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弁えすぎた令嬢  作者: ねこまんまときみどりのことり


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ピスタテルへの毒牙

 ある晴れた空の下で、キョロキョロと街を歩く少女がいた。


 如何にも王都に来たばかりの、旅行者か出稼ぎに来たように見える。


 世間知らずで、純粋で、悪意を知らなさそうな純朴さで、ピスタテルのストライクゾーンド直球。



「あぁ。俺と言う美しい花の元にまた、可愛い蜂鳥が舞い込んだ。愛でてあげなくてはいけないな。くふっ」


 その妖しく輝くビジョンブラッドの双眼。美しいプラチナバイオレットの髪が風に靡く。


 右口角だけをあげて微笑み、狙いを定めたその眼差しは真っ直ぐにその少女に向かって歩を進める。



 彼が捕らえたのは、街娘の姿をしたブルーベルだ。






◇◇◇

 チェロスト子爵家の爵位が国へ返還されたことで、ブルーベルは一度平民になった。

 ブルーベルは平民のままでワッサンモフ家の隠密になることを望んだが、タバサから「平民では入れない場所がある。お前は(タバサ)の義妹としてこき使ってやるから覚悟しな♪」と、ダンクワースの籍に入ることになったのだ。


 師匠である彼女(タバサ)と義姉妹になり、ブルーベルが嬉し泣きした。本当はあんな両親でも、離れて暮らすことで心細さが強かった。



「うわ~ん。ありがとうございます、師匠。いえ、これからはお姉様ですね。よろしくお願いします!」


「ああ、よろしくな。これでもう、サボれなくなったぞ。一緒にガンガン行くぞ!」


「はい……はい。ガンガン、ご指導下さい。うっ、くっ、ずびっ」


「何だよ、そんなに泣いて。ほらっ、ハンカチやるから、拭きな。ふっ、全く手間がかかる妹だぜ」


「うえーん、お姉様ぁ」



 嗚咽が止まらぬブルーベルを、強く抱きしめるタバサは優しく笑っていた。チェロスト子爵家の断罪後は慌ただしかったから、彼女(ブルーベル)はやっと力が抜けたのかもしれない。



 スライストとミカヌレは優しいけれど、さんざん迷惑をかけてきたブルーベルが、頼ってはいけないと思っていた。従妹であるコロネのこともそう。だから寂しさを人知れず堪えていたのだ。



 現在、戸籍上はダンクワース伯爵夫妻、パルダとルマンサーの養女となり、タバサは正式な義姉である。


 タバサの姉であるジャムレは、ワッサンモフ公爵家派閥のメレンゲ侯爵家に嫁いでいる。タバサとは、対等な立場で手紙をやりとりする仲だ。

 ブルーベルはジャムレとその夫のメレンゲ侯爵にも紹介され、良い関係を築いている。





◇◇◇

 遠くから護衛の隠密が付くブルーベルは、ピスタテルの目に止まる。


 公の場にはあまり出なくなった彼女(ブルーベル)のことを、ピスタテルは知らなかった。


 そしてブルーベルもあえて、詳しい身分を伝えない。


 桃色の髪に、新緑の瞳の美少女。

 タバサの化粧技術で大人っぽく変わったブルーベルは、15歳より上に見えている筈だ。




 ブルーベルに迫ったり、セクハラをすれば訴える準備が出来ていた。


 平民や下位貴族を下に見ているピスタテルは、ブルーベルのことを調べたりせず関わることだろう。


 たとえ面倒事があっても、後で揉み消せると傲慢に思いながら。








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