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弁えすぎた令嬢  作者: ねこまんまときみどりのことり


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子供達の出会い

 セサミとヴィーガが相談し、ミディアとコロネはワッサンモフ公爵邸で顔を合わせることになった。


 普段からあまり邸におらず、資金稼ぎをしているコロネにとっては、セサミの命令は憂鬱なものでしかない。

 こんなことより、クリム一家をどうにかして欲しいのに。


 それでも大人である祖父だから、何か深い考えがあるのかもしれないと思い、何も言い出せなかったコロネ。


 そして今回、見合い染みた顔合わせが行われたのだから、困惑しかない。



(もしかしたら戻らない両親の代わりに叔父(クリム)に公爵家を継がせるか、父の娘である私にこの家を任せ、駄目そうなら爵位を国に返すのかと思っていたのに。

 私の婿候補を連れてくるのなら、やっぱり存続を願っているのかしら?)



「よく分からないわ」


 これがコロネの本音である。

 終わりの見えない借金返済(自転車操業)で、1年半が過ぎていた。


 相変わらずクリム一家は、我が物顔でワッサンモフ公爵家に居座っているが、彼らがいるのは客室である。


 スライスト、ミカヌレ、コロネの部屋には外出時は鍵がかけられており、クリム一家が入れる状態にはない。

 そこはしっかり家令レイアー達が、目を光らせているからだ。


 あくまでも彼らは、ゲスト(来客)扱いなのだ。

 前公爵で祖父セサミの次男で、父スライストの弟と、その妻と娘と言う血縁のある親戚。コロネからすれば、それだけの繋がりだった。



 クリムやコーラス、ブルーベルの横柄な態度も変わらずだが、コロネは特に気にしていない。使用人達だけが悟られないように、殺気を漲らせていた。




◇◇◇

「やあ。久しぶりだな、コロネ。困ったことはないかな?」


 好好爺のように微笑むセサミだが、さすがにモンテカルロ伯爵と子息の前で、恥のような話はできない。


「直近で困ることはありませんわ」

 微笑んでこう言うしかない。


「そうか、さすがだな。ハハッ」

 含みのあるセサミの笑いに、イラッとする使用人達。



「初めましてだな、コロネ嬢。私は君の父上の友人でヴィーガン・モンテカルロだ。隣にいるのが息子のミディアで8歳になる。これから友人として仲良くして欲しいな。ほら、自己紹介しなさい」


「っ、ミディア・モンテカルロです。よろしく」


 ヴィーガンの妻はスライストが療養中であり、今後の後継者がハッキリしない状態では不満があると言って、ここには来ていない。

 父子だけの訪問である。


「こちらこそ、よろしくお願いいたします。コロネ・ワッサンモフで御座います」



 コロネは失礼がないように、公爵令嬢として丁寧な挨拶をする。


 メイド達にも、最上級のお茶やお菓子の準備をして貰うように伝えている。婚約うんぬんはさて置き、今後父が戻って来る可能性はあるし、邪険にすることはない。婚約者になるかはまだ分からないが、父の友人であるならば礼を尽くすべきだと思ったのだ。



 ミディアはコロネを見て、綺麗な子だと思った。

(煌めく金の髪と、碧眼の瞳。やや猫目だけど微笑む様子が優しそうだ)



 コロネはミディアの緑の髪を見て、鍛冶師の弟子となったシャインを思い出した。そして知らずと微笑んでいたのだ。


 勿論ミディアの方が美形であるが、コロネは特に顔の美醜を気にすることはなかった。

(もし結婚するなら、一途に自分を思い正直で働き者が良いわ)と思っているからである。


 美しい舞台俳優などが嫌いと言う訳ではないが、恋愛や結婚は別物なのだ。



 その後は当たり障りのない世間話をして、和やかに場は終了することになった。





 ヴィーガンとセサミは、ミディアを見て微笑むコロネに好感触の反応だった。


「これは良い感じかもしれんな」

「ええ、印象は悪くないようです」


 ミディア自身、特別な好意はないと気付いていたが、男2人はそう思わなかったのである。



 勿論侍女アンナも他の使用人達も、コロネがミディアに見惚れたなんて思っていない。

(まだまだお洒落より、料理長のご飯が大好きなコロネ様だもの。どうせ食べ物のことでも思い出したのでしょ?)


 ちなみにコロネは孤児院の神父、チャーシが山奥深くに入り狩ってくる、猪ステーキが大好きだ。ただで狩ってるからと安価で購入させてくれるので、公爵家の食卓にもよく出るお肉。濃厚な旨味と深いコクがあり、食費の節約にも一役買っている。





 そんな勘違いの出会いだったが、セサミにより定期的に顔を合わせる約束が結ばれた。月に2回、ワッサンモフ公爵家でのお茶会だ。



 そこに異分子が紛れ込む。

 それは美形大好き、ブルーベル(8歳)だ。


 桃色の髪に、新緑の瞳の美少女だ。クリムが政略結婚を蹴って結婚したコーラスと同じで、とても美しい(かんばせ)をしていた。


 そして公爵家で贅沢をすることで、すっかり傲慢さに磨きがかかっていた。


「なんて格好良いの? ミディア様はコロネのブスより、私にお似合いよ」



 

 嫌な予感しかしない。






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