黒い毛玉?
「えっ何?動いた?」
そう黒い毛が動いた、そっと毛を掴み毛を抜くかのように引っ張ってみた
抜けた・・・抜けた?
「抜けたけど・・・これ、なんだろう」
黒い毛、某アニメのまっ○○すけのような固まり
どこに顔があり、手足があるのかまったくわからない
でも動く・・・」
そっと仔犬の上に置いてみる
すると黒い毛玉が動き、顔の方にむかって行く
「あっ、ダメよ。お顔は怪我をしているのよ、それに今はそっと寝かせてあげたいからね」
そう言うと毛玉が止まった
私は少しお姉さんぶって言った。
「あらっいい子ね、そうだよ今はゆっくり怪我を治さなきゃね、だから、んーそうだ」
私は周りを見回し、ママか前にお客様から貰ってきたフカフカの狐のしっぽのようなキーホルダーを持ってきて丸めて、その上に毛玉を置いた。
毛玉はしばらく仔犬の方を伺っていたように見えたが、諦めたようにモゾモゾとし狐のしっぽの上で丸まったように見えた
「早く良くなるといいねー」
私はそういいながら、仔犬の上に手を翳した。
「本当かは知らないけど手当てってね傷や痛い所に手を翳して治療するから手当てって言ったんだって」
「ママがお腹を擦ってくれると痛みがなくなっていくような気がするんだよ」
「だから少しでも痛みがなくなるようにね」
そう言いながらそっとそっと手を翳しつづける。
いつの間にか仔犬の横で寝てしまっていたらしく、ふと目が覚めた
ママはまだ帰ってきていない
仔犬もまだまだ呼吸は浅い
傷の上に置いていたガーゼに血が染みていたので取り除く
「ごめんね、もう一度消毒するからね」
新しいガーゼに消毒液を染み込ませ消毒する
またもやグーと声か聞こえたが噛みつくような事はなかった
「良く頑張ったね、きっと良くなるからね」
そっと耳の間をなでて話しかける
「あっ、そうだ黒い毛玉も大丈夫だよ、ちゃんといるからね」
「だからゆっくりしてね」
そう言うと仔犬が少し深い息を一度したような気がした
心配していたのかな?
毛玉の方を見ると仔犬の一番近くの狐のしっぽの所にきていた。
そっと毛玉もなでてあげた
生まれたての子猫とかこんな感じのぽやぽやした手触りなのかしらとか思い笑みが浮かんだ。
「さぁ、私達ももう少し寝よう」
そう声をかけて、子犬の横に毛布を被って寝た。
あれから10日が過ぎた。
生きるか死ぬか最初の内はとっても心配したけれど、なんとか頑張ってくれて今はやっと液状のご飯を食べられるようにまで回復してくれた。
仔犬は吠える事もなくただ静かに身体を横たえていたが起きだす事ができてからも、声を出す事はなかった。
「頑張ったねー、さぁ今日のご飯だよ」
「毛玉も一緒に食べる?」
そうあの黒い毛玉も謎の生物ながら一緒にいる。タブレットでイロイロ調べたんだけど、まったくわからないんだよね。謎のままなの。
でも仔犬と一緒にいたし、2匹ともお互いの事を大事にしてそうだったから、だから別になんでもいいかって思って。
「毛玉、毛玉はこっちのお皿ね。・・・2匹とも美味しい?」
並んでご飯を食べている様子に安心する。
「良かったね」
毛玉はまだどこが顔かはわからないけれど
あーそういえば毛玉はすっかり毛玉で反応するようになってしまったなと思い子犬に問かける
「ねぇ毛玉はもう毛玉で覚えてしまったみたいだけど、お前はどうする、このままお名前がないのも呼びたい時に呼べないし」
そんな私の声に仔犬はこちらに視線をむけて、じっと見つめてくる。
「んー私、今まで名前なんか付けた事ないからな~、どうしようか?何がいいかな?」
「白い仔犬、白、雲、雪・・・ねぇ私真っ白の雪大好きなの、雪でもいい?」
仔犬は少しだけ尻尾を振った。
気にいってくれたかな?
「じゃあ、決まりね。お前は雪だよ」
「毛玉と雪、私はサオって言うのよろしくね。ママがお仕事の時はこれから一緒にお留守番しようね」
そう言うと2匹は頷いてくれたような気がした。
私達三人?はいつも一緒にそれからの日々をすごした。
雪は相変わらず吠える事もなく静か、まるで何か考えているかのようにじっとしていて、たまに仔犬らしくない雰囲気を出しているし、毛玉はどこが顔だか手足はどこかわからなかったけど、この頃やっと手足が出てきたというか、わかるようになってきた。
やっぱりなんか変わっている。でもサーキュレーターの風に楽しそうにコロコロと転がっているのが可愛んだよ。たまに飛ばされて雪がジャンプして捕まえてる
それが楽しいのか、わざと何度も飛ばされては雪に捕まえて貰ってる。
あまりに楽しそうで私もフフフと笑ってしまう。
今もタブレットは楽しいけれど2匹と遊ぶのも本当に楽しい。
一緒にタブレットを見たりもする
でも、私がママのアクセサリーを作っている時にはじっとして私が作り終わるのを待っててくれるのだ。
雪は凄くタブレットに興味津々で私が調べたりしていると横から手を出してきたりもする
まるで自分も調べ物をしているかのように。
一人でいる時より何倍も楽しいね
いつまても一緒にいられたらいいね。
そんな事を感じていた時にそれは起きた。
寝ていた私達
まず雪が飛び起きた、直後にうなるような音と伴に突き上げるような衝撃がきた。
それは今までの地震とは比べようもないぐらいの衝撃と音、今までのミシミシと揺れるような音ではなく、ガラスの割れる音や家のバキバキと何かが折れるような音だった。
これが地震なのか何なのかわからない程の衝撃、いつも地震の前に鳴る警報も今回は衝撃の後に警報がなり響き、今も家中の物が落ちてきたり、倒れてきたり、
あまりの事に唖然としていると雪に正気づかせるかのように少し大きくなった手でパシパシと叩かれ、顔をペロリとなめられた
「ゆ、雪、何、どうしよう」
いったいどうしたら・・・
まだ家は大きく揺れ、イロイロな所で激しい音が響きわたる。布団の上にいるが、立とうと思って立てるような揺れではない、幼い私にも解る程の大きな地震、この家ももたないかもしれない。
いや、この世の中がこの町が大丈夫ではないだろう事がなんとなくわかった。
さらに大きく揺れた瞬間に近くの窓が割れた、その瞬間にハッとしたと同時にやっとまともに声が出た。
「雪、毛玉を連れて割れた窓から早く出て」
「ここにいたらダメ、今すぐに出て」
それだけ言うと窓の方を指指した
でも雪は動こうとしない、私はもう一度大きな声で雪に言った
「雪、早くここから出るのよ。このままじゃ出れなくなっちゃう」
「ほら、早く」
ミシミシ、バキバキ、バリンパリンといろんな音がする
近所の電気も全て消え、真っ暗の中もう何分も何十分も揺れているような気がする。
そんな中なぜか私には、もう猶予がない事がわかった。
雪を家から出す為に手近にあった物を掴み投げつけた。
それでも雪は出るどころか私に向かって近づいてきた
「ダメよ雪、直ぐに出て。今なら雪達なら逃げられるよ。お願い、早く逃げて」
逃げてくれない雪に私は涙が出てきて懇願するかのように大きい声を出した
上からは土煙のような粉塵や土埃が降ってきており本当に時間がない事がわかる。
もうダメだと目を閉じたときだった
「ダメだ。行くならサオお前も一緒だ」
そんな誰の声だかわからない男の人の声がした。
私の記憶があるのはここまでだった。




