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弁えすぎた令嬢  作者: ねこまんまときみどりのことり


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112/118

シルフとシルフィード

 風の妖精は風を司る。


 シルフとシルフィードの風の大精霊夫婦は、島全体に風を巡らせた。


 ちなみに普通、大精霊は一人である。しかし拮抗した力を持つ者が二人で、それが既に夫婦であったことから二人とも大精霊になった。




 島全体に散らばっていた島民の骨は、海の良く見える高台に集められ、丁寧に埋葬された。


 ノームとラディッシュで慰霊碑を作り、みんなで手を合わせる。



 ミカヌレは漸くみんなの眠れる場所を作れたことで、安堵と共に無性に寂しさが襲う。



「みんながやっと、ゆっくりと眠れるのね。お父様、お母様…………ずいぶんと遅くなりました。私は今、幸せになりましたよ」



 思えばずっと、この地に戻れることを夢見て来た。幼い時は、こんなに遠くにある場所だと思わなかった。

 モロコシとマルセイユに連れられ、泣きながら両親と離れて亡命したあの日。


 その二人と離れ、ミズーレン伯爵に引き取られ隠密と育てられた日々。


 それからスライストと結婚して、コロネが生まれたこと。



 今自分が生きているのは、両親である国王と王妃が逃がしてくれたからだ。




「お父様ぁ、お母様ぁ……マルセイユもここに戻れたのかしら? みんなのお陰で私は生きているわ。何故……もう会えないのかしら? それとももう、生まれ変わって他の国にいるのかしらね。うわあぁぁん」



 マルセイユは恐らく共同墓地に埋葬されているが、心はこの地へに戻って来たのではないか。何となくそんな風に思えた。



 みんなが祈りを捧げた後、一人慰霊碑に残ったミカヌレは語り続けた。


 泣きながら縋るような姿に、手を差し伸べたくなるコロネとスライストだが、必死にその手を降ろしてその場を離れた。



 これは彼女にとって、これは必要な儀式なのだろう。





◇◇◇

 モロコシは何度もこの地へ、海路での上陸を試みたが失敗に終わった。恐らくミカヌレが乗船していても、きっと結果は同じだった。



 上陸にはウンディーネの力を中和する程の、他の大妖精達の力が必要だった。今回奇跡的に大精霊3人と妖精が2人が集い、かなり大きな戦力(精霊力)が加わったことであっさり入れた。


 そもそも戦力(精霊力)不足だったなら、空間転移した時点で竜巻に巻き込まれ、無傷ではいられなかっただろう。



「ぐすっ、今度はモロコシも連れて来るよ。すっかりおじさんになったから、驚くかもね。ふふっ、待ってて……」




 煌めく太陽が橙に変わり、もうすぐ水平線に沈んで行く。今日はここで帰る時間となった。


 島の守りはウンディーネになったメディアルが、今後も継続してくれる。彼女とは一端、ここでお別れだ。


 ただ水の流れに乗って移動は可能なので、何処にでも行くことは出来る。


 まだ暫く、ここでエヴァンとの思い出に浸っていたいようだ。傍らにはサフランもいるから安心だ。





「またみんな来てよね。来てくれないと、勝手に会いに行っちゃうから」(ウ)


「いつでも歓迎よ。待ってるわ」(ミ)


「本当はすぐには無理よ。私ってば方向オンチだもの。そっちから来てよ。寂しいから妖精もたくさん連れて来てね。ここの果物もとっても美味しくしたから」(ウ)


「そうよね……私も食べたいわ。すぐ来るから!」(コ)


「コロネったら。本当にスイーツ好きね」(ミ)


「だってお母様。妖精の恩恵で甘いフルーツが食べ放題なのよ。腐る前に食べないと勿体ないわ」(コ)


「大丈夫よ、コロネってば。腐って土に還れば、肥料になるから平気よ♪」(ウ)


「違うわよ、ウンディーネ。ただ食べたいだけみたいよ。そう言う顔してるもの」(サ)



「「「「やっぱりコロネは、何処に行ってもコロネだな♪」」」」



 みんなに言われ、羞恥で赤面するコロネ。


「だって。甘味は高いのよ、貴重なの。それにジャングルの果物、良く熟れて美味だったし」



 思い出して頬が緩み、ヨダレが落ちそうな表情にまたみんなの笑みが溢れる。



「またすぐに来るわ。今度はモロコシを連れてね」


「うん、待ってる。じゃあね」





 男性陣は笑いすぎてコロネに怒られぬよう、口を閉じて我慢していた。気配で気付くコロネだが、淑女は突っ込まないでスルーする。


 緑多きジャングルの島は、土の妖精や生き物を育てる精霊が来たがることだろう。





 そんな感じで無事に到着し、島から戻ることになった一同だった。






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