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弁えすぎた令嬢  作者: ねこまんまときみどりのことり


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チャルメ・エアピゾーラ

 コロネが部屋を借りている食堂件宿屋へ、ラディッシュとチャルメが時間通りに訪れた。


 現在は、開店前の食堂に入って貰っている。



「おはようございます、ワッサンモフ嬢。私はチャルメ・エアピゾーラと申します。無理なことは承知でしたが、受け入れて頂き感謝しております」


「おはようございます、チャルメ様。コロネ・ワッサンモフですわ。私も元チェロスト子爵領のことは心配でしたので、丁度良いタイミングでした。ですからお気遣いなく」


 互いに紳士淑女の礼をした後、軽い会話をしてモーニングを食べる為に席に着く。



 その後にラディッシュが「お腹が空いたな。何を食べよう? 普通のモーニングが良いかな? ちょっと贅沢に、プリンも付けちゃおうかな?」なんて感じで食べなれた風に独り言を呟いている。


 まるで自分はここに来た時点で、仕事が終了だと思っているようだった。呑気なものである。





 優しいミモザの花色の髪と、エメラルドの瞳を持つチャルメは、優しげなタレ目の可愛い笑顔でコロネに挨拶をした。


 17歳とコロネ達より年上なのに、全然圧を感じない。それどころか上質な濃紺のスーツに身を包む姿は、まるでスーツに着られているような頼りない印象を受ける。



 対してラディッシュと初めて会った時は、銀色の長い髪を腰まで揺らし、涼しげな目元の水色の瞳を持つ長身だったから、青年のように見えたのに。


 店長だというのに、黒いトラウザーズ(ズボン)と襟と袖にレースがあしらわれた白シャツを着崩した着た姿に、あの時は胡散臭さすら覚えたものだ。エルフと妖精の血が混ざっているせいで、成長速度が早いのだと言う。


 一番魔力が強く使えるまで成長し、長くその状態のまま老化を進めず時を過ごす者が多いそうで、成長が速度が遅いエルフとは少し違うようだ。




◇◇◇

 事前にコロネは、叔母であるサイダーに連絡をして許可を得ていた。新しく元チェロスト子爵領を受け継いだグラスト伯爵は、叔母達(サイダー夫妻)と相談し、領地の経営を行っているそうだ。宮廷貴族から領地を授かったことで、その土地や作物や畜産の特色を学ぶ為に、領地を頻繁に訪れていると言う。


 伯爵は今以上の資産も権力も必要としていない。そんな彼の望みは、将来国王となるストビーテの治世が安定することだ。力あるミズーレン伯爵家やクロダイン公爵家が第二王子ロコロを擁立し、国を二分させないことを願っている。

 ざっくり言えば、国の安寧を。



 王太子ストビーテが信を置く、有能な人物であるのは真実のようだ。

 その伯爵も元チェロスト子爵家の反映にコロネが関わっていると知っている為、見学は大歓迎だし改善点があれば教えて欲しいとのこと。

 コロネとサイダー夫妻とのコンサルタント契約は続行中であり、いろいろな案がサイダー経由で領民に伝えられて検討されてきたのだ。



 表向きコロネと元子爵家のことは内緒にしているが、スライストはストビーテの側近である為、伝えている情報が多い。今回の件もその一つで、フリーパスである。



 コロネはこの国の公爵令嬢、ラディッシュはニズラッシェリル(エルフの国)の王子、チャルメはサクラアイランド(銀行創設者の直系)の次期侯爵で、とんでもないエリート集団である。何かあれば責任者のクビ一つで済まない程の。



 勿論見える護衛の他に、隠れた場所にも護衛と隠密がわんさといる。だが3人に悟らせない彼ら(護衛と隠密)はプロである。

 心置きなく外出を楽しんで貰えるように、距離を取りながら見守るのだった。



 


◇◇◇

「すごいわねぇ~。サクラアイランドとは実ってるものが違うわ」


「ビニールハウス? 温室? これのお陰で冬でもスイーツが食べられるのね。人間って思い切ったこと考えるのね」


「そうよねぇ。サクラアイランドではこんなのなくても、勝手に実るし」


「でも南の島のものが、中間地点のこの場所で出来るのは、妖精の加護もありそうよね」


「うん、きっと。ビニールハウスも素敵だけど、土壌も草も生き生きしているから、それを食む酪農用の動物達も餌代が少なくて済むし、その糞から作る肥料も栄養たっぷりだしね。一つの加護がさらに良いものへ繋がる連鎖が成り立っているわ」


「加護に頼るだけじゃなくて、頑張ったから良い感じになったと言うことんね」


「そう、それよ。良いこと言うわね。この子は」


「きゃ、お姉様に褒められた。嬉しいー♡」


「まあ、このメロン。食べ頃よ~」


「あら、本当ね。一番甘いのを食べましょう」


「「「「「「さんせい♪♪♪」」」」」」




 

 上記は妖精達の会話である。


 彼女達は少しずつ果物を摘まんで食べ、気に入ったものを全員で分ける習性がある為、多くの果物には(1ミリくらいの)食べかけが出来る。


 妖精が触れた果物は、全体に彼女達(妖精達)の能力が宿り、気力充実と体力回復、おまけに腐敗が遅くなるなど、付加される利点がすご過ぎた。


 妖精側から見れば、皮で実の甘さが見分けられるので、見分けは比較的簡単である。


 付加能力が付くことが多いこの地の作物は、いろんな部分で注目されていた。全部がそうではない為、「たまたまでしょう」と濁しているグラスト伯爵達だ。余計な憶測を生まない謙虚さは、美徳だと思う。








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