ここは?
目が覚めると浮いていた。
そう私はプラプラと浮いて移動している。
私の視界には揺れるプニプニとした幼い手、今までの私の手よりも幼いような気がする、その手と一緒に白い真っ白の大きな動物の足が動いている。
そしてお腹周りはなぜかチクチクとし、ハッハッという息づかいとともに暖かい息がかかっている。
なぜ浮いているのか確認しようと身動ぎした時だった
「サオ、気が付いたのか?」
と、知らない男の人の声がして、そっと地面に下ろされた。
私は声のした方に視線をやり、ビクッと固まってしまった。
そこには真っ白の巨大な狼がいた
どれくらい巨大かって私をプラプラと咥えて簡単に運べる程に大きい
ゆうに3メートルは越えているだろう。
「サオ?」
名を呼ばれても、反応できない程の恐怖と衝撃にパニックななっていると
「あーこの姿では解らぬか」
とひとりごち、おもむろにシユルルと音がしそうな程の勢いで小さくなった
そして、そこにいたのは
「ゆ、雪・・・?雪?・・・えっ?」
何がなんだかわからないでいたが、急に視界が開けるように記憶が甦ってきた。
「雪、雪なのね。怪我は?どこも怪我してない?だってあの時ガラスもいっぱい、物もいっぱい落ちてきて」
「サオ、サオ待て、落ち着け」
雪がそういい顔をペロリと舐めた
私は大きく深呼吸し自分を落ち着かせるように自分の胸をポンポンと叩いた
「雪、無事で良かった。毛玉は毛玉も無事でいるの?」
その問いに雪がくいっと顎で示した先にはスポットライトが当たっているかのように光の射す苔むした岩の上に真っ黒のツヤッツヤで長毛のまるでまん丸に見えるような猫がいた。
「サオ、やっとお話しができるにゃね」
「エッ、本当ね雪とも毛玉ともお話しができているね」
「そうにゃ、毛玉はずーとサオと話しがしたかったよ、だからとっても嬉しいにゃね」
「毛玉・・・」
「待て待て、話しは移動してからだ、ここは話し込むにはあまり向いていない、サオ、気が付いたのなら我の背中に乗れるな」
そう言うと雪は大型犬程の大きさになり身体を伏せてくれる
どうにか背中に乗り上げると
しっかり掴まっていろと言うと雪は最初にお腹を咥えて運んでいた時程の大きさにまで大きくなった。
それを見て毛玉がトトッと小走りし私の腕の間にジャンプしてきて鼻チュンしてきた
そう鼻チュン、家で動画で何回も何回も見てきて猫の挨拶なの知ってるよ。
「ありがとう毛玉、これからもよろしくね」
私も鼻チュンを返すと毛玉はニャーと長く鳴き私の腕の間にコロンと横になった。
それを待っていたかのように雪が走り出した。
私はわからないながらも二匹がいる事で空気がキラキラと輝いているようなドキドキするような、何かが始まる時を感じていた
緑の中を軽やかに走る雪の上で私は空を見ていた。
「ねぇ雪、毛玉」
「なんだ」
「にゃ~に」
「私ね外の空気、外の風を外て感じたの初めてなんだ。」
「「・・・」」
「多少はママが窓を開けた時とかに外の匂いや風は入ってきていたのかも・・・でもねこうやって自分の身体ごと外に出て空気を感じたり、風を感じたりしたのは初めてなの。物語に緑の風ってでてきたりして、それってどんな風だろうって・・・」
雪の上で深く深く息をすう。
「きっとこれが緑の風だよね。そして、これが輝く太陽、すみ渡る空気、白い雲、鳥の声、土の匂い・・・」
いつの間にか涙が溢れて止まらない。
なぜ涙が出るのかもわからずに、でも私は満面の笑顔だった。
「そうだ、これが空だ。サオお前は今光の中にいるのだ。サオは自由だ。あの部屋でタブレットや本の中にあった自由の世界、それが今、サオお前の手の中にある」
「空・・・自由」
おもいっきり息を吸い
「空~」
って叫ぶ。身体の中から湧き出る何かを吐き出すかのように。
「あははははははははは」
「雪、毛玉、空って雲ってキレイだね~」
二匹からは返事はなかったけれど、微笑んでくれているのは感じられた。
それからも暫く雪は走り、目の前に大きな一枚岩が出てきた。雪はそれに真っ直ぐに進んで行く。
そして、岩肌がハッキリと見てとれる位置まできても雪は進み、ある場所で空気が変わったように感じた。
そこには先ほどまではなかった大きな岩の切れ目があり雪はその中を躊躇いもなく進んで行ったき、そして、大きな大きなホールにたどり着いた。
「着いたぞ」
それだけ言うと雪はまた小さくなり、私を下ろしてくれた。
毛玉は着いたと同時にかってに飛び降りて、岩の隙間から射し込む光のあたっている石の上に行き身繕いを始めている。
「ここは?」
「サオがいうところの我の家だ」
「カッコいいねー、いいお家だね」
「ここには我の結界がはってあるゆえに害のある魔物は入ってこぬ。ゆっくりするが良い」
雪はそういいながら自身も元の大きな大きさに戻り、ゴロンと横になった。
「サオ、サオに話さなければならない事が沢山ある。だが話しの前に少し皆でゆっくりしよう。」
そう言った雪は空中からボトルのような物を取り出し私に差し出した。
中身はフルーツでできたジュースで一口飲むと喉が乾いていた事に気付き、一気に飲み干した。
毛玉はこのホールの端に水が湧きたしており、そこに行き喉を潤していた。
それにしても毛玉、家にいた時も真っ○○助のようにまん丸だつたけど、大きくなってもそのまま真っ○○助みたいにまん丸なんたね。
前も横も後ろもあんまりわからない程だね
そんな毛玉を見ながら雪に寄りかかっていたら、その大きな息づかいとホワホワした毛に包まれて、いつの間にか寝てしまっていたようだ。




