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弁えすぎた令嬢  作者: ねこまんまときみどりのことり


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救出作戦

 集まった仲間は、レイアー、タバサ、アンナ、ガンテツ、チェルシー。

 そしてラディッシュの保護者枠で、リオニオンとエッダが加わった。


 リオニオンとエッダの身元は、ラディッシュがニズラッシェリル国に戻った時に、女王から一筆書いて貰って来ている。


 それにネリネの傍にいた妖精のラランが、ミカヌレに協力させて欲しいと訴えたらしい。


 彼女(ララン)の姿は一部の者にしか見えないが、妖精に好かれるなら悪人ではないだろうと認定されたネリネは、みんなに感謝し泣いていた。



 洋品店でみんなを待っていたミカヌレとスライスト、コロネ、ラディッシュ、モロコシは、ネリネのことを受け入れて貰えるか心配だったので、「良かったぁ」と一先ず安堵していた。



 ミカヌレはみんなを代表し、ネリネが心配していた不安について、みんなの意見を求めた。


 それは彼女の異母妹となる、カンラのことだった。



「腹痛で寝込んでいるカンラのことを、コゴリが医師に診察させているか分からなくて。もし仮に見せていても、治療まで行ってくれない可能性があって…………心配なんです」


 

 ネリネは自分が死にかけたことより、カンラの病状の心配ばかりしていた。

 



◇◇◇

 ガランサススノーでの側妃達(侵略された国の元王女達)の子供を、まともに医師が診察してくれるのか分からない。いくら寵姫であるコゴリが頼んで国王が了承しても、王妃が許すかどうかも。


 使用人以下の待遇で、見下されていた側妃達が不貞を犯さないように住んでいる場所は、使い古された使用人棟だ。

 そこは修理が必要で取り壊す予定だった場所。夜間はそこを出ないように、軍人が外から一人だが見張りをしている。



 棟の2階の部屋は雨漏りして使えず、外壁も所々剥がれてすきま風も酷く、けれど薪をたいて暖まった場所は湿る為、外部と接する1階両端の部屋はカビで使えなくなっていた。


 ベッドの布団だって何年使っているのか分からないほどペラペラだ。


 健康な者でも病気になりそうな場所で、義妹が苦しんでいる。



「薬草でも効果がないなら、内臓の炎症かもしれない。命に関わるかもしれないぞ?」


「そ、そんな、私はどうしたら良いの? 祈るしかないのでしょうか? うっ、ぐずっ……」



 日本人の前世記憶があるタバサは、彼女(カンラ)の情報を聞くほど顔を曇らせた。ネリネはとうとう泣き出していた。



 そんなネリネを見たタバサは、みんなに訴えた。


「ラディッシュ様の空間転移魔法があるなら、ネリネの記憶を頼りにしてガランサススノーに行って、カンラを連れて来て治療するしかない。

 ここに来れれば、獣医の資格を持つリオニオンに手術も受けられるだろ? ってリオニオンはエルフなんだっけ? ややこしいな。

 とにかく! コゴリはネリネの約束を破って殺そうとしたんだ。信用できない!」



 興奮のあまり言葉がヤンキーなタバサだが、その気持ちはみんなに伝わり、言葉を咎める者はいなかった。



「でも……勝手にカンラを連れて来たら、残った者が王妃にどんな目にあわされるか。相当に性根の腐った、酷いの王妃なのだろう?」


 レイアーがタバサの言葉を受け入れた上で、その後の懸念を言葉にした。


 それに対してミカヌレが答える。


「じゃあさ、住んでる所をぶっ壊して、全員死んだことにして連れて来ようよ。

 今、妖精のラランと話したんだけど、その彼女がね『世界樹の欠片でパワーは回復したし、美味しい桃を食べたら、エネルギーが有り余った』そうなの。


 それで(ミカヌレ)の力で建物に雷を落として、建物をラランの火で全焼させて死を偽装してみようと思うの。


 彼女達の着ていた服の中に、動物の骨を人間の骨みたいに加工して、動物の肉や臓器も代わりに置いて。頭蓋骨の加工も陶芸の土で盛り付けて、ラランに焼いて貰えばそれらしく見えると思うし。


 それで全員連れて来よう。


 古い建物に押し込めた王妃が悪いんだから、敗戦国に何も求めないでしょ。たぶん死んだことも隠すかもよ、あの国なら?」



 ガランサススノーはミカヌレの、エクレアーヌだった彼女の両親を殺した国だ。他の者よりも思いも強いのだろう。


 話し終えた後、目を強く瞑り大きく息を吐いていた。


 

 タバサもそれで良いと頷いた。




 そこにガンテツも加わる。

「俺は鍛治でなくとも、陶芸もできるぞ。何でも出来なきゃ食っていけない時期もあったからな。だから骨の細工なら任せておけ。

 ただ動物の骨をくるんでだから、ちょっと調整も必要だがな」


「ありがとうございます、ガンテツさん。じゃあ、骨はよろしく。側妃分が4体と、娘さんの分は3体ね。身長はネリネと相談して下さい」


「ああ、任せてくれ! 丁寧にでも急いで仕上げるぜ!」


 ミカヌレはガンテツの目を合わせ、微笑んで頷いた。





「そしてラディッシュ様達には、側妃4人と王女3人を連れて来て貰えますか? そして行く際にはラディッシュ様達3人と、ネリネと私とラランとで行くことは可能ですか?」


 その言葉に「申し訳ない」と言って、ラディッシュが頭を下げた。


「空間転移なんだが。僕は自国に行ったばかりで魔力が足りず、すぐには使えないんだ。リオニオンとエッダは大丈夫だから、彼らと行って来てくれ。僕が行っても足手まといだ。その代わり世界樹の葉を彼らに渡しておくから、役立ててくれ」



「そんな、謝らないで下さい。私が勝手に考えていただけで、半分くらい無理だと思って話してましたから。お力を貸して貰えるだけで嬉しいです。


 ところで空間転移のことですが、人数の件は可能でしょうか?」



 ミカヌレが恐縮していると、リオニオンが「大丈夫ですよ。妻と2人なら、20人は可能です。任せて下さい」と答えてくれた。

 その隣から彼の妻であるエッダが「壮大な人助けミッションですね。是非お任せを!」と、やる気まんまんだった。



「お二人ともありがとうございます。本当に助かります」



 ミカヌレが嬉しそうに頭を下げ、ネリネも「感謝します。本当にありがとうございます」と、泣きながらリオニオン、エッダ、そしてガンテツへと頭を下げたのだ。



 偽装骨の作製にはラディッシュとスライストも参加し、偽装死体の臓器確保の為にレイアーとタバサで狩りに出かけた。


 ミカヌレとタバサ、チェルシーは、みんなの為に食事を作り出した。



 チェルシーはシスターで、本来嘘はいけないと言う役割である。けれど強く断言する。



「嘘も方便です。特に今回は人助けですからね。頑張りましょう!」



 彼女(チェルシー)に迷いはなかった。

 みんなの気持ちも一致団結して、救出作戦の準備を懸命に行っていく。



「出来るだけ急がないとね。カンラさんが心配だもの」


「はい。私にもできることをさせて下さい!」


「うん、頑張ろうね!」



 自分のことのように懸命になってくれるコロネ達に、ネリネも涙を拭きながら付いていく。


(ありがとうございます。このご恩は忘れません。もし失敗したとしても。本当に、本当にありがとう)





◇◇◇

 コロネはモロコシと相談し、コロネの住む食堂の2階を借り上げて、側妃達を避難させることにした。


 元冒険者の食堂の夫婦は、何かあると察して了承してくれ、急いで掃除を始める。コロネとネリネも参加し、彼女達を迎える準備をするのだった。


 その後にモロコシも、「行くぜー!」と張り切って狩りに向かうのだった。





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