サラマンダーの疑問
ラディッシュやガンテツは、地の大精霊ノームの子孫である。
ただラディッシュは外見の影響にエルフの血が出ている為、身長も高く美しい。
ガンテツは人間との混血で精霊の要素が強く出ている為、成人になっても150cm程だった。もっと低い者も高い者もいる。
顔は人間と変わらず、美形の者もそうでない者もいる。
ガンテツは職人らしく厳つい顔で、黒髪を短髪にし、鼻下には立派な髭が蓄えられている。混血の場合、寿命は人間とほぼ同じだ。
黒を持つのが基準で、低身長な者ほど腕の筋肉とのバランスが良く、精密な技巧が使えることが多い。勿論生まれ持ったセンスと、鍛練が根底とはなるが。
今カザンサススノー国には、地の精霊が少ない。それは昔、エルフの地を奪おうとした際に、彼らの技術が殺戮に使われたことで、それを嫌った地の精霊や他の精霊達が飛び去ったからである。
逆にそれを好み、探求する為に残った精霊もいる。ただ性格的に狂暴性があり、人の言うことに従わない者が多かった。
あとはまあ、移動が面倒で残った者や、住み慣れた場所から動きたくない者達だった。
人間と交わった精霊達の子孫は、カザンサススノー国で生きていた。
けれど厚遇されるのは見目の良い者が多く、それは精霊の持つ才能からは遠ざかることを意味する。
それを人間達は知らず、見目の良い混血児達は自分達の立場を守る為に黙っていた。
純粋な精霊は人間の体を時々乗っ取り、好きなような鍛冶を行い武器を作り出す。それは人間の体を丸ごと支配する禁呪のようなもので、数か月で衰弱する為、また別に体を欲することになる。
火の精霊サラマンダーは受肉はせず、他の火の精霊達が受肉して、獣人や人間達と子を増やすのを見続けていた。
だが………………。
「以前……確かノームがいた時は、もっと素晴らしい技巧を施したものを見られた気がする。今や技巧よりも破壊するだけの、お粗末な道具しか見られない。
そんなに破壊したいのなら、俺が全て焼き付くしてやるのに。勿論貴様らの命令など聞かんがな。フハハハッ」
精霊が見える者達はサラマンダーを恐れ、神殿を立てて敬うことにした。他の精霊には神殿がないことで、多少は気を良くして。
その後サラマンダーはこの国を見てまわり、そして他国にも移動し様子を見ることにしたのだ。
ノームが住むエルフの国には入れなかったが、他の国の様子は見学が出来た。
カザンサススノー国が北東にある為、寒さで精霊達が暗いのかと思ったが違うようだ。そもそも精霊に寒暖などは感じないからだ。
だったら雪のせい? 植物の存在する期間が少ないせい?
理由が分からないサラマンダー。
カザンサススノー国程でなくとも、雪が積もり寒気が強い場所も多い。けれど楽しそうに人間と共存している精霊が、たくさんいたのだ。
「どうしてだ? 何故、どこに違いがあるのだ?」
精霊は自由に暮らすことが好きだ。
人が争い、全てが燃えて色がなくなる戦争なんて、楽しくも何ともない。
美味しい空気で呼吸し、時々甘いお菓子と果物を食べて、暢気に眠る暮らしが大好きだから。
寒くたって、室内が暖かければ幸せになれるのに。
それが今代のサラマンダーには、分からないのだ。




