対極の祖父と孫
当然ながら王家の血筋には、国を立ち上げるほどに優秀な者の遺伝子も生き残っている。
セサミは天才だったので、可笑しなワッサンモフ公爵家の仕組みを幼くして把握していた。
「当時の優秀な隠密(執事と侍女)がいなければ、初代で既に滅んでたんだな、この家。血筋残しの為に生かされたようなものだ」
そんな思いを抱きながら天才であることを隠し、ちょっと賢い程度を演じてきた。それでもかなり秀でてはいたが。
そんな性格だったので、政略結婚して嫁いで来た当時の美形大好きミーハー(いかにも浮気しそうな)嫁も、洗脳(調教)?されて立派な淑女となっていた。本人さえ知らないうちに。
そう、彼の趣味と言う名の生き甲斐は、「人間観察とその方向づけ(利害も少しだけ絡むことあり)」だった。まさに他人の人生を操ることを遊びとした、『(他人の)人生ゲーム』である。
たぶん初代から三代までの、ワッサンモフ公爵の仄暗いダメ遺伝子を、セサミ自身も受け継いでいるのだろう。遺伝って怖い!
そしてコロネの方は高確率で、|苦労した者達《夫や妻がアホで、苦労した伴侶》の遺伝子を持って生まれたのだった。
そんな対局にいる祖父と孫のゲームは、いつの間にか開始されていた。
これをミカヌレが知っていたなら、「あんな変態の近くにコロネを置いて行けない。一緒に逃げよう!」と思い、自分だけ身を引くなんて方法を取らなかっただろう。どんな作戦を練ってでもコロネを連れて、脱出を試みたはずだ。
けれどエゴを隠す巧みさで、セサミの邪気に気付けなかった。
セサミにとってミカヌレの出自など、自分が生まれて来なかったかもしれない屈辱に比べれば、塵芥ほども気にならないものだったから。
「クフフッ♪ さあ、どう動く。可愛い我が孫」
全てはセサミの遊び。
家の存続とは別の意味で、賢くて気の利いた存在である新たな駒。
コロネはまだ気付かない。
良い祖父だと思っていたセサミが、そんな悪ガキのような人間だということに。




