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快適じゃだめ?

「おやすみなさい」

そう言ってテントに入ったけれど、そこでラクストは立ち止まり動かなくなった。

「ラクスト?」

「・・・なんだ、これ」

「何?」

僕はラクストに抱っこされて、外にいるアレスと毛玉に手を振っていたのでラクストが何の事を言っているのかわからなかった。

でもテントの中を見て思い出した。

「あっ、お部屋・・・」

「やっぱりお前かヒオ」

ラクストがひくーい声で僕の名前を呼ぶ。

雪はだまったまま何も言わない。

それがかえって怖い。

「なんでこうなった?」

「えっと・・・僕が寝てた時にラクストがきて、すぐに出ていったでしょう?あの時にテントの天井に頭が着きそうで、もつと高ければいいのにって思って手を上にグイーって伸ばしたらテントの天井が上がっていったの。その後でね風が吹いてテントがバタバタ揺れたから、普通のお家みたいに硬い壁だったらいいのにって・・・」

そこまで話すとラクストが僕を肩から降ろして外に出ていき、すぐに戻ってきた。

「外からは普通のテントだ。天井も高くないし、壁も普通だ」

そうラクストが雪に向かって言った。

「そうか。それでヒオ、この部屋には扉がついているようだが?」

雪も真面目な顔をして僕に聞いてきた。

「うん。あのね今日の野営の事考えてて、夜にトイレに行きたくなった時に外に行くのは怖いなって思ったの。それでこのテントの中におトイレがあったらいいのにって。それでバッグを作った時みたいにできないかな~って思って、目を閉じて扉をイメージしてみたら扉が出来て、開いたら真っ白な空間が出来てたの」

そこまで話してもラクストと雪が黙って話しを即してきたので、そのまま話し続ける。

「でね、前のお家のトイレを思い出しながら空間をイメージして作っていって、でも僕のトイレはラクストやアレスには小さいから別々の方がいいのかって思って、だったらもう1つ部屋を作って僕のお部屋を作ればいいやって。簡単な四角いお部屋を作ったの。ベッドとかはさすがになかったから、土魔法で四角いのを作っただけだけど、でも照明は僕の魔法で人が入ってきたら点くようにしたんだよ」

「そうか、だがヒオ、扉は全部で3つあるようだか?」

「うん雪。ラクストとアレスのお部屋も作ったの。1つ作った後は簡単だったよ。魔法って凄いね。前に読んだ物語に魔法はイメージって書いてあったけど本当だね」

僕がニコニコしながら言うと2人は大きくため息をついた。

「ヒオ、さすがに魔法がイメージといってもここまではできるものではないぞ」

雪から苦笑いの様子が伝わってくる。

「そうなの?」

「まぁヒオだしな~」

ラクストがそういいながら僕の頭をまたガシガシと乱暴になでた。

「で、俺の部屋もあるのか?」

「うん、その左側の部屋だよ。でもラクストがどんな色とか好きか判らなかったから、真っ白のままだよ。こんな色がいいって言って欲しいんだけど」

「見てもいいか?」

「もちろん」

ラクストは僕に入る許可をとると扉を開けて部屋に入り、そのまま、また座り込んだ。

「ラクスト?」

「ヒオ、お前やりすぎだ。なんだこの部屋の広さは」

「だってラクスト大きいからこれぐらいあった方がいいと思って、快適の方がいいでしょ?」

「まぁ、そうだかな」

ラクストはやっと立ち上がり部屋についてる2つの扉を開いてみる。

トイレとウォークインクローゼットだ。

「すっごいな、たいしたもんだ」

「ありがとうなヒオ」

「嬉しい?ラクスト」

「ああ、嬉しいよ。たがヒオ、これも俺達以外には誰にも言ったらだめたぞ」

「うん。わかった」

そっかこれも秘密なんだね。


この後はラクストに部屋の希望の色を聞いて(意外で淡いとても淡いオレンジ系の柔らかい色でした)色を入れて、部屋から出ました。

それが終わるとラクストはすぐにアレスを呼びにいき、連れてきました。

アレスもさっきのラクスト同様に暫く固まり、ヒオですからねって・・・

何、皆して快適な方がいいじゃない!


アレスのお部屋はオフホワイトでした。

そして皆で過ごす予定の所謂リビングは薄いピンクにしたの。

細かい所はまた調整するからねって2人に言ってこの日はもう休む事にしました。

やはり魔力を使い過ぎもあったらしく、グッスリ。いつもグッスリだけど。



「それにしても雪、ヒオのこの魔法はどういう事だ?」

ヒオを部屋で寝かしつけてから、ラクストと雪はアレスも読んでリビングでお茶をしながら話しをしていた。

「そう・・・だな、ヒオは以前いた世界でかなりの情報を手にできる環境にあった。それが我らも思いもよらぬ魔法となっているのであろう」

「情報といっても魔法のない世界だったのですよね?」

「ああ、そうだ。だが、そうだな、こちらの世界での書物のような物も膨大にあって、それにはまるでこの世界の事のような物語も多数あった。ヒオは楽しみの1つとして多数の物語を読んでいたよ。それがこの世界にきて、魔法を知り、勝手にこの世界の魔法としてもできるものとして成立させてしまったのであろう」

雪も深いため息を吐きながら首をふる。

「まぁ、我らと共に旅をしているゆえに他の人間に露見したり、利用されたりなどはないであろうから、あまり心配はなかろうがな」

「そうですね。確かにそうかもしれませんね」

アレスも深く考えながら返事をする。

「でも僕はヒオの魔法が楽しみでもあります。僕の知らない魔法をとても楽しそうにやってるヒオと毛玉は僕に夢を与えてくれますから」

その言葉にラクストも笑いながら同意する。

「確かに楽しくはあるな。頭も痛いがな」

そう言いラクストはお茶をグイッと飲み干した。

「まだ旅を始めて10日程だというのにな。さて、これ以上は考えてもしょうがないって事なんだよな雪。だったら俺はもう寝るよ。あの快適な部屋でな」

そう言って後ろ手にヒラヒラと手をふり部屋に入っていった。

「それでは僕も見張りにもどりますね」

「うむ、我も今夜はヒオの部屋に行こう」

今日のドタバタはこれで終わり。


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