表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
弁えすぎた令嬢  作者: ねこまんまときみどりのことり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/74

ブルーベル、教育的指導を受ける。その2

お前(ブルーベル)はちゃんと事実を知る必要がある。なんせもう8歳だからな。コロネお嬢様が両親と離れた時は5歳だったのだから、それより3歳も上なら理解できるよな」


「……(怖い、怖い、怖い。それにコロネが何だと言うのよ。見下すんじゃないわよ。でも怖い~)」



 ここはワッサンモフ公爵家の地下の地下。巨大な岩が削られて作られている為、木造と違い燃えない場所だ。別名『拷問部屋』と呼ばれる。

 丁度上の上は厨房であり、少しの物音など誰も気にしない位置にある。

 この階に部屋は10室ある。5つは牢屋で2部屋使用中だが、ブルーベルはそれを知らない。


 だってこの場所に来る時は、気絶していたから。何ならこの椅子一つで、拷問道具がない部屋は一番ソフトな場所なのだ。

 20畳の部屋に椅子が一つで、明かりは松明の光のみ。窓がないから昼夜の感覚もない。



 道具がないのは単純に、隠密の特殊訓練をする場所でもあるからだ。天井が低い場での近接戦闘訓練(寝室やパーティーの休憩室を想定)は、隠密には必須である(必要時はソファーや椅子を運んで状況を作る)。

 よく見ると壁や床のあちこちに血痕が残っている。血液は掃除しても落ちにくい。

 唯一他にあるのが、個室のトイレだけ。

 ここは訓練もするので取り付けられているが、場所によっては壺のようなもので用を足す部屋もある。



 メイド服姿で美女のタバサと、椅子に括られた美少女ブルーベルが、暗い部屋の中央で向かい合っていた。

 この場所に来れるのは公爵家の隠密のみで、ブルーベルがここにいることは、タバサの他はメロアンとレイアーだけである。


 そのまま失踪扱いにもできる訳だ。





◇◇◇

「大してビビらないのは立派だな、見所がある。まずお前には自分達の借金額と内訳を伝える。そしてそれが返せない時の未来と、処遇を教えてやる。

 全部嘘だと笑うのも良い。だが本当だったらどうなるのか、想像しながら聞くと良い。貴族だと15歳で成人か。成人になればできる仕事も増えるからな」



 淡々と話すタバサと、記載された買い物の値段を見ながら、冷や汗が止まらないブルーベル。


(こんな金額……。チェロスト子爵領の収入、3年分より多い金額を使っているわ? もしワッサンモフ公爵家から請求されたら、絶対に返せない。特にこの血赤珊瑚(チアカサンゴ)の(日本円だと)1200万円って何よ。あんな宝石一つで、半年分の領地収入じゃない。どうすんのよ、コレ!)



「その様子だと、ちゃんと理解したみたいだな。ああ、一応言っとくぞ。スライスト様は生きているから、お前の父親は当主にはなれない」


「そ、そんな、どうしたら良いの?」


「チェロスト子爵の土地、資産、爵位を全て売っても、不足だろうな。そういう時は、足元も見られるし……。お前も平民になる前に如何わしい場所に売られるか、エロい金持ちとかの愛人や後妻に押し込まれるかが良いとこか?」


「嘘でしょ? 嫌よ!」


「嘘と言うか、可能性の問題だな。今から宝石類を売って、チェロスト子爵家やセサミ様、親族達に頭を下げて金を借りて返済するしかない。

 もしお前達だけのせいで没落すれば、チェロスト子爵家の寄子貴族(男爵や準男爵など)、関連商人達も許してはくれないだろうな。闇討ちや暗殺者くらい送られるだろう。


 でもお前の親はそれができるか?

 愛するお前を守る為に、頭を下げて金を借りること、そして散財を止めて真面目に働くこと。

 どうだ、できそうか?」



 ブルーベルは絶望した。

「……無理よ。両親はプライドが高くて、自分より下の貴族や平民を馬鹿にするわ。私でさえ、逆らえば殴られるもの(だからいつも、顔色を窺っていたのに)。

 頭を下げるなんて……あぁ、私はもう終わりなのね、うっ、ふぐっ……あぁん、助けてよ、誰か。もう無駄遣いなんてしないからぁ」



 自らの親の性格を知り、極力逆らわぬように生きていたブルーベル。けれど……いつの間にか彼女もその考えに染まっていたようだ。


「私はいつも両親の言いなりだった。本当に欲しい物は買って貰えず、いつも母と共用のアクセサリーばかりで。服だって似合ってないと知っていたけど、不満なんて言えなかった。

 そんな両親のせいで売られるの? 私はもう生きていても、幸せは掴めないの? うっ、ぐすっ」



 情報過多で、精神的にも限界のようだ。

 止まる様子もなく、泣きじゃくっている。



 でもタバサが彼女(ブルーベル)に現状を伝えたのには、意味があった。子供を見捨てないのは彼女の矜持だから。



(こいつもいろいろ我慢していたのだろう。悪い部分はあれど、今なら間に合う気がする。まずは適切な指導からだな!)



 胸の前で腕を組むタバサは、口角を上げて不適に微笑んだ。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ