王子様?
暫くすると部屋の外が騒がしくなり扉が開くと同時に王様と何人かの人が一緒になだれ込むよに入ってきた。
「父上、納得いきません。なぜ兄上なのですか?」
「そうです王よ王子はこの国の第一王子ですぞ。万が一の事でもあらばどうするのですか?」
「やかましい、フェンリル様といてどうやって万が一の事があるとらいうのだ」
「ならば、兄上ではなく私でもよいではありませんか」
「お前はダメだ」
「なぜです」
「お前に子供の世話はできぬ」
「そんなの判らないではありませんか」
「この前、自分の用事を優先して弟らを置いて出掛けていたではないか?前から約束していたのであろうに」
「あっ、あれは友に誘われたのです」
「それが始めてではないのは知っておる。それにお前の学力も判っておるぞ。仕事もお前は上手く誤魔化せておると思っていようが、全て我の耳に入っておる。第一王子のアレスが旅に出ている間、アレスの仕事も全てお前に廻す事とする。アレスがお前の為にかたがわりしていた仕事も含め、ちゃんと勤めよ」
そこまで言われて、今まで王様に喰ってかかっていた王子が言葉を返せずにムグムグしている。
だけど、今度は別の偉そうな叔父さんが
「王よ、そのような事をお一人でお決めになるのはいかがなものかと思われます。もし、王に万が一の事があったり、王子に万が一の事でもあれば、いかとします。」
「宰相よ、我の万が一とは何だ。我はまだまだ死なぬ。我が王位を譲るとしてもまだ随分と先の話しで、アレスが冒険者を辞めて戻ってくる年齢になってから国政を継いでも問題はない。その頃にはアデルも一人前になっているだろうよ」
「しかし」
「あーうるさいぞ、もうアレスも行くと決めたのだ。これは決定だ」
その人間達の騒ぎに雪は黙って様子を見ていたが、王の決定だの言葉を聞いてアレスの方に視線を向けた。
「アレスよ。そなた本当に冒険者となり旅に出て良いのか?けして安全なだけの旅ではないし、今までのように誰かが服を着せてくれたり、食事が当たり前のように出てきたり、部屋をとり休むような場所もなく野宿の時とてある。まして何かあった時に楯となり守ってくれる者とていないのだぞ。魔獸の解体とて自分達でしなければならぬ」
その雪の言葉を黙って聞いていた王子は一つ息をすると、覚悟を決めたように返事をした。
「かまいません。私は今まで誰に歯向かう事もなく、先生方の指示のもと政務につき国政を学んできました。でも私の中に、本当にそれだけで良いのかと言う思いがずっとありました。私が王子として向かう先は綺麗に片付けられ、豪華な食事が準備され、ベッドが準備されていました。それは学院の遠征授業ですらです。そうではないと感じていながら私は言葉に出す事が出来ませんでした」
「でも先程、父上にお前は旅に出ろ。外で学んで来いと言われて。目の前が明るく開けた気がしたのです。私は他の誰に止められても、この旅だけは諦めません。弟にも譲りません。私は冒険者となり旅にでます。ただのアレスとして」
一息に王子はそこまで言うと、雪の前に膝間付き
「フェンリル様どうか未熟者ではありますが旅にお連れ下さい。お願いいたします」
と深々と頭を下げた。そして僕の前にきて
「アレスです。君の旅の友達にして欲しいんだ。仲間に入れてくれるかな?」
とにっこりと微笑んだ。
「ヒオです。この子は毛玉です。よろしくお願いします」「「にゃん」
僕もちゃんと挨拶しました。毛玉もね。
これで王子さまが、一緒にに行くのでいいのかな?
まだもう一人の王子様は悔しそうにしているし、宰相と呼ばれた人も頭を抱えていたけど、雪と王様と大神官様はアレス王子の通行証をどうするかとかこれからの事にもう話しが進んでいたよ。
「なぁ坊主、お前アレス兄さまにあまり心配かけるなよ。勝手に動いたりして迷子になったりとか」
「うん。わかった。僕心配かけないようにするね。だから王子様も心配しないでね」
「わ、私は別に・・・わ、わかればいい」
王子様はそれだけ言うと、しぶしぶと部屋を出ていった。
部屋に残された僕達の所に王子が近づいてきてソファーにポスンと腰かけた。
「ヒオ君」
「あっ、ヒオでお願いします」
「そう、じゃあヒオ。これから旅に必要な通行証を準備したり、食料品をかったり、旅の為に必要な者を揃えていくからね。だから本当に旅に出るのはもう少し先になるよ」
「はい」
「僕も街に出てイロイロと買い物したりした事はほとんどないんだ。だから今回だけは父上がギルドのスタッフに頼んで一緒に準備を手伝って貰う事になったんだよ。二人でちゃんと相場とか必要な事を聞いて勉強しようね」
王子はそう言って僕の小さな手と握手した。
すると毛玉が自分もと言うようにその上に手を置いたので、
「毛玉もよろしくね」
って王子が毛玉とも握手した
これから旅の準備をするのかー楽しみだな。
だって僕もお買い物した事ないんだもん。
お買い物ってどうやってするんだろう。この世界も前の世界のようにイロイロな物があるのかな?
どんな物があるのかな?
前の世界と似たような物があるのかな。
考え始めると楽しみで楽しみでウズウズして、アレス王子に笑われてしまったよ。




