お帰り
ヒオは3人が帰ってきた時に何か喜んで欲しいと思っていた。
全てのお部屋にスモールライトもつけて暗くても少し見えるようにしたり、飾りを作って並べてみたりしていたが、それも終わりどうしようと考えていた。
「あつ、そうだご飯を作ってあげよう。」
「ご飯?」
「そうだよ。毛玉、ご飯作って皆を待ってよう」
何が作れるかな?調味料は僕も持ってるし、他の調理道具も持ってる。
後は材料か・・・
お肉は、あっ、この前のウサギの魔物のお肉があるっ
他にもじゃが芋のような根菜(以上に大きいけど)と人参とキャベツの小さいの、かぶと手のひら大のマッシュルームらしきもの、
うん、これだけあれば・・・そうだトマトもあるしミネストローネなんかどうだろう
よし決まり。
「毛玉、僕今からご飯の準備するね、何もないと思うけど見張りよろしくね」
「わかったにゃ」
僕は、ウサギさんリュックから、まな板とナイフを取り出してボウルも準備した。
じゃが芋や人参マッシュルーム、かぶは全て一口大に切っていくキャベツはそのまま、ウサギの魔物は拳大にして・・・と
まずはウサギの魔物肉、匂いは・・・うん殆どないな
でも生姜を少し刷り込んでおく、これで臭みはなくなるはず、そして塩、胡椒、ハーブも一緒に揉みこんで片面づつしっかりと焼いていく。
ある程度火が入ったら野菜も加えて切った野菜を入れて水を加えていく。
コンソメなんて物はないし出汁のとれそうな物もないし、でもウサギの魔物を焼いた時に出た油が思ったよりもいい感じで味の足しになっている感じ。
最後に湯剥きしたトマトを投入して火を弱めて灰汁取りをしながら完成を待つ。
「よしっ、毛玉できたよ。後は皆が帰ってくるの待ちながら煮込めば大丈夫」
「美味しそうねぇ」
「そうでしょ。前はママと一緒に良く作ったよね。僕、ママや雪、毛玉が喜んでくれるのが凄く嬉しかったから、お料理するの大好きだったんだ」
「ママさんが作ってくれるシチューもとっても美味しかったよね」
「シチュー。美味しかったよね。トウモロコシが沢山入っていて、いろんなチーズが入ってて」
そうママは僕がトウモロコシが大好きだったので沢山いれたシチューを良く作ってくれた。
そして翌日にはそこにマカロニを加えて、とろけるチーズをのせて焼いてグラタンを作ってくれたのだ。
ハフハフいいながら4人で食べるグラタンもとっても美味しかった。
「ねぇ毛玉、ママは最後痛くなかったかな?あの後すぐに誰かに見つけて貰えたかな?」
「ヒオ…」
「うん・・・あのね僕はママにとっても愛されていたし、僕もとても愛してた。お外に出るような事はできなかったけど、ママのできる最上級の愛情を貰ってたってわかるんだ。」
「ママさんは大事に葬って貰えたと思うよ。それにヒオの気持ちはこっちの世界にきてもちゃんとママさんに届いてるよ」
毛玉が慰めるように僕に頭を擦り付けて、頬をペロリと舐めてくれた
「ありがとう毛玉」
僕は腕の中に毛玉をつかまえてギュッと抱きしめた。
「あれつ?毛玉なんか少し大きくなった?」
「少しではないのにゃ」
毛玉が得意気に鼻先を上に上げる
僕は毛玉を離してじっくりと見てみる。
この世界にきた時は前の世界の成猫程の大きさだったのに今は中型犬よりも少し大きいくらいになっている。
「本当に大きくなつてるね~いいなー僕も大きくなりたいなー」
「まだまだ大きくなるにゃよ」
毛玉の自慢気な顔ったら。
僕はおかしくなってしまって先程までのしんみりした空気を忘れて、クスリと笑ってしまう。
「いいよ。僕も大きくなるもんね」
「競争にゃよ」
「うん」
僕達は声を出して笑った。
「ヒオ、帰ったぞー」
ラクストの大きな声が聞こえて、3人が丘を登ってくる。
雪はいつもどおりだけど、ラクストは少しお疲れモード。アレスもラクストのように少し疲れているようではあるけど、それよりも顔色の悪さの方が気になった。
「お帰りなさい」
「おう、ただいま」
ラクストが大きな手で僕の頭をくしゃりとしてくれる。
「ヒオ、ただいま」
「アレスお帰りなさい。大丈夫?」
「うん?」
「顔色悪いよ」
僕がアレスを見上げながら言うとアレスは苦笑いしながらそっと僕の頭に手を置いた。
「ちょっと疲れたかな。先にシャワーを浴びてくるよ」
「うん…」
そう言うとアレスはテントの中に入って行った。
「ラクスト?」
僕は心配になってラクストを見上げた。
「うん…討伐はなんとかなったし、ちゃんと終わったんだけどな、やはり犠牲者か結構いたんだ。アレスにとっては初めての事だし、自分の国の国民だからな。少し心の整理が必要なんだ」
犠牲者の遺品集めはとても辛い事で、それでもアレスは最後まで遺品集めを止めなかったんだって。
アレス頑張ったんだね。
「おっ、なんかいい匂いがするな」
ラクストが気分を変えるように鼻をクンクンさせながら僕の作ったミネストローネの方に近寄っていく。
「うん。皆に食べて欲しくてた作ったの」
「凄いな。旨そうだ。本当に料理できるんだな。怪我とかしていないか?」
「していないよ。僕、前から料理してたって言ったじゃない」
少しプンとしながらラクストを見上げる
「ハハハ悪かったな。じゃあ俺もひとっ風呂浴びてくるよ」
「うん」
ラクストもテントに入っていった。
僕は雪の方に近寄って行って雪に抱きつく。
「雪。お帰りなさい。怪我しなかった?」
「我がオーク等に遅れをとるはずがなかろう」
雪は僕に大きな頭を刷り寄せてくれた。
「うん。それでも雪が怪我をしなくて良かった」
雪の大きな身体は温かくて怪我をしていないと聞いてもついつい、いろんな所をなで回してしまう。
「ヒオ、くすぐったいぞ」
「うん。雪、皆を守ってくれてありがとう」
「なんだ、心配していたのか?」
「うん、ちょっとだけ。僕も早く皆と一緒に行けるように大きくなりたいよ」
「そんなに急いで大きくなる必要はないよ」
僕は大きな雪の身体にすっぽりと包まれて、大きく息をはいた。
本当に安心する。
暫くするとラクストがテントから出てきた。
「ヒオ、アレスは飯は後になりそうだ。今、声をかけにいったらベッドに突っ伏して寝てたよ。疲れたんだろう。このまま寝かしてやろう」
ラクストがタオルで髪を乾かしながそういって伸びをした。
そんなラクストに僕は僕のバッグの中で冷えたままだったビールを渡す。
「アレスは大丈夫?」
「あぁ大丈夫だ。ヒオお前、部屋にライト付けてくれたんだな。あれ、前に雪が言ってたけど癒し効果が付与されているから部屋に入ったらなんか身体が楽になったよ。ありがとうな。
アレスもそれで風呂の後にベッドに座ったところで癒されて寝てしまったんだろう」
ラクストがそう言いながら優しい顔をする。
「アレスも今日はつらかっただろうからな。これで癒されてゆっくり休んで、心も充電できるだろう」
「ぶはぁー働いた後の酒はうまいなーよしヒオ飯にしよう」
「うん」
僕は雪とラクストにミネストローネを注いであげてパンも出す。毛玉の分も皿を出したけど毛玉がいない。
「毛玉?」
「あー毛玉はアレスの抱き枕になってたぞ。毛玉も思うところがあったんだろうよ。優しいな」
「そっか」
それを聞いて僕も嬉しくなる。
自分の分のミネストローネをついで、皆とテーブルを囲んだ。
やっぱりテーブル買って良かったね。
「「「いただきます」」」
初めの一口
「「うまい。」」
「美味しい」
雪とラクストはがつがつとミネストローネを食べてくれた。
皆が美味しいって言ってくれるのって、やっぱり嬉しい。
僕は料理が大好き。皆が笑顔になってくれるから。
アレスは翌朝までぐっすりと眠り、朝方に慌てて寝癖を付けたままテントから飛び出してきた。
その後から毛玉が伸びをしながら
アレスが元気になって安心したヒオだった。




