表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
弁えすぎた令嬢  作者: ねこまんまときみどりのことり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/117

ワッサンモフ公爵家、隠密達の怒り

 ミントジュレとコロネの婚約のことは、すぐに邸の全員に周知された。


 そして当然の如く、先ずはタバサから切れ散らかしたのだ。



「あのくそ王子め! 結婚時は愛人同伴だなんて、ずいぶんと馬鹿にしてくれたもんだね」


「天元突破の屈辱ですわ。もう野盗に襲われたことにして……(葬りましょう)」


「ちょっと待て。今現在、詳細を調べているから、勝手に動くでないぞ。良いな!」



「はい…………分かりました」

「……報告を待ちます」




 タバサの言葉に、良い笑顔でアンナが不穏な言葉を発し、レイアーが慌てて止めた。



 性格にやや癖のあるタバサ&アンナだが、暗殺技術は一流。当主とその家族の護衛と使用人を難なく熟し、秘密裏に事を運ぶ手腕を十分に兼ね備えていた。


 すなわち、アリバイ付きの抹殺ができると言うこと。勿論、証拠隠滅も完璧なものにして。



 たぶん事を終えた後でも、何もなかったようにコロネ達と楽しく過ごしている筈だ。


 それが分かるだけに、レイアーが慌てて制止したのだ。




 レイアーは既に、邸内の隠密に調査指示を出していた。

 ミディアの師匠であり、毒植物の博士号を持つ庭師のテンメに。


 彼の報告を待てと言われ、仕方なく動きを止めた二人なのだった。



(やれやれ。まだまだ若いな、二人とも。殺るならミントジュレじゃなくて、元凶の国王だろう。あのゴミ虫はいつも余計なことしかせん!!!)


 

 左右に首を振りながら、心で彼も叫んでいた。冷静そうに見えても、かなり短気なのだ。9歳の時、メロアンを助ける為に大男(貴族)を蹴り飛ばした彼は、詳細など分からず行動を起こしていた。


 たまたま警ら隊の責任者夫人である、チルド侯爵夫人(レイアーの母レッド)が傍にいたから良いが、これが同格の侯爵か、それ以上の爵位であれば大問題だった。


 あの後延々と、危機管理について(スッキリした笑顔のレッドから)講義が行われたのは、忘れられない思い出だ。

 怒られはしないが、『ちゃんと覚えとけよ。洒落にならんからな!』と、軽く圧をかけて教え込まれていたからだ。



 今は昔と逆の立場になった訳だが、性根は変わらない。自制心がほんの少し育っただけで。


 コロネから見ればレイアーは、とても落ち着いた人物だが、付き合いの長いスライストからすると、怒らすと危険だと気付いている。

 メロアンが止めたことが何度あったか、少なく見積もっても両手の指では足りない程なのだ。



 自分のことは置いておいても、公爵家のことと家族のことを貶されると、とたんに沸点が低くなる。




◇◇◇

 テンメからの情報により、ミントジュレの思惑は分かった。


 カザンサススノーへの(侯爵家への)婿入りが嫌で、間接的にコロネが巻き込まれたようだ。


 婚約をしない免罪符を得る為に、『真実の愛の偽装』を男爵令嬢のモモ・コンポートナへ金銭で協力要請し、彼に甘い国王夫妻がそれを許した。


 その背後ではきっと、クロダイン公爵がほくそ笑んでいるだろう。



 だが………………。


「モモ・コンポートナ。この女はミントジュレのことを諦めていないようだ。公の計画通りに、彼の愛人になって好き放題したいようだぞ。醜いものよ」


「殺りますか?」


「今は駄目だ。もし彼女が暗殺されれば、嬉々としてクロダイン公爵が動く。そしてない罪まで負わされるだろう」


「じゃあ、どうするんですか?」


「まずは様子見だ。ミントジュレからの話も聞きたいところだし。彼がカザンサススノー国の(侯爵家の)婿になれば、我が国の平和も崩れる可能性があったから、避けられたのは悪くない」


「スライスト様とミカヌレには、何と報告するのですか?」


「今回のことを全て伝える。ただ、コロネお嬢様には何も知らせず、先入観なく彼を見て貰おう。直感は大事だからな」


「そうですね、妖精の導きもあるかもしれませんしね」


「妖精は……(俺は見えないから)分からんが、まあ時間はある。殺気は封じておきなさい」


「はい、了解です」

「はい、分かりました」



 何となく応じてくれた二人に安堵するレイアー。その背後でさらに肩を撫で下ろすメロアン。


 メロアンは覚悟していた。

 もし三人ともが、最悪な馬鹿なことを考えていたら、身を呈しても止めようと思っていたからだ。


 メロアンは知らないが、万が一の時は彼女の他にも彼らを止めようとする、志を同じにする者は複数いる。


 いつも台風の目の中にいる彼女(メロアン)に、「ご苦労様です。いつもありがとうございます」と心から感謝している者達が。



 忠誠の前に愛情が多い、ワッサンモフ公爵家ならではの見慣れた光景なのだった。



 

(年を経ても、いえ、ますますお嬢様馬鹿は加速してるわね。まあ、そんな愛情深いところも素敵だけど。私は猫のミー子と心配してますよ)


 これは声にはしないけれど。



 愛する三毛猫のミー子と、黒猫のシャドウを抱きしめるメロアンは、


「私もコロネ様を孫のように思ってますから、相手を殺さない程度ならOKですにゃ♡」と微笑んでいた。

 それに応じる猫達の鳴き声も、「ニャアニャ(「そうや)」「ニャニャニャア(やったれ!)」と応じているように聞こえる。



 結局みんな、コロネが大好きなのだ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ