】術式を行使することもあります。

 もっとも不老と言っても死なないわけでもなく、彼らはある時期が来ると代替わりする子供のために自殺します。

 不老であることが不自然だとよく知っているからの生態でしょう。

 成狼になるまでの成長速度が非常に遅いために、モフモフほどの大きさになるのに2~300年前後かかり、モフモフは人で言うところの20歳前後にあたります。


 密かにオスでもメスでもない、両性具有だったりします。


 また源理世界の源素と体の内源素を入れ替えて、栄養を生み出すことができます。源素による栄養交換のほうがエネルギー効率が良いようです。

 なのでモフモフがご飯を食べることはあまりありませんが、食べないわけでもありません。

 あくまで嗜好品を嗜むくらいの気持ちで、原生生物を食べます。もちろん肉食です。


 また彼らは分体という分身を作り出すこともできます。

 

 彼らの血脈は遥か昔、伝承の時代までさかのぼり、旅神スィ・ムーランの最初の道連れとして選ばれます。

 しばしスィ・ムーランの想像図が描かれる時、足元に狼の姿があります。

 これがモフモフたちの先祖になります。

 スィ・ムーランにとっては最愛の友であり、旅を続ける上で欠かせない仲間でもあり、それはモフモフの先祖にとっても同じことだったようです。今でも口伝を通してモフモフたちにその旅路は語られています。

 そのためかモフモフにとって自身のパートナーとなる人を選出すること、あるいは共に過ごすことはとても名誉なことであり、誉れとされています。

 一方でパートナーに関係のない人間に対しては毅然とした態度を崩しません。己の格に見合った人間にしか助力しないなど、誇り高い面もあります。


 ただしネーミングセンス、お前だけは駄目だ。


 スィ・ムーランが最期の旅に出たとき、モフモフの先祖の姿がなかったため、彼と先祖の間に何があったのか、モフモフたちしか知りません。


 こうしたように、【神話級】原生生物は神代に由来する生き物ばかりであり、遭遇そのものがもはや運命に近い物語を有しています。



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◆術式の種類‐術韻‐ その3


 術式は基本、方向性を定める陣と起動に必要な源素があれば動くように作られています。

 最初期の術式が【神話級】原生生物や【神話級】存在たちから生まれたとすれば、その術式を劣化、軽量化させ、人でも使えるようにしてきたのは古代から連綿と積み重ねてきた結果でもあります。


 その軽量化のプロセスの一つに術韻と呼ばれる『魔法のことば』があります。


 ある種の発音、言葉の並びが【源理世界】において源素の揺らぎとなり、陣に構築される現象を術韻と呼びます。

 待機状態にある術式を【現理世界】に現出させる発動キーに似た陣を構築し、構築している陣と発動陣の音韻全てがそろって術式が『発動』される。

 なのでエス・プリムと叫んでも意味はなく、陣だけあっても意味がない。

 両方が連動して始めて術式と呼ばれる。


 基本六種の音韻はこちら。


 リューム:空または緑に対応。

 エス:火または赤に対応。

 リオ:水または青に対応。

 ウル:雷または黄に対応。

 リム:光または白に対応。

 ルガ:闇または黒に対応。


 これらはそれぞれの属性に大きく対応できる大術韻である。

 これらの六種は【神話級】が残されたとされる口伝や石碑から発見されたもので、これらを基本に現在の様々な術韻が発見、作られている。


 陣が大きく、複数を用意するごとに術韻は伸びるので、三唱節以上の術韻で構成されているとそれだけ複雑で難しく、扱い難い術式である。

 つまり、術韻が長いほど術式は難しく、陣の維持は途方もなく細かい制御ができるようになります。


 なお陣の数と術韻の数は統合記号でなく、3:1くらいの割合。三つの陣に一つの術韻というわけです。

 初級のエス・プリムは6個以下の陣で構成されていると見ていいというわけです。

 でも三つ全てが術韻に対応していない陣だと発動しません。

 他にも音韻の並びによって特殊な変形が起きたりします。

 わりと知識が試される部分ですが、作中においては説明することなく、なんとなくで使われています。


 ヨシュアンが作中に使用した『眼』を共有する術式は六唱節。6つの術韻で構成されており、陣の数はそれ最大18個の陣を個人が制御していたことになります。

 これは【戦術級】くらいの難しさがあり、エリエスが驚いたのはそのため。

 ぽっと出てきた先生がいきなり【戦術級】を使っているので驚くのは当然です。

 普通の人間が使える術韻の最大数は六つまでなので、いきなりキャパシティぎりぎりの術式を使ったわけですね。


 さらに細かいところでは術式を発動させる直接的な言葉を術韻、術韻単体の音を表現するときは音韻、と使い分けされていますが細かすぎて作者にも忘れられています。


 今なお研究所で新しい術韻の発見、音韻の影響による発動陣の影響などが確かめられています。


 最後に【戦略級】術式。

 ベルゼルガ・リオフラムはベルゼとゼルガとルガを掛け合わせた三重音韻、リオとフラムを掛け合わせた二重音韻で、更に二つの発動陣が無詠唱で発動できるようになっており、合計七唱節。

 正式な術韻にはベルゼルガ・アンフラテス・リオフラムです。

 でも長いので都合上、アンフラテスは圧縮されました。この二つの圧縮が可能なのがサートール方式の最大の利点でしょう。

 また術式具を用いて、更に一つほど術韻を圧縮できたりします。


◆術式の種類‐開発から研究まで‐ その4

 術式の研究過程は神代まで遡ります。

 今では神性と呼ばれる生物たちが使う【神話級】術式。稀に現れる無意識で術式を使う人々。

 それまでは不思議な力を使う人を神性に準ずる者か、悪神の類として扱っていたが、いつしかそれらを再現しようとする試みが始まりました。

 その多くは『稲妻と海の隠者』ハミンギアや黄金の館ニサカントリに住まう『賢き岩の王』から薫陶を受けた人々からだった。

 原初の旅人スィ・ムーランもまた人々に考えを促していきました。

 やがて、石碑に刻まれた術韻を見つけた人々や神性への信仰という形で伝えられた口伝。

 世界各地に刻まれていた不思議な模様。空を往く【空魚】の模様から陣を知り、稀に術式を使う人が伝えてきた経験を元に最初の術式フロウ・プリムが生まれました。


 そうしてできた術式が秘された力として隠匿され、継承を続けられる度に時々、不思議な世界を見る人が生まれました。


 【源理世界】を神が見ている世界として畏怖していた人々は時に神の世界を見る者を崇め、時には弾圧しながら、いつしか【源理世界】を見る力が継承され一族へと固まっていきました。

 最初の幻想人種の派生の始まりです。


 緑の世界を見る者は緑の濃い森へ。

 黄色の世界を見る者は深い地下へ。

 赤い世界を見る者は火口の近くへ。

 青の世界を見る者は浜辺、そして海へ。

 白の世界や黒の世界を見る者は白や黒が自然噴出する聖地へと住まいました。


 他にも神性と交わった者がヴェーア種。

 最初から『賢しき岩の王』から薫陶を受け続けたウサギは二足歩行になり、マグル族へと変化していきました。


 時代が進み続け、様々な人種との交流や戦争から術式は進化していき、やがて術式を研究する機関へと成長していきます。

 この頃にはもう国というものがあり、人々は王に傅きながら生きていました。

 神性は人のこない場所へと行き、人と神の距離は遠ざかり、そして、【神話級】原生生物がときおり人の前に現れては消えるを繰り返しました。

 森の狼モフモフもまた、ときおり人に姿を見せています。

 

 やがて稀代の天才ウーヴァーン・カルナガランが登場したことによって術式は個人の技量から学問の一つ、戦争の武器としての形を取ります。


 カルナガランがしたことは術式の知識を集め、それを整頓し、整理し、分野として確立したことです。

 哲学者でもあったカルナガランは術式の法則を四構成式に表し、その形を美術に表しました。

 いわゆる作中でも登場した術式を絵に見立てる考え方です。

 そして、誰でも学べば術式を習得できるという敷居の低さを周囲に喧伝しました。


 このことにより術式は様々な人へと知識の形で広まり、広まった技術は様々な場所で開発され、研究され、進化を遂げていきます。

 そして晩年のカルナガランはそれぞれの進化した術式をまたまとめ、カルナガラン方式を誕生させました。


 そこから現在まで、作中まではカルナガラン方式を元に各々の国で研究が続けられていますが、その研究は今も昔も変わらず、新しい構成をした陣、陣に対応した術韻、そして、カルナガランが示した四構成式を更に圧縮できないか、というものです。

 チェクト・レノ方式がもっともそこから進んだ術式の方式と言えるでしょう。


 ですが、未だ概念的に術式は進歩を見せていません。


 唯一、概念的な進歩を遂げた術式があり、それはランスバール革命で花開いた技術。

 最新の技術として今代のタクティクス・ブロンドが保有しているもの。


 それがサートール方式と、それを支える連結式です。


◆術式具‐歴史‐ その1

 世界各地に刻まれた旅神スィ・ムーランの石碑。

 石碑には不思議な紋様がありました。なぜなのか、どうしてなのか、考えることもせず、ただの模様と扱われていたその形が術陣だと気づいたのは近代術式師たちの時代に遡ります。


 カルナガラン方式が広まり、国が術式を戦争で使い始めた頃から術式師はある一定の数を保ち続けます。

 そのせいか各地で術式の研究が続き、やがて誰かが石碑を見て「術陣に似てないか?」ということに気づき、真面目に考察し始めました。

 何故、石に刻んだのか。

 何を伝えようとしたか。

 それらは理解できないまま、秘術の類ではないかと術式にし、実際、起動するものもありました。

 しかし偶然、というよりも石碑の保存のためと青銅に文字と紋様を刻んだところ、青銅板は不思議な火を灯すようになりました。


 当然、青銅板に触れていた人は内源素を吸われて昏倒しましたが、まぁ余談でしょう。


 この不思議な現象に術式師たちは恐怖を覚えながら研究を始めました。

 恐ろしいなりに夢想家たちは戦術に使える可能性を見出したからです。頑張り屋ですね。


 青銅や鉄、主に金属に紋様を刻めば何かしらの効果がある。

 しかし、起動させるためには人が昏倒しなければならず、わからないなりに危険な技術だったのです。年間の昏倒者が多かったでしょう、きっと。


 カルナガラン方式は誰でも術式を使える可能性をときました。

 しかし、欠点もありました。


 習得には広い知識と術式師たちの薫陶を授かる必要があり、そう多くない術式師が弟子を取り、一人前になるまでの時間は長く、排出される術式師の数はそう多くはありませんでした。

 だからこそ術式具の簡単に術式が使える方法は魅力に映ったのです。でも昏倒します。


 やがて術式との相違、そして類似に気づきます。

 術韻のような起動式を組み込み、増幅陣を組み込み、AND回路を組み込み、クロック回路とか色々試してみて、軽量化、効率化、それぞれがちゃんと組み合わさるまで300年以上の月日が流れていました。

 その結果にできたのが馬車くらいの巨大な術式ランプです。


 そこからはさらに効率化が進み、今では暮らしの一部にまで術式ランプこと術式具は進化していきました。



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◆文化 -アンクレット-


ユーグニスタニア大陸では古くから約束されたくながいの証として、アンクレットをつける習わしがありました。


信心深い若者が法の神に信仰を捧げたときに、約定の一つとしてアンクレットと桂の冠、神側は約定の証としてブレスレットを与えたことが婚約の証の始まりです。


男性から女性にアンクレットを自らの手でつけ、女性は男性にブレスレットをつけることで婚約の儀式となります。

もっとも古くからある儀式なので簡略された部分や、忘れられている部分も多く、『昨今では形骸化している面』もあります。


地方によって重みや意味がかわり、夫が戦場に出かけるときに妻の安全を祈るためアンクレットを渡すところもあります。逆に妻が夫の安全を祈るためにブレスレットを渡すこともあります。


とにかく地方で重みが違うので必ずしも婚約だけの意味を持つモノではありませんが、若い男女が同じ型のブレスレットとアンクレットを持っているということは婚約者同士に見られてもおかしい話ではありません。


ちなみに王都では恋人同士が気楽につけることもあります。

一方、詩吟関係者の多い西岸部はやけにコレを重要視する傾向があります。



◆文化 -聖水-


魔獣の放つ無色の源素を沈静化、あるいは減少させるための道具です。

無色の源素を消すためには術式師によるヘキサ系統の六色混合術式か【六色結晶】による浄化が必要になります。

しかし、前者は人数を集めるのが大変です。

後者はそもそも高価であるために中々、気軽に使いづらい傾向にあります。


そこで教会が無色の源素の対抗手段の一つとして安価で作ったのが聖水です。


【六色結晶】を漬けた水は程よい源素バランスを保つとさえ、これを魔獣にふりかけると弱体化させることも可能です。


魔獣に遭遇しやすい冒険者が買えるようにと安価にしたりしていますが原価を考えるとかなりのぼったくりです。

しかし、買わないわけにもいかないため冒険者は基本、教会にいい顔をしません。


各神の教会である程度、製法を共有しているのとお互い値段を合わせているのでますます値下がりなどの見込みは薄いでしょう。


教会の財源の一つだから安易に値段を下げられないというのはわかりますが……、もう少し働けと言いたいですね。



◆文化 -入浴場1-

大陸でお風呂文化が花開いたのはおおよそ100年くらい前です。

当時もお湯を用意するのは面倒で、そもそもまとまった水を集めるのも面倒なことでした。

苦労を考えれば貴族や王族しか入れないイメージはそのままで、まさに貴族の娯楽でした。

しかし、お風呂の神様とも言える建築士によって、この文化は民衆に浸透します。

帝国ではサウナの基礎理論と疲労回復効果が、リスリアでは上下水路と大衆浴槽が誕生しました。

法国では温泉などの秘湯の廃湯関係が向上され、まさに時代は大風呂時代! 探せ、この世のどこかに置いてきたー。

建築士はより効率的に水を使う手段を世界に広げたのです。


その結果、現在の大衆浴槽文化や帝国のサウナ、温泉ブームなども起こったり、起こらなかったり。


そして個人でお風呂を持つ貴族はステータスを奪われた形になります。


ともかく建築士は風呂に情熱を注いだわけですが、結果、逆恨みの形で貴族に捕まり、処刑されました。

しかし、その貴族もまた時の王によって建築士を殺したことを責め、お家没収となりました。


今でも建築士の使用した測定器がどこかに眠っているという話ですが定かではありません。


ところでこの建築士、世界各国を回っていたようですが不思議と人外に愛されていたようですね。

死ぬときに法国に居たら聖人認定されていたかもしれません。

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