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弁えすぎた令嬢  作者: ねこまんまときみどりのことり


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閑話 作戦会議の前のこと

  自国の危機。


 そんな緊張感の中で、ミカヌレとモロコシが集めたのは、ワッサンモフ公爵家の隠密であるレイアーとタバサ。


 そして今回、コロネに置いていかれたアンナも。


 邸を管理する為、今回もメロアンは不参加である。どうやらいつも留守番の為、レイアーと喧嘩したとかしないとか。


 けれど謀反の疑いがかからぬように、一定数の使用人を親戚縁者以外から雇用するくだらない法律がある為、誰かが邸を仕切らなければならない。


 件の法律を作ったのは、今の国王より切れ者だった先々代の国王である(考案者は宰相だが)。


 そのせいで国王からの密偵が複数人、常に有力な貴族家にいるのである。


 だが平和で豊かになりつつある、今の国王(お付きの宰相)の管理は杜撰で、寝返る隠密が続出していた。



 今、ワッサンモフ公爵家にいる国王の隠密は、寝返り組である。国王達より懸命に働き、弱者に寄り添い、常に経済を回していることに尊敬の意を示していた。


 セサミのことも癖があるものの、根は真面目で汚職もしない、善良に区分される人物だと分類されていた。



 そしてミカヌレやスライスト、コロネのことを見てきたことで、完全に感情移入していた。


 分かる範囲で国王側へ情報提供をしても、反応は皆無。以前は出ていた報酬(隠密達の給金)もいつの間にか停止されていた。


 その為、現在の彼らの生活基盤は、100%ワッサンモフ公爵家の給金である。

 国王に従う意欲もなくなると言うものだ。


 平和過ぎて隠密のことを忘れたのか、もう不要として捨て置いたのかは分からない。そんな状態で困窮時に情報だけ寄越せと言われても、「はあ? あんた馬鹿?」と心で叫び、裏切ることだろう。


 表だって言わなくても、ワッサンモフ公爵家に優位になるよう画策し、国王にはクソ情報しか渡さないとか。

 まあそれでも、国王側には分からないだろう。




◇◇◇

 そんな感じのワッサンモフ公爵家だが、レイアー達が気付かない切れ者が使用人として入り込んでいる可能性がある。


 それを見逃さないように、主要メンバーの誰かを残さないといけないのだ。



 今回レイアーは、「じゃあ、メロアンの飼いたかった猫を飼おう。それで手を打たないか?」と欲望を刺激した。


 元から生き物は、不在にすると可哀想だからと飼うのを我慢していた。

 けれど今、ワッサンモフ公爵邸には、西の国から夫婦で引っ越してきた元獣医がいて、彼らの家にはたくさんの生き物がいる。元獣医の妻は家で動物達と暮らし、ペットの預かりもしていると言う。



 元獣医は言う。

「僕達は食べるのが大好きでなんです。以前お土産に貰った、フルーツパーラー『エクラ』のスイーツがないと生きていけないと、妻が言うものでこの国にいます。妻には僕、逆らえないので。

 ちなみに、動物達も保護した子ばかりなんですよ」



 そんな夫婦、信用しかない。

 その元獣医は、庭師を手伝っている。

「木の実を食べる動物達の食事は、今まで僕が育てたものでした。でもこの国だと、普通にお店で売っているので、それならお勤めしようと思いまして」



 斯くして獣医兼、庭で木の実を育てる男は、ワッサンモフ公爵家の庭師になったのだ。


 彼の名はリオニオン、妻の名はエッダ。





◇◇◇

 そんな訳で今日もメロアンは、お留守番である。ペットを飼いたいと思えて、飼える環境になったのも、平和になった恩恵なのだろう。



「邸のことは任せておいて。その代わり、猫ちゃんは2匹飼うからね。一匹だと可哀想だから。良いわよね!」


「何匹でも良いよ。じゃあ、任せたよ」



 こんな2人でも実はすごく仲が良い。どうでも良い追記だが、レイアーの方が愛は深い。

(あんなに一生懸命に叫んで、可愛いなぁ。ふふっ。いつまでも少女みたいだ)




◇◇◇

 そんな感じで纏まった話だがコロネの国ユゼフィランと、西の国ニズラッシェリルはかなり遠い。

 保存の聞かないスイーツは、持ち帰ることは不可能である。



 そう、彼らはエルフであり、空間転移魔法でこの国に時々来ていたのだ。

 ユゼフィランは環境が年々温暖で暖かくなり、さらに『エクラ』もできた。

 別件でラディッシュの様子を時々見て欲しいと女王にも頼まれていたので、移住を申し出て許可されたのだ。




◇◇◇

 王子ラディッシュにも、気付かぬうちに協力者がいた訳だ。

 ラディッシュがニズラッシェリル国の母、女王エブラントに連絡すると、姉クレアが彼に伝える。


「もう、あんた全然気付かなかったの? リオニオンとエッダがいつもウロチョロしていたのに。彼らに協力して貰いなさい」


「嘘っ、全然知らなかった。ありがとうね、守ってくれてたんだね。大好きだよ、母上、姉上」



「もう行きなさい。恥ずかしい弟だこと」


「人間は怖いところもあるわ。完全には気を許さないようにね」


「心配しないで、分かってるから。じゃあ、行ってきます」



 不安な母、照れているツンデレ姉は、彼を心配そうに送り出した。

 空間転移魔法でニズラッシェリル国に帰って、すぐに戻ってきたラディッシュは2人に会えて満足していた。


「取りあえず状況は伝えたから、今後は作戦会議だね」



 久々に家族に会えて嬉しいラディッシュ。

 彼にも別件でユゼフィラン国に来た目的が、いろいろあるようで。




 魔力を多く使うこの魔法は、幼い彼では暫く使えない。これからはこの国で頑張るだけだ。






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