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偉人伝※お気に入り件数公開設定

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お気に入り件数2500件 突破公開設定

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◆人物-ジェシリック・グラガン-

近年の名審判と謳われ、今でもリスリアの武術大会の審判役をしている貴族男性。

また百戦以上の野良試合の審判を務めたとしても有名。

彼は子供の頃より公平な人物であった。

兄弟の多かったグラガン家で育ち、貴族に珍しく兄弟喧嘩の耐えない家庭だったらしく、ちょうど真ん中あたりに居た彼に兄弟はよく『誰の味方をするのか』と詰め寄っていた。

決まって彼は兄弟にこう言っていた。

『私は条件の味方である』と。

その言葉通り、兄が卑怯な真似で弟を貶めた時は兄を批判し、弟が立場を利用した卑劣な甘えを見せた時は糾弾した。

その結果、『風見鶏みたいなヤツだ』と悪口を言われ、兄弟の誰も彼の味方にしなかった。

父親だけは嫌われようとも甘えずに公平な態度を貫く彼を次期領主にしようとまで考えたが、当の本人は領主になることを拒否する。その理由は兄。

兄は横柄な男ではあったが不思議と人を見る目があり、また商才に恵まれていたところを見抜き、『ただ条件に従う私よりも兄の方が人というものを知っており、領主に相応しい』と言い切った。

悪く言えば頑固な彼ではあるが、しかし、身内が内紛で戦場に出る時は『みっともなくても、ずるくても生きて帰ってきて欲しい』と親愛を語っている。

彼を名審判として語るエピソードに先代国王の時代に行われた武術大会の一試合がある。

剣士同士の激しい打ち合いの後に両者が共倒れとなった時に、誰もが引き分けと思い、両者の健闘を称えた時に彼だけは片方を勝者とし、宣言した。

非難轟々の中、王すらも彼の審判を不平と見たが彼は王の前でも毅然にこう言い放った。

『優劣を決めるのなら彼らが引き分けであったとしても両者の誇りに傷はつかないだろう。だが【敗北した選手】は最後の一合の最中に気を失い、その力を先に失った。その意思が先にくじけていた。それは敗北と言ってもいい』

彼のその思想に誰もが首を傾げたが、当の【敗北した選手】は納得し、彼の裁定が今後の彼の名誉を損なわないようにと王に陳情した。

これにより王とルーカンの名の下にジェシリックの思想でもあった『武は腕だけではなく精神性もまた重要である』は認められ、多くの名試合を審判として見守ることになる。

リーングラード本編においては老境に差し掛かり、もはや審判をやるだけの気力と体力もないが、今でも熱心な剣士ファンに愛され、一目を置かれている。


第四章にてヨシュアンがアレフレットの審判姿をそう例え、怒られました。


◆人物-ハイシーン・グライント-

初代リスリア王の時代、旗上げした商人。

卓越した商才と人徳を持ち、王とすらよくよく個人的に会話する仲だった。

そんな偉大な商人の彼は、しかし、周囲が思うようなキビキビした人物ではなかった。

少年時代はよくボケっと空を見上げて、雲ばかり見ていた子供だった。

何を考えているかわからないとし、両親ですら彼を変わった子だと思いこんでいた。

彼の将来の相棒ともなる青年に『どうして空ばかり見ているのか』と訪ねられた時、彼はこう語った。

『雲は雨を降らし、雨は草木を育て、育った薬草や果実は俺たちの腹に入る。そして、出た廃物は作物に利用され、小麦になる。小麦の藁はカゴになる。それは商人に売れるけれど、どれだけ考えても、どうやったら雨になるかわからない』と不可思議な答えを返したという。

『雨を作りたいんだよ』と付け加えて、彼は結局、黙った。

その頃から彼は商才の鱗片を垣間見せていたのだろう。

彼は行商人が持ってくる持ち物でいらないものをよくねだって、タダで手に入れられないか何度も聞いていた。

どうしても欲しいものでタダと行かないものは拾ってきた山菜や薬草、時には村の中でもいらないものを商人に代価として渡していた。

この時、不思議と行商人にとって、欲しいけれどちょうど切らしている物品であったり、なくてもいいがあったら便利という物品だったという。

いらないものをどうにかして必要な場所に持っていき、対価を求めるにしてもその人がいらないものをもらうことで好意すら得ていた。

この時の物々交換のほとんどは村の人々に利益をもたらし、緩やかに村に貢献し、しかし、あまりにも密やかな心配りだったせいで誰も気づいていなかった。

やがて転機が訪れる。

彼の行動を見たある商人が自分のところで働かないかと誘い、彼は一年だけその商会に身を置き、徐々に貯めた資金と人脈をもって、彼は一大企業を始める。

当時の人間はまだ考えもしなかった、運河の建築だった。

当時にも河を使った荷運びは存在したが、その多くは対岸への渡し舟やごく短い距離の運輸だけだった。

彼はいくつもの領地を経由する河川を流通に使う方法を生み出したのだ。

膨大な資金が必要な運河もハイシーンの手にかかると不思議と低コストで作られるようになった。

運河の建築方法もほとんど自然の河に手をつけない形で作られており、むしろもっとも資金をかけたのは積載量が多くてなおかつ沈まない船を作ることだった。

まさか領主たちも複数の領地を跨って運輸するなどと考えておらず、また彼の人柄をよく知る商売人のほとんどが彼を無害か好意的だと考えていた分だけ、彼の手元に財産が築かれていたのだった。

この運輸こそが後のハイシーン商会の原型とも言われ、多くの商人がハイシーン商会に集い、今の老舗商会を作り上げていったのだった。

なお彼の死因は未だに不明で、貴族の暗殺や圧力に屈して毒杯を煽ったとも言われているが真相は謎である。

今なおハイシーンは商人にとっては見習うべき存在で、いわば偉人に分類される商売の神様となっている。


第二章にてヨシュアンとロランの会話に登場。


◆人物-タイニー・エル・レジナント-

西岸部レジナント領より排出された五十年前の女傑。

彼女はとても多くの恋に生きた女性だった。

『明日、もし刺されるとしても私は男の人の腕の中で死にたい』とは彼女の弁。

本来なら家庭に入り、夫を支えるのが良妻としての努めであったが彼女に限っては悪妻と呼べただろう。

社交界デビューから始まり、多くの人々を蠱惑的な魅力で虜にし、見事、彼女を射止めた男は三十代の有力貴族だった。

だが、長男を身ごもってすぐ有力貴族は謎の死を遂げることになる。

一節では彼女が毒殺したものだとされているが定かではなく、証拠もあがっていない。

ただ彼女は夫に先立たれた不幸な女性と周囲に写っただろう。

これから彼女は男親のいない子供を抱えて生きていくのだから、そう周囲に思われ、多くの同情を得た。

しかし、彼女の考えはまた別だった。

長男が生まれたのなら別にいいだろうと周囲も思ったが、あろうことか彼女は長男に継承権を放棄させ、夫の叔父を誘惑し、継承を行わせた。

だんだん不穏な気配を漂わせる彼女だったが、周囲は夫がいなくなって足元が不確かになっているだけだろうと思っていた。

だからこそ、彼女は迅速に動いていた。

同情で引ける目くらましはほんの少しの時間だけだと理解していたのだ。

『お腹がすいたのならご飯を食べるわよね。つまり、私にとって男はそういうもの』とばかりにすぐに新しい結婚相手を見つけ、閨を共にしたという。

新しい夫は騎士だった。

そして、心の広い男で長男を抱えた彼女をも暖かく迎え入れたのだ。それが最大の誤ちとしらずに。

騎士はその仕事上、よく遠征に向かい、彼女を一人にした。

だが、彼女にとっては都合のいい状況でもあった。長男をメイドに任せ、自分は騎士の部下でもあった若い騎士を誘惑し、もてはやされていたのだ。

部下の騎士が恋に狂い、夫の騎士に勝負を挑み若い命が散った時にすら、彼女は『彼が私を熱烈に誘惑した』と証言している。事実はその逆だと知っているのは本人だけであった。

やがて、次男が生まれ、都合のいいことに夫の騎士は遠征中に帝国との戦いで死亡してしまう。

再び夫を失った彼女であったが、それは次の男を得るための契機でしかない。

同じような手口で男を篭絡し、三男を生んだ時にはもう周囲は彼女の行動に不審しか覚えていなかった。

三度の結婚を行い、無数の若い男を虜にした彼女。

死ぬ間際ですら彼女は夫に秘密の恋をしていて、そんな彼女の姿は五十代とは思えないほど若々しいものだったという。

まるで恋を利用して、若さを吸い取っているように周囲の男たちは皆、苦労と後悔で老けていったというのだから、あながち冗談でもなかったのかもしれない。

彼女の生んだ三人の男の子は皆、それぞれの領地や重要ポストについたがそんな母から育った子供たちがマトモに育つわけもなく、子供たちは皆、ヨシュアンとランスバールによって名目と不手際から処分されている。


第三章にてマッフルがクリスティーナの性格を見て、育てた母をそう例えて皮肉ったが、正直、侮蔑にしかなっていない。クリスティーナの母親はかなり優しいほうです。


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